メインPC のシステムドライブ用として KIOXIA(キオクシア)製の PCIe 4.0 規格に対応した「EXCERIA PRO」という M.2 SSD を購入してみましたのでレビューしておきます。KIOXIA が開発した「BiCS FLASH」という 3次元フラッシュメモリを採用した製品です。
KIOXIA(キオクシア)は、東芝の半導体メモリ事業分社化によって設立された「東芝メモリ株式会社」を母体としています。現在 SSD に用いられている「NAND 型フラッシュメモリ」は東芝に在籍していた舛岡富士雄氏が発明したのだそう。東芝の経営危機さえ無ければ今でも主力事業の 1つとなっていたのだろうと思われます。
紆余曲折を経て 2024年12月18日に東京証券取引所に上場することとなりましたが、東芝から分離売却される際に韓国 SK hynix の出資を受け入れてしまったことが尾を引い Western Digital との経営統合が破談になってしまうなど前途多難な様相を示しています。KIOXIA が主力事業としている NAND 型フラッシュメモリ自体の市況も不安定な状態が続いている模様。
そんな KIOXIA の M.2 SSD ですが、コストパフォーマンスに関してはピカイチレベル。もっと安価な SSD もあるにはありますが、よく分からない中華製を買うより国産メモリ(NAND 型フラッシュメモリは全て四日市の工場で生産しているそうです)を使用した KIOXIA の製品を買いたい!ということで、個人向け SSD の中で最上位グレードの「EXCERIA PRO」を試してみることにした次第です。
KIOXIA の製品はこれまでに USBメモリ や microSDカード を使ったことがありますが、SSD に関しては今回が初めて。どのようなパフォーマンスを示してくれるのか楽しみです。
今回購入したのは「EXCERIA PRO」シリーズの 1TB モデル。KIOXIA の M.2 SSD には他に「EXCERIA PLUS」「EXCERIA」などのシリーズがあるようですが、現在入手可能なモデルについて比較しておくこととします(EXCERIA PLUS G2 は店頭在庫のみの模様)。いずれも 1TB のモデルでの性能比較です。
Product Line | EXCERIA PRO | EXCERIA PLUS G3 | EXCERIA PLUS G2 |
---|---|---|---|
Form Factor | M.2 Type 2280 M-key | ||
Flash Memory Type | BiCS FLASH TLC | ||
Interface | PCIe Gen4x4 NVMe 1.4 |
PCIe Gen4x4 NVMe 1.4 |
PCIe Gen3x4 NVMe 1.3c |
Sequential Read | 7,300 MB/s | 5,000 MB/s | 3,400 MB/s |
Sequential Write | 6,430 MB/s | 3,900 MB/s | 3,200 MB/s |
Random Read | 1,000,000 IOPS | 770,000 IOPS | 680,000 IOPS |
Random Write | 1,100,000 IOPS | 950,000 IOPS | 620,000 IOPS |
MTTF (平均故障間隔) | 150 万時間 | ||
TBW | 400 TBW | 600 TBW | 400 TBW |
保証期間 | 5年間 |
PCIe 5.0 に対応し、Read 最大 10,000MB/s Write 最大 7,900MB/s(2TB モデルは 8,20MB/s)の性能を持つ「EXCERIA PLUS G4」というシリーズの販売が間もなく始まるようです。価格次第ではありますが、TBW も向上しているようなので、これから買うのであれば EXCERIA PRO よりそちらの方がいいかも知れません。EXCERIA PRO に関しては性能はともかく現行の他社製品と比較すると耐久性能評価(TBW)の値がやや低いのが気になるところ。
また、KIOXIA の SSD 全般に言えることですが、5年間の製品保証が付いていると言っても専用管理ソフトの「SSD Utility」で「残り寿命の割合」がゼロになった場合はその時点で保証期間が終了してしまうと言う点にも要注意です。このような表記は他社製品で見掛けた覚えが無いのですよねぇ・・・。
ヒートシンクは付いていません。製造は KIOXIA ですが、国内の販売とサポートはバッファローが請け負っているようです。取扱説明書については以下より PDF でも入手可能。
チップは片面実装でした。ラベルの下にコントローラーチップがあるはずですが、シールを剥がしてしまうと保証が無効になってしまうので確認は出来ず。基板の裏にも配線パターンがありますが、2TB モデルでも片面実装となっているとのこと。いずれ大容量モデルも出てくるのでしょうか?
マザーボードへ装着!今回はマザーボード付属のヒートシンクをそのまま使用することにしました。サーマルパッドの保護シートは外すのを忘れないように!性能を重視したい場合は一般に CPU に一番近い M.2 スロットに SSD を装着するのが良いみたいです。SSD 自身も発熱する上に CPU の廃熱やらグラボの廃熱やらで環境的にはかなり劣悪なのですけどね。
■ 管理ソフトウェア「SSD UTILITY」
専用の管理ソフトウェアも勿論用意されています。その名も「SSD UTILITY」!(安直な名前だw)。以下のリンクから無料でダウンロードすることが可能です。
S.M.A.R.T. データの確認、ファームウェアの更新、完全消去など、出来る事は他社の SSD ユーティリティとだいたい同じです。
「設定」タブの「GUI を閉じた後も SSD Utility をバックグラウンドで実行」「ログイン時に SSD Utility を自動的に起動」はチェックを入れておいた方がよいでしょう。
■ ベンチマークを取ってみました
定番のベンチマークソフト「CrystalDiskMark 8」でベンチを取ってみました。
テストサイズを 64Mib から 64GiB の間で変化させても概ね同じ様な結果が得られました。DRAM キャッシュがよく効いているのでしょう。冬なのであまり参考にはなりませんが、温度変化は通常使用時で 36℃ 前後、連続的にテストを行った際の最高値で 53℃ 前後でした。
ただ、ちょっと気になるのが「EXCERIA PRO」SSD の寿命について。左の「CrystalDiskInfo」の表示でも「健康状態」が 99% となってしまっていますが、実はこの後しばらくして 98% にまで落ちてしまいました。まだ使い始めてから 600時間も経っていないので、ちょっとこのペースは心配になる早さです。
取りあえずはこのまま当面様子を見るつもりですが、正直に言って PC のシステムディスクとして利用するのはちょっとお勧めし難いかも知れない・・・。性能に関しては申し分ないのですけどね・・・。
たまたまハズレを引いてしまった可能性もありますが、実際 Amazon のレビューなどでも寿命の減りが早いという記述が散見されるのが気になります。やはり安パイは Western Digital や Seagate の SSD になるんでしょうかね。「EXCERIA PLUS」シリーズの方では寿命に関する不安は出ていないようなので、1月下旬頃に発売されるという KIOXIA の「EXCERIA PLUS G4 SSDシリーズ」も気にはなります。