NAS(Network Attached Storage)は、家庭などのネットワーク(LAN)に設置しておくことで PC やスマホ、タブレット、Apple TV や Fire TV 等の STB(Set Top Box)など複数のデバイスから NAS に保存してある写真データや楽曲データなどにアクセス出来るようになります。初期の導入コストはある程度掛かりますが、一度使えばもうこれ無しの生活は考えられなくなるほど(大袈裟?)便利な記憶装置です。
うちでは Synology の「DiskStation DS218j」という NAS を導入して楽曲データや撮影データ、文書ファイルなどを共有していましたが、「DS218j」は使い始めてから 6年経ってしまいました。もちろん NAS なので電源はずっと入れっ放しです。
まだ全然故障するような兆候は出ていませんが、搭載している HDD の方も 6年になるので、容量アップも兼ねて NAS を入れ替えることにしました。
今回購入したのは Synology が発売している NAS の中でホームオフィスや小規模オフィス製品として位置付けられている「Plusシリーズ」に属した「DiskStation DS224+」というモデル。
実は当初はワンランク下の ” Valueシリーズ ” に属する「DS223」というモデルで十分かなと思っていたのですが、ポイントまで考慮した際に価格差がさほど無かったので、楽天の上新電機で購入しました。長く使うことになるデバイスですし、予算が許す範囲で出来るだけ上位の製品を買っておく方が後悔せずに済みますからね・・・。
ちなみに Synology は、2000年に設立されたネットワーク機器製品の開発・販売を柱にしている台湾の会社で、「QNAP」「ASUSTOR」などと共に ” NAS御三家 ” の一角も占めています。日本法人も設立されていて、家庭用ルーター事業にもかなり力を入れてきているようですね。
これまで使っていた「DS218j」と今回購入した「DS224+」、購入候補として検討していた「DS223」のスペックや機能の比較は以下の通りです。いずれも HDD / SSD の搭載は 2基まで。
DS224+ | DS223 | DS218j | |
---|---|---|---|
発売日 | 2023.7.20 | 2023.1.12 | 2017.10.27 |
CPU | Intel Celeron J4125 (4コア、2.0 / 2.7 GHz) |
Realtek RTD1619B (4コア、1.7 GHz) |
Marvell Armada 385 (2コア、1.3 GHz) |
メモリー | 2GB DDR4(最大 6GB) | 2GB DDR4(拡張不可) | 512MB DDR3(拡張不可) |
対応 RAID | Synology Hybrid RAID、Basic、JBOD、RAID 0、RAID 1 | ||
ファイルシステム | Btrfs、ext4 | Btrfs、ext4 | ext4 |
ホットスワップ | ○ | ○ | ✕ |
LANポート | 1GbEx2(Link Aggregation 対応) | 1GbEx1 | 1GbEx1 |
USBポート | USB 3.2 Gen 1x2 | USB 3.2 Gen 1x3 | USB 3.0x2 |
ノイズレベル | 22 dB(A) | 14.6 dB(A) | 18.2 dB(A) |
消費電力 | 14.69 W(定格) 4.41 W(ハイバネーション時) |
17.34 W(定格) 4.08 W(ハイバネーション時) |
17.48 W(定格) 7.03 W(ハイバネーション時) |
外形寸法 | 165x108x232.2 mm | 165x108x232.7 mm | 165x100x225.5 mm |
重量 | 1.3 kg | 1.28 kg | 0.88 kg |
「DS224+」の最大の特徴は intel の CPU を採用し、メモリが拡張可能であることでしょう。NAS と言えどメモリに余裕があるに越したことはありません。正直、512GB しかメモリを搭載していない DS218j では、負荷の高い作業をさせた時に非力さを感じる場面もありました。公称最大 6GB とされていますが、18GB(内蔵 2GB+拡張 16GB)にまで増設している方も居るようです。「Celeron J4125」の方も格安ノートPC に採用されているケースもあるようなので、NAS の CPU としては十分な性能でしょう。
DS218j は「ext4」というファイルシステムにしか対応していませんでしたが、DS224+ では「ext4」に加えて「Btrfs(B-tree file system)」というファイルシステムにも対応しています。「Btrfs」には自動的にデータの履歴を取得する「Snapshot Replication」などの機能を備えており、耐障害性や復元性に優れているとのこと。スナップショットを撮影しても必要とされるストレージ領域は極僅かで、Btrfs の「copy-on-write」という仕組みがデータ書き換え時の安全性も高めてくれるようです。
DS218j で使えていた DTCP-IP対応のメディアサーバーアプリ「DiXiM Media Server」は、開発元のデジオンが提供を止めてしまったので DS224+ では利用することが出来ません。当初は利用出来る機種を増やしていくようなことを言っていたのですが、結局 DS218j 専用のアプリ止まりでした。まあ nasne の録画番組を移せたりしたのですが、使い勝手がいいとも言えなかったので、これはまあ・・・(苦笑)。
sMedio の「DTCP Move」というアプリは DS224+ でも使えるようなので、DTCP-IP対応のアプリを探している場合は利用してみてもいいかも知れません。私も気が向いたら試してみたいと思います。ただ、こちらのアプリにはトランスコード機能は無いらしいという点にはご注意を。
■ Synology「DiskStation DS224+」のハードウェアをチェック!
