AVアンプ、スピーカー、モニターと、ようやくうちのホームシアター環境が整ってきたこともあって以前から気になっていた「Apple TV 4K」ですが、いよいよこの 9月にリリースされた tvOS 12 から iTunes で配信されている作品の Dolby Atoms へ対応が始まりました。まだまだ対応している作品は極一部ですが、4K ULTRA HD へ対応した作品も徐々に増えてきているようですので今後の動きが期待出来ます。
iTunes で映画を購入するメリットはかなり大きいのではないかと思っています。見たい時に即座に購入することができ、価格も新作で 2,500円程とパッケージ版より安いですし、準新作以下なら時折行われているセールで更に安く買える可能性があります。また、4K(Ultra HD)や Dolby Atoms への対応も徐々に進められていて、何より一度購入した作品は追加料金無しで 4K や Dolby Atoms に対応したバージョンにアップグレードされるようになっているというのは大きなアドバンテージでしょう(全ての作品がそうなるわけではないようですが)。
4K での映像配信自体は徐々に広まっていましたが、音声フォーマットが Dolby Digital くらいまでのものがほとんどで、Blu-ray のパッケージ版を購入する際の数少なくなってしまった差別化点でした。晴れて配信版でも Dolby Atoms への対応が始まったことでいよいよ特別パッケージやポスターなどの販促グッズのコレクション目的でも無い限り場所を取るパッケージ版をわざわざ購入するメリットは見えなくなってきました。配信版でも特典映像が付いているものは割とありますしね。
高級感の感じられるパッケージは Apple 製品ではお馴染みですね。このパッケージにコストがかかっているのは確かですが、所有欲をくすぐる一因なのは Apple 製品を手に取ったことのある方なら分かっていただけるんじゃないかと思います。本体の他には付属品としてSiri対応リモコン、Lightning ケーブル(リモコン充電用)、電源ケーブルにいつものシールと簡単な操作方法が書かれた紙が入っていました。シールの使い道は相変わらずよく分かりませんが。
HDMIケーブルは付属していませんので別途用意しておく必要があります。色分けの出来る下記のような製品を用意しておくとどれをどの機器に繋いでいるか分かりやすくて便利でしょう。
こちらの 3m の製品を AVアンプとディスプレイを繋ぐメインケーブルとして利用していますが、特に問題も無く 4K映像の出力もできているようです。マニュアルについては「iBooks」の方に詳細なものが登録されているので iPad や iPhone などに落としておくとよいでしょう。Apple製品の例に漏れず、感覚的な操作で一通りの事は行えますが、知らなかった機能などもあると思いますので。
本体サイズは 98mm 四方で厚さ 35mm、重量は 425g とコンパクトですが意外にずっしりしています。Apple TV 4K は第 5世代にあたる製品で、CPU には iPad Pro(第2世代)と同じ 64bit の「A10X Fusion」チップを搭載、合計 3GB のメインメモリを積み、「tvOS」という独自の OS を搭載しています。iFixit の分解レポートによると、内部には日本電産のブラシレスモーターを使用したファンを搭載していて本体下部から排気するようになっているそうなのでなるべく風通しのよい所に設置した方がよいでしょう。視聴中にファンの稼働音が聞こえるような事は無く非常に静かです。夜間は Bluetooth接続でヘッドホンなどを利用することもできます。尚、下記のリンクから iFixit の分解レポート記事を見る事ができますので興味のある方はどうぞ。
背面には HDMI、電源、Ethernet の各コネクタが配置されています。IEEE 802.11ac の Wi-Fi接続も可能ですが、どのみち HDMIケーブルと電源ケーブルも繋がなくてはならないので有線LAN で接続しておいた方がなにかと安定性もよいでしょう。第4世代にはあった USB-Cポートが廃止されていますが、ほとんど使い道もなかったようなので問題になることはないと思います。32GB と 64GB のストレージを搭載した 2つのバリエーションが用意されていますが、普通に利用する分には 32GB のモデルで十分だと思います。
iPhone や iPad などの iOS 製品を持っていれば初期設定が非常に楽になります。Apple TV 4K のケーブル類を接続したら電源を入れて iPhone などを近付けると左の画面のような通知が出るので、「設定」をタップしてモニター画面に表示される認証コードを iOS 製品で入力するだけです。他にも iOS 製品があるとリモコンとして使ったり検索する時などではキーボードとして使用することが可能で、格段に使い勝手がよくなります。
購入時に搭載されていた tvOS のバージョンは 11.0 だったので、早速現時点の最新版である 12.1 に更新しました。これで Dolby Atoms などが利用可能になります。tvOS の使い勝手は iOS とほぼ同じなのですぐに馴染むことができました。動作もキビキビしているのでストレス無く操作することができます。視聴時は結構本体が熱くなります。本体の上にリモコンを置いていたらかなり熱くなってしまって驚きました。バッテリーも入っているのであまりリモコンを本体の上に置いておかない方がよさそうです。
