今回は Panasonic Let's Note CF-J10S の HDD を SSD へ交換してみます。中古として購入した時点では 2014年3月製の「HTS5450A7E380」という 2.5inch・500GB・5400rpm の日立製 HDD が搭載されていました。ノートPC としての容量的には十分なのですが、一度 SSD の快適さを知ってしまうとやはりシステムディスクくらいは SSD に代えてやりたくなります。パフォーマンスに直結しますからね。
当初は 250GB クラスの SSD で十分かと思って色々と物色していたのですが、Amazon の PrimeDayセールでちょうど安くなっていた Crucial製 MX500 シリーズの「CT500MX500SSD1/JP 」という 500GB モデルに飛びつきました。
このところの SSD価格の値下がりで大容量モデルも随分手を出しやすくなってきましたね。ただ、安い物は他にも色々ありますが最近中華製の素性の怪しい製品も増えているのでやはり Crucial など名の通ったメーカーの製品なら安心して使うことができます。
SSD としてはなかなかにしっかりした外箱に収められていて、SSD本体の他に 9.5mm 厚へ変換(?)するためのアダプターと、「Storage Executive」という SSD の状態管理用ソフト、「Acronis True Image for Crucial」というクローン作成ソフトのダウンロード用の URL が記載されたインストールガイドが入っていました。
500GB モデルの基本スペックは Read 560MB/s、Write 510MB/s、TBWは180TB となっています。5年間と SSD としては比較的長めの保証期間が設けられているのは安心できる点です。
SSD のケースは恐らくアルミ製でしょう。意外に発熱するパーツなので金属製のケースは GOOD 👍。
ケース横のネジを外すだけで簡単に分解できる構造でしたので悪い癖(?)で誘惑に負けて中を見てみることにしました。搭載されていたコントローラーチップは「Silicon Motion SM2258H」、NANDチップはMicron製の「NW912」という 64層 3D TLC NANDでした。Micron製の「D9SHD」というチップは DDR3L・256MB のキャッシュメモリのようです。500GBモデルでは裏面には何も実装されていませんでした。NANDチップは「NW925」というチップが載っているパターンもあるそうです。
熱伝導シートはコントローラーチップと同じ申し訳程度の大きさのものが NANDチップにも 1枚だけ貼られていました。(写真ではケース側にくっついてしまっていますが。)せっかくの金属製ケースなのでキャッシュメモリとメモリチップ全体に熱伝導シートを用意して貼ってやると放熱性が良くなるだろうと思います。
さて、今回は一応元から付いていた HDD のリカバリ領域も残しておくために HDD から SSD へのクローン作成を行うことにします。当初考えていた 250GBクラスの SSD だと元の HDD より小さい容量になってしまうクローンの作成はできませんでしたが、セールのおかげで安く 500GB のモデルを購入できたので挑戦することができそうです。MX500 にもクローン作成ソフトが付属しているので PC を使えばクローンの作成が出来るのですが、今回は先日購入したハードディスクデュプリケーターを使ってみます。
コピー元を上の「A」、コピー先を下の「B」に差し込んで電源を入れ、「CLONE」ボタンを操作するだけで PC から SATAケーブルで繋いだりせずに単体でクローンの作成を行うことができます(逆にしないようにだけは注意)。セクタ単位でクローンを行ってくれるので Windows や Linux など OS を問いませんしノートPC のリカバリー領域も残せます。USBケーブルで接続すれば一時的な外付けハードディスクとしても使えるので 1台あるとなかなか便利な代物です。
クローン作業が終わった所でクローン元の HDD を取り外し、USBケーブルでデュプリケーターと PC とを接続して外付けSSD として認識させ、Windows のスタートボタン右クリックで起動できる「ディスクの管理」ツールで確認してみましたが、パーティションなどの切り分けもそのまま上手くクローンできたようです。
クローン作業が無事終わったところでいよいよ CF-J10S の HDD を SSD へ入れ替えていくことにします。
CF-J10S を裏返してバッテリーパックを取り外したら左の写真の赤〇のネジを外し、ハードディスク部分を保護しているプレートを黄色の矢印方向にスライドさせて取り外します。中に格納されている HDD に付けられているベロを引っ張ってゆっくりと取り出し、SATAコネクタに SSD をはめ込んだら元通り CF-J10S の中に押し込んでやるだけです。元の HDD に付いていたベロは新しい SSD の方へ張り替えておいた方がいいでしょう。さもないと次に SSD を取り出そうとした時に苦労する羽目に遭う事になります。
CF-J10S のハードディスクは分解というほどの作業をしなくても簡単に取り替えられるようになっているのは良い点ですね。
既にクローン作業が終わっているので、SSD に入れ替えて電源を入れるだけで以前の環境が立ち上がります。リカバリー領域もきちんとクローン出来ているか確かめるために一度 Windows 7 の環境へ戻してみましたが、問題無くリカバリーすることができました。
改めて交換した SSD に Windows 10 のクリーンインストールを行い、常用するための環境を整えていきます。CF-J10S への Windows 10 クリーンインストールについては以下の記事も宜しければ参照下さい。 新しいドライバ類の検索とインストールはひとまず後回しにしてとりあえず動かせる状態にしたところで Crucial の「Storage Executive」という SSD の状態管理用ソフトをインストールします。このソフトは SSD のファームウェアアップデートなども行えるので早めに入れておいた方がいいでしょう。
「M3CR022」という新しいファームウェアがあるようなので早速アップデートしてやることにします。当然ながら SSD のファームウェアは肝の部分なのでアップデートに失敗すると起動不能になってしまうという恐れは付きまといますが、パフォーマンスの改善や不具合の修正がされる場合もあるのでできれば速やかにアップデートしておきたいところです。メーカーでもしっかり検証した上でリリースしているはずなので、基本的にアップデート中の停電にだけ気をつければまず大丈夫だとは思います。
軽くベンチを取ってみました。SSD なのに公称値の半分程度の速度しか出ていませんが、これは Let's note CF-J10S の SATAインターフェースが SATA3 ではなくBIOS上で SATA2(300Mbps)に制限されているためです。この制限を解除する方法も無くは無いようですが、BIOS ROM を取り外して ROMライターで書き換えたりとかなり敷居が高くなるようなのでそこまでは行っていません。
とはいえこの状態でも見違えるほどに Windows 10 がキビキビ動くようになりました。起動も速いですし、Webブラウザや Excel なども全くストレスを感じること無く操作できます。やはり SSD化の恩恵はすごいですね。メモリも増やしましたし無線LAN も IEEE802.11ac対応にさせましたし、CPU も古いとは言え標準電圧版の Core i5 が乗っているので、サブPC として当分使っていけそうです。
内部を分解してみれば分かるのですが、CF-J10S はハードディスク周りが絶縁のためと思われるプラスチックフイルムで覆われていてハードディスクの冷却についてはほとんど考慮されておらず、エアフローも悪いので熱が籠もりがちです。(CPU から出る熱の排気ファンはかなり強力ですが。)MX500 自体も SSD としては発熱量が大きめのようで、夏場にクーラーの無い場所で使っていると 52~54℃ くらいまで SSD の温度が上がってしまい、CrystalDiskInfo のキャラに「ドライブ、めっちゃ熱くなってるよ!」と怒られてしまいます。まあ公称の動作温度は 0℃~70℃ となっているので大丈夫だとは思いますが、上の分解写真のように熱伝導シートがほんの一部にしか貼られていないので NANDチップなどにも貼ってやればちょっとはましになるかも・・・とは思っています。