自転車に乗った後、家に帰ってからサイクルコンピューターやスマートウォッチで記録しておいた走行データを見返してみるのも楽しいものです。「今日はどれくらいの距離を走ったっけ?」「今日走ったコースは走りやすかったからまた行ってみよう」「アップダウンはこんな感じだったのか」などと、記録されたデータを眺めながらニヨニヨしているのは私だけでは無い・・・はず?
私はサイクリングだけで無くランニングのデータも記録したかったのでサイクルコンピューターでは無く、Garmin の「ForeAthlete 745」というスマートウォッチを使って走行データの記録を行っています。
「ForeAthlete 745」を使えば走行経路の記録、アップダウンの状況、心拍データ、気温推移や消費カロリーの推計まで行ってくれます。走行スピードも衛星測位データから算出してくれますが、トンネルに入ったりすると走行距離に誤差が出てきますし、さすがにケイデンス(1分間のクランク回転数)も記録したければ別途センサーの取付が必要です。
スピード/ケイデンスセンサーは様々なメーカーから発売されています。私の使っている「ForeAthlete 745」は「ANT+」と「Bluetooth」規格の外部センサーに対応しているので、市販されている大体のものとはペアリング出来るはずですが、TREK の純正アクセサリーを取り扱う「Bontrager」が FX 3 Disc にビルトイン可能なセンサーを発売しているとのことなので、購入して取り付けてみることにしました。
■ Bontrager「DuoTrap S」Digital Sensor
「DuoTrap S」は、「ANT+」と「Bluetooth」両方の規格に対応しているので、Garmin のサイクルコンピューターやスマートウォッチとはもちろん、幅広いデバイスともペアリングする事が可能です。
TREK のロードバイクやクロスバイクの多くには右の写真の様な「DuoTrap S」専用の取り付けスペースが左側のチェーンステーに用意されています(最近の Checkpoint には取り付けられないようですが)。
このカバーを外して代わりに「DuoTrap S」を組み込むことで、バンドで固定したりせずとも、スマートにスピード/ケイデンスセンサーを取り付けることが出来るというわけですね。
さてこの「DuoTrap S」、入手性がやや悪いのが難点です。Bontrager の製品は基本的に通販で入手する事が出来ないのですよね。TREK 直営店かコンセプトショップなど TREK のバイクを取り扱っている店舗に直接行って買ってくるしかありません。ワイズロードなら一応 Webショップで注文は出来ますが、配送はしてくれないので実店舗に受取に行く必要があります。
価格も税込 7,370円と、スピード/ケイデンス測定用のセンサーとしてはやや高めです。この辺りのこともあって急いで買うつもりはなかったのですが、ある日フリマアプリを覗いていると、中古のセンサーが安めに出ていたので思わず飛びついてしまったというわけです(笑)。フリマやオークションではたまに無限在庫の新品も見かけますが、そちらは関係者の方の横流し(?)でしょうかね。近くに TREK の取扱店が無い方は買ってみるのもありかも知れません(保証は受けられないと思いますが)。
■ 中古で購入したのだが・・・
届いたパーツがこちら。フリマサイトで購入するときには気付かなかったのですが、実はアルミバイクに取り付ける際に使用するガスケットと一番小さいケイデンスバンドが含まれていませんでした。
この辺はもろに個人売買のリスクですね・・・。DuoTrap S に組み込むコイン電池はこちらで用意するように書かれていましたが、その他欠品については一切記載なし。これは分かりませんわ。
右の写真の緑で囲ったパーツが問題の「ガスケット」です。恐らくアルミバイクの場合は最悪無くても取り付け可能ですが、ガタついてネジが緩みやすくなったりフレーム内に水が入ったりするかも知れません。いっそ無しで取り付けるか、カーボンバイク用のガスケットの一部を切り取って代用しようかとも考えましたが、ダメ元で TREK の直営店でガスケットを分けてもらえないか聞いてみたところ、まさかの神対応!300円で分けて頂くことが出来ました。
取り付けマニュアルも付属していませんでしたが、こちらについてはサイコンとセットになったもののマニュアルがダウンロード可能なことを事前に調査済み。
TREK のお店ではガスケットだけ分けて頂くのも気が引けたので ” ご当地Tシャツ ” も合わせて購入。Tシャツは何枚あっても困りませんからね。この Tシャツ、直営店毎に地域の特徴となるシンボルが胸元にあしらわれています。ケイデンスバンドについては中間のサイズのもので大丈夫そうでした。あ、パーツを分けて頂けたのはたまたま幸運だっただけかも知れませんので、問い合わせをされる場合は ” ダメ元 ” でお願いしますね。
■ TREK FX 3 Disc への取り付け
パーツが揃ったので、実際に TREK FX 3 Disc に取り付けてみることにします。まずは DuoTrap S へのコイン電池の組み込みから。センサー横の蓋を硬貨を使って開き、「CR2032」を取り付けます。
センサー取付部のカバーを外したら予めガスケットを通しておいた DuoTrap S を FX 3 Disc に取り付け、センサー付属のネジで固定します。FX 3 Disc のようなアルミバイクの場合はチェーンステーに直接センサーを取り付けますが、カーボンバイクはフレームを傷めないようグロメットでチェーンステーを挟んで固定するような形になっているようです。ホイールは外した方が取付が楽でしょう。
続いてマグネットを取り付けます。速度計測用のマグネットはスポークを台座で挟んでねじ込むだけです。センサーとマグネットの位置が正しければホイールを回転させたときに DuoTrap S の赤色LED が点灯するので、そうなるように位置を調節します。外れないようしっかりねじ込んでおくこと。
