年々台風の規模が大きくなっている気がしますね。昨年に続き今年も台風の季節の後に BS放送が映らなくなってしまったのですが、昨年と今年では別の問題が原因となっていました。
BS が映らなくなった場合に考えられる原因はいくつかあります。勿論テレビや BSアンテナ自体の故障という場合もあるでしょうが、テレビについては地上波が映るのであれば、BSチューナーだけが故障するというケースは考えにくいのでそちらの可能性は除外してもいいのではないかと思います。
アンテナ自体が壊れていないかどうか確かめるには支柱から外してテレビなどとアンテナケーブルを接続した上で手で持って南西上空にアンテナを向け、設定画面でアンテナレベルの表示を見ながら方向を変えてみるのが手っ取り早いです。
なにはともあれ、どこに問題があるのか分からないと対処のしようが無いので、これらの他に考えられる原因と個人で出来る対策をいくつかまとめておきます。業者に頼めば楽でしょうがそれなりに費用もかかってしまいますしね。まあアンテナの落下と転落事故にだけは気をつけて下さい。
■ 天候による影響の場合
BS放送は 12GHz(KUバンド)帯というかなり高い周波数の電波を使って送られてきます。このため大雨や大雪といった天候下では「降雨減衰」という現象の影響を受けやすく、映像にブロックノイズが乗ったり映らなくなってしまったりします。概ね 40~60mm/h 以上の雨量になってくると影響が出るそうです。ゲリラ豪雨などには弱いということですね。こればかりは天候の回復を待つほかありません。
■ アンテナの角度がずれてしまった場合
昨年映らなくなってしまった原因はこれでした。9月に台風 21号が「非常に強い」勢力を保ったまま神戸に上陸し、海側では高波が沿岸に打ち寄せて浸水が起こったり強風でバリバリと屋根が剥がれてしまったり車が横倒しになったりという映像がニュースで流れたのを記憶している方も居られるでしょう。うちの近くで目立った被害が出たところは無かったようですが、それでも猛烈な雨風で鉄骨建てにも関わらず家が揺れていた程でした。今年は関東で甚大な被害をもたらしていましたし、台風の勢力は温暖化の影響なのか年々大きくなっているような気がしますね。
BSアンテナは左のようにボルトでかなりしっかり固定できるようになっており、手では体重を掛けても動かせない程度には締め付けていたのですが、あまりの強風のために 55度辺りにまでアンテナの仰角が動いてしまっていました。神戸の場合はアンテナの仰角は 41.6度にしておく必要がある(BS・110度CS衛星 地域別仰角・方位角:アサヒデンキ様より)上に、BS放送の電波は指向性が強いために誤差は上下左右 1度以内に収めないといけないらしいので、仰角が 55度あたりになってしまっていたのでは映ろうはずがありません。
アンテナの角度調節をする際には日本アンテナ様が「BSコンパス」というアプリを出してくれているので便利です。(残念ながらうちの iPhone はコンパス機能が壊れているのかまったくでたらめな方向を示してしまうので数値を参照するのみに使いましたが。)使い方はアプリを起動すればわかります。
テレビと BSアンテナの間に入れて信号レベルの強度の変化を目で見て確認することの出来る「アンテナレベルチェッカー」のような製品を利用するのもいいと思いますが、アンテナ角度の調整なんてそれ程頻繁にするわけではないですしねえ。まあ楽になるのは確かだとは思いますが調整に必須ではありません。
普通はテレビなどの設定メニューでアンテナ強度の変化を確認しながら調整することになるので 2人居ると楽なのですが、アンテナの仰角さえ先にしっかり決めてしまえれば 1人でも調整は十分できます。その為にもアンテナの支柱が地面と垂直に立っているかはしっかり確認しておくこと。仰角を定めたアンテナを支柱に差し込んだら後は左右にアンテナを振って衛星を探すだけです。微調整まで出来たら固定はしっかりしておくこと。
■ ケーブルの断線が原因の場合
今年の原因はこちらでした。結論から言うと BSアンテナ線を室内に引き込む為に「隙間ケーブル」を使っていたのですが、これが断線してショートしてしまっていたというわけです。
BSアンテナの動作にはケーブルを通して供給される DC15V の電源が必要です。電源供給が絶たれていては受信出来ませんのでテレビなどの設定メニューからアンテナへの電源供給を「ON」にしておく必要があります。テレビの設定を確認しているとここが「OFF」になっていたので「ON」にしてみたのですが、ショートを検知して安全装置が作動したらしく、またすぐに「OFF」になってしまいました。
こちらは取り外した隙間ケーブルですが、見ての通り剥離が生じており、折り曲げている部分の一部では被覆が破れて内部の線が剥き出しになっていました。あまり開け閉めすることの無い窓に取り付けていたのですけどね。Amazon ではこうしたフラットタイプの隙間ケーブルが未だに多く売られているようですが、やはり耐久性に問題があるのか最近の日本メーカーの製品ではフラットケーブルタイプのものはほとんど見なくなっていますね。このタイプで今見かけるものの多くはこれ以上に耐候性・耐久性の無さそうなものが多いように思えます。
今回代わりに使用したのがDXアンテナのこちらの製品 ↓↓↓
こちらは極細のきしめんタイプのケーブルでした。木ネジと室外側で使用するコネクタの防水キャップも付属していますが、サッシに沿って這わせたケーブルを固定するテープが付属していないので別途用意する必要があります。ケーブルはわりとしっかりサッシの凹凸に沿って曲げた形になりますが、耐候性のあるアルミテープなどでしっかり固定しておいた方がよいかと思います。この際なのでケーブルとコネクタも交換しておくことにしました。アンテナケーブルは 4C のものが使われていましたが、今後のことも考えて「S5CFB」のものに、接合部のコネクタも、恐らくアンテナに付属していたのであろう頼りないものが使われていたのでもっとしっかりしたもの代えておきます。これで 3.224GHz まで対応出来るようになり、アンテナはこのままでも将来的にテレビを買い換えた場合に、「右旋」の放送に限りますが、BS4K の受信まで出来るはずです。(「左旋」の 4K8K 放送はアンテナまで代えなければ見ることが出来ません。)
ちなみにケーブルの「S5CFB」の意味は、「S」衛星放送対応、「5」絶縁体の直径が5mm、「C」75Ω、「F」発泡ポリエチレン絶縁体、「B」シールドが錫メッキ軟銅線編組+アルミ箔という意味です。
アンテナ接続部のコネクタには下の「防水接栓」を使ってみました。
大きく 3つのパーツから出来ていて、下部のパーツを先にケーブルに通しておいて金色のピンの付いたパーツを 5C のアンテナケーブルの芯線に被せてラジオペンチなどでかしめ、上部ののパーツで挟んでねじ込むという形になります。真ん中のパーツをケーブルの被覆に差し込むとケーブルに少し膨らみが生じてそこが下部のパーツに引っかかる様な感じになるので引っ張っても抜けてしまうようなことはありません。この辺りよく考えられているなと思いました。加工自体は難しいものではありませんが、金色のピンはかしめてしまうとやり直しが効きませんので防水キャップなども使う場合は先にケーブルに通しておくのを忘れないように。
取り付けてみた様子です。コネクタの接合部に Oリングが入っているので最後はスパナかペンチを使ってしっかり締め付けておいた方がいいです。元から付いていたものはF型接栓に防水キャップを被せただけのような頼りないものだったので防水性能はかなり期待出来そうです。とりあえず「防水キャップ」を使いましたが、更に上から「自己融着粘着テープ」を巻いておけば完璧でしょう。