それでは今回新たに購入したSynology の NAS「DiskStation DS224+」のハードウェアをチェックしてみたいと思います。茶箱の質素なパッケージはいつもの Synology 製品という感じ。
代理店は ASK でした。フィールドレイクが代理店となっている場合もあるようです。HDD の取り付けから電源投入までが極簡単にイラストで図示された「Quick Installation Guide」や保証書などのほかに、「初心者ガイド - DSM 7.Xを基に」というかなり立派な解説書が同梱されていました。こちらの解説書は PDF でも提供されています。他の文書と共に必要に応じて入手するとよいでしょう。
個人的にはこれらマニュアル類こそ NAS に入れておくべきものだと思います。いちいちマニュアルを探さなくても iPad などからパパッと見ることが出来て便利ですよ。
NAS 本体のほかに ACアダプタと電源コード、2本の LANケーブルと 2.5インチの HDD / SSD を取り付けるためのネジセットが付属していました。
付属の LANケーブルはカテゴリー 5e のもの。まあ NAS 程度の転送速度ならこれで充分でしょう。ACアダプタは 60W のものでした。コンセントに挿す部分は普通の ACプラグなので、隣のコンセントが使えなくなるという心配が無いのはいいですね。
左右の Synology のロゴは吸気ポートを兼ねています。
底面前方にも吸気ポート。
前面のパネルは取り外し式です。排気ファンは 92mm 角のものが 1基。この手の機器は分解すると保証が無効になってしまうものが多いですが、「DS224+」に関してはメモリ増設以外にも排気ファンの交換が認められているようで、ケース側板の外し方まできちんとマニュアルに記載されていました。背面の USBポートはもう 1つ欲しかった・・・。
■ ハードディスクの組み付け
今回「DS224+」に組み込む HDD は、予め購入しておいた Western Digital の「WD60EFPX」。NAS向けとされる「WD Red Plus」の製品で、書き込み方式に ” CMR方式 ” を採用した高耐久モデルです。 それでは HDD を組み付けていくことにしましょう。
フロントパネルのドライブベイカバーを外すとドライブトレイにアクセスすることが出来るようになるので「Push」と書かれた部分を押し上げてドライブトレイを引き出します。
一旦 NAS に火を入れてしまえば滅多に内部にアクセスすることは無くなるので、ついでに側板を外して中も見ておくことにしました。側板はネジ止めされているわけではなく、ツメで固定されているだけなので簡単に外す事が可能です。ちなみに HDD を交換したりメモリを増設する程度ではここまでバラす必要は全くありません。基板も見てみたかったところですが、さすがに買ったばかりで壊すわけにもいかないので止めておきました。恐らくこちらもツメで留められているのだろうと思います。
HDD を取り付けると言ってもトレイに HDD を載せ、防振ゴム素材で出来たブッシュに側板を填め込むだけと超簡単!ネジ止めする必要すらありません(2.5インチの HDD / SSD を取り付ける場合は背面から付属のネジで固定する必要があります)。
ディスクトレイを奥まで差し込み、フロントパネルを取り付ければ作業完了!フロントパネルも裏面にゴムブッシュが取り付けられているので、こちらもネジなど一切不要で着脱可能です。ただ、このゴムブッシュは経年劣化するかも知れませんね・・・。その場合はホームセンター等で何か適当なものを見繕ってこないといけないかも?
我が家のネットワーク機器コーナー(笑)。「DS218j」からはほんの少しサイズアップしただけですが、性能は格段に上がったはず。NAS としてのデザインも家庭向きだと思います。OS にあたる「DiskStation Manager(DSM)」のインストールと初期設定については次回の記事にて。