ケイデンスバンドの取り付けは一旦ペダルを外す必要があります。チェーンステーとの隙間を見ながら使用するバンドを選んでください。FX 3 Disc の場合は真ん中のサイズのもので良さそうでした。こちらもセンサーとの位置関係が正しければクランクが通過したときに DuoTrap S の緑色LED が点灯するので、そうなるように位置を調節して下さい。上手くセンサーが反応しない場合は、ケイデンスバンドとクランクの間に「ケイデンスバンド用シム」という板状のパーツを挟むと良いでしょう(私はそうしました)。
ペダルの外し方については以下の記事で触れていますので参照下さい。ケイデンスバンドを取り付けた後、元通りにペダルを取り付け直せば作業完了です。
■ Garmin ForeAthlete 745 とペアリング
いずれ手に入れたいのはやまやまですが、取りあえず当面の間はサイコンの入手は我慢するとして、サイクリングだけでなくランニング用としても使っている Garmin のスマートウォッチ「ForeAthlete 745」と今回取り付けた「DuoTrap S」を連携させておくことにします。「ForeAthlete 745」については以下の記事でレビューしていますので、興味のある方はどうぞ。
「ForeAthlete 745」の場合、左側真ん中のボタンを長押しし、左下のボタンを何度か押して「センサー」の項目に入り、「センサー追加」を押します。「スピード/ケイデンス」を選択した状態で FX 3 Disc の後輪を回すと「DuoTrap S」が検出されます。この状態で右上のボタンを押せば ForeAthlete 745 に DuoTrap S が登録され、すぐに使用可能な状態になります。
「ケイデンス」については 1分間のクランクの回転数ですからセンサーで検知された値をそのまま読めばよいだけですが、「速度」は以下の算式で求められます。
時速(km/h)=【ケイデンス】x【ギア比】x【タイヤ外周の長さ(mm)】
x【60(分)】÷【1,000,000(mm→km変換)】
こんな計算ずっと走りながら出来る変人はまあいないでしょう(笑)。そこでサイクルコンピューターなりスマートウォッチの出番となるわけですが、正しい値を得るためには ForeAthlete 745 に「タイヤ周長」を設定してやる必要があります。
「タイヤ周長」は、メーカーに拠っては仕様表に記載されているものもあるようですが、FX 3 Disc に使われている「Bontrager H2 Comp Hybrid Tire」の 仕様表 にはタイヤの周長に関する記述がありません。
代わりに「ETRTO(エトルト)」という項目に「32-622」という記述がされています。この「ETRTO」というのがタイヤの規格を表していて、「(タイヤ幅mm)ー(タイヤ内径mm)」という表記になっているそうです。つまり、FX 3 Disc に標準装備されていた「Bontrager H2 Comp Hybrid Tire」の場合は、幅 32mm、内径 622mm のタイヤだということですね。
体重や空気圧などによって多少の誤差は出ますが、「Bontrager H2 Comp Hybrid Tire」の場合は タイヤ幅 ≓ タイヤ高 と思って良さそうでした。円の外周の長さは、「2x円周率x半径」で求められますから、
がタイヤ外周長となるようです。どうしても正確な値が欲しければ乗車した状態でバルブを目安に地面に印を付けておき、タイヤを 1回転させた所までの距離を実測して下さい。ちなみに「計算や実測なんて面倒だ!」という方は、CAT EYE が公開している「タイヤ周長ガイド(PDF)」などを参考にするのも良いでしょう。
というわけで、ForeAthlete 745 には切りの良い 2155mm でタイヤ周長を登録しておく事にしました。センサーの名前も初期状態では数字が羅列されただけの分かりにくい名前になっているので「DuoTrap S」に変更しておきます。
ForeAthlete 745 で表示させてみた例が右の写真です。「SPEED」はいいとして、「CAD」と表示されているところがケイデンスですね(この時はクランクは回していなかったので ” 0 ” の表示になっていますが)。Garmin Edgeシリーズのような専用のサイコンを使ったときほど見易いとは言えませんが、走行中でもちょっと片手を上げれば充分確認可能です。
「Garmin Connect」では以下の様に表示されます。速度はまあいいとして、ケイデンスは異常値が時々出てしまうようです。先日なんて最大値が 193 とか表示されましたから(苦笑)。
ケイデンスの異常値が出る理由を考えてみたのですが、どうやら下っている時なんかに小刻みにクランクがセンサー付近を行ったり来たりしているのが原因ではないかと思います。私の場合、下りでスピードを出すときにペダルを 9時 - 3時 で平行にして乗るのですが、たぶんその時でしょう。ForeAthlete 745 の方で閾値を設定出来れば無視させる事も出来るのでしょうが、残念ながらそのような機能は無いようです。
■ 楽しみが増えました
元々貧脚な上に写真を撮ったり道を探したりで平均スピードが遅いので有効活用出来ているのかと聞かれれば「アハハ」と笑ってごまかすしかありませんが、今回 DuoTrap S を取り付けたことでまた自転車に乗る楽しみが増えました。少しでも役立てられるように徐々に体力を付けて行きたいと思います。
「DuoTrap S」は、商品説明の謳い文句にあるような「瞬時に取付」とまではいきませんでしたが、TREKバイクに専用設計されているため、一体感があって非常にスマートな見た目だと思います。トレーニングに使われる方はもちろんのこと、サイクリングに出掛けるモチベーション向上にも一役買うと思うので、取り付けてみるのもいいんじゃないでしょうか。
TREK 専用品なので他社のバイクに乗り換えたりすると使えなくなってしまうのが難点ですが、中古の需要もそこそこあるようなので、万が一不要になってしまっても少なくとも半額くらいは回収できるかと思います。付属品はできるだけ保管しておきましょう。