あまり粗悪な HDMIケーブルを使っているとせっかくの性能が発揮できませんので、「設定」メニューからケーブルテストを行って問題無いことを確認しておくとよいでしょう。対応した作品の場合は左の画像の赤四角で囲った部分に「4K」や「HDR」「Dolby Vision」「Dolby Atmos」といった再生可能なフォーマットが表示されるので判別することができます。
iTunes で配信されている作品以外にも「App Store」からアプリを導入することで「Amazon Prime Video」や「AbemaTV」「Netflix」「U-NEXT」など日本国内で利用できる動画視聴サービスの多くに対応することができます。私は当初出来ないと思っていたのですが、Amazon Prime Video の 4K での視聴も出来るのですね。試しにジャック・ライアンを視聴してみましたが問題無く 4K で再生されていました。他には Netflix も 4K コンテンツの視聴ができるようですが 8月から少し月額料金が上がってしまいましたね。残念ながら YouTube についてはアプリは用意されていますが 4K での視聴はできないようです。これはコーデックの問題なのだとか。
「AirPlay 2」の受け手端末としても優秀です。画面ミラーリング機能を使って iPhone などで撮影した旅行などの写真や動画を大画面のディスプレイに映し出して家族や友人と楽しんだり、ゲームの画面を映し出したりということもできます。(やや遅延がありますが。)
Apple TV 4K には思わず息をのむほど美しいスクリーンセーバーが用意されているのですが、このスクリーンセーバーを BGV として流しつつ音楽を聴くという使い方が非常に気に入っています。スクリーンセーバーは Home 画面からリモコンの「MENU」ボタンを押すと簡単に立ち上げることができ、「Touchサーフェス」をスワイプすることで国際宇宙ステーションから地球を見た風景やドバイのブルジュ・ハリファ付近の夜景、サンフランシスコの空撮映像などを切り替えることができます。
※ スクリーンセーバーの一例
「Siri Remote」と呼ばれるリモコンのバッテリーは Lightningコネクタで充電するようになっていますが、バッテリーの保ちに関しては公式でも 1回の充電で数ヶ月保つとされているとおりの驚くほどのよさです。リモコンの接続が赤外線ではなく Bluetooth なので本体の位置を気にすること無く使える点はいいですね。
好みの問題でもあるのでしょうが、リモコンの使い勝手は正直言ってかなり微妙に感じます。重量は 45g 程と非常に軽く質感はとてもいいのですが、あまりに薄いため持ちにくく感じるのですよね。リモコン上部には「Touchサーフェス」というタッチセンサーが組み込まれていますが、これの操作性がなんとも・・・。使っているうちに慣れてくれればいいのですが。搭載されている Siri もあまり賢くないようで、iPhone・iPad の Siri より認識精度が悪いように感じました。Amazon の Fire TV 4K に付いていたリモコンの方がよほどスムーズに音声検索する事ができるのではないかと思います。(あちらは更に 12月頃を目処に Alexa の機能も搭載されるそうです。)
リモコン操作に関しては iPhone や iPad の「コントロールセンター」で操作するか、App Store から「Apple TV Remote」というアプリをダウンロードしてそちらを使った方がスムーズに操作できると思います。
Apple TV 4K は「ホームシェアリング」という機能に対応していて、Apple TV のホームシェアリング機能を有効に設定していれば「コンピュータ」というアプリを起動することで PC や Mac の iTunes に登録されている楽曲ファイルを iPhone などと同様に Apple TV でストリーミング再生することが可能です。
PC の iTunes が認識しているNAS上のファイルも再生することができるのですが、NAS 本体のの iTunes Server を稼働させていても PC を経由しないことにはどうやら Apple TV 4K では認識できないようです。App Store から「VLC Media Player」や「Infuse」などのアプリをインストールすれば NAS からも問題無く再生できるようになるので、とりあえず音楽再生はこちらとスクリーンセーバーの組み合わせで楽しもうと思います。
不満な点が無いわけではありませんが、これだけの製品が僅か 2万円ほどで手に入ることですし、iTunes で映画や音楽を購入して利用している方、iPhone などの Apple 製品を使っている方、4K や多チャンネルの音声で再生できる環境が整っている方には購入して損の無い機器になっているでしょう。なにより全ての作品がそうなるというわけではありませんが、過去に購入済みの作品でも追加費用なしで 4K 画質にアップグレードされる可能性があるという点が素晴らしいです。配信されている作品の購入までは・・・という場合でも iTunes では期間限定の 100円レンタルもよく行われていますしね。
個人的には iOS 版は既に存在している「Video & TV SideView」という nasne の視聴アプリが tvOS でも出てくれると非常に嬉しいのですが・・・。SONY さん、お願いしますよ。
2021年9月現在、SoC とリモコンが変更された改良品が発売されています。