アウトドア系カジュアルファッションブランドのエディー・バウアーから先日「エディー・バウアー 閉店のお知らせ 【閉店セール】のご案内」という eメールが届きました。私の使っている Shriken 2018 ではうまく送られてきた htmlメールの表示が出来なかったようなのでリンクをクリックしてみると・・・。
ええ?!なんとアウトレットや実店舗のみならず、オンラインショップも含めた全店舗閉店とな?!つまりは日本撤退?!てっきりどこかの店舗が閉鎖になる位かと思って開いただけにこれにはビックリです。とても着心地がいいので、私の持っている服の半分くらいはここの製品だったのですよね。
■ 創業は 1920年!昨年 100周年を迎えたばかりなのに・・・
エディ・バウアーは、ブランドネームになっている ” エディ・バウアー ” 氏が 1920年に米国・シアトルでスポーツ用品店として誕生します。世界初となるダウンパーカーを発案し、米空軍やヒマラヤ遠征隊に採用されるなど、エクストリーム系ウェアを初めとするアウトドアカジュアルブランドとして認知され、1994年には住商オットー(現ノース・モール株式会社)との合弁によって日本へ上陸し、直営店の展開の他にカタログ通販(その後オンラインショップも開設)などを行っていました。
実は米国のエディバウアーは、2003年と 2009年の 2回連邦破産法 11条(Chapter 11:日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、事実上の破綻を経験しています。” ZARA ” や ” H&M ”、” GAP ” などの所謂 ” ファスト・ファッション ” の隆盛の波に揉まれ、負債の膨張と資金繰りの悪化に耐えきれなかったようです。エディ・バウアー・ジャパンは独立した会社だったためそのまま営業を継続し、本社の方もその後ファンドの傘下に入って再建が進められましたが、今年の 6月には米国のブランド管理会社「Authentic Brands Group(以下 ABG)」に買収されていました。
今回の全店舗閉店・日本撤退の原因が何だったかは開示されていないので勝手な推測でしかありませんが、恐らく ABG側の ” 選択と集中 ” 戦略の中でブランド使用許諾に関する契約の辺りで揉めたのが直接の原因なんじゃないかと思います。今回の件とは恐らく直接の関係はないかと思いますが、直近 3年間の官報の決算公告を見る限り、エディ・バウアー・ジャパンの業績自体も好調とは言い難く、累積赤字が解消しきれない状態が続いていたようですね。今年のデータは見つかりませんでしたが、このコロナ禍の中、かなり厳しいものになっているのはほぼ間違い無いでしょう。
2020年2月期 | 2019年2月期 | 2018年2月期 | |
---|---|---|---|
純利益 | ▲ 5億5400万円 (赤字転落) |
7600万円 (▲ 50.0%) |
1億5200万円 |
利益剰余金 | ▲ 9億4400万円 (赤字拡大) |
▲ 3億8900万円 (赤字縮小) |
▲ 4億6500万円 |
純資産 | 20億5700万円 (▲ 21.25%) |
26億1200万円 (+ 3.86%) |
25億1500万円 |
総資産 | 58億9300万円 (▲ 3.25%) |
60億9100万円 (+ 0.38%) |
60億6800万円 |
※ ソース:官報決算公告
エディ・バウアーは、昨年創業 100周年を迎えたばかりでした。今年の 9月に入った辺りから急に eメールでセールの告知が届く頻度が増え、尋常で無い割引率が提示されていたので何か変だなとは思っていましたが、まさかこういう形になってしまうとは。その時は特に必要のあるものが無かったので見送っていましたが、もっと買っておけば良かったです・・・。今回の発表があって以降オンラインショッピングサイトは深夜になってもまともに商品を見れないほど重い状態が続いているようですね。
■ 神戸元町店へ
最期になるかも知れないのでブーツを買っておくことにしました。オンラインで注文してショップで受け取るという形が選べたので、せっかくなのでもう一度ショップを見に行っておくことにします。
エディ・バウアー 神戸元町店の場所はこちら ⬇
お店は旧居留地のお洒落なお店が建ち並ぶ一角にあります。この界隈は建物が面白いので散歩していても気持ちいいのですよね。隣にはパタゴニアさんが、はす向かいには mont-bell さんがあります。
エディ・バウアーはオンラインショップで買ってもズボンの裾上げなどをしてくれたので最近はあまり店舗の方には行っていませんでしたが、無くなってしまうと本当に寂しくなります。落ち着いた雰囲気のある店内で、店員さんが程よい距離感を取ってくれる(もちろん聞けばしっかり説明してくれます)のでゆっくりと買い物をすることができ、非常に居心地のいいお店でした。
ただ注文していたブーツを受け取るだけというのも味気ないので、もう 1点、ソフトシェルジャケットを購入しておくことにしました。非常に軽く出来ているので、サイクリングに出掛けるときに持って行っておくと急な温度変化にも対応出来そうです。9月中に買っていればもっと安く買うチャンスもあったのですが、どちらも長く使えるものですし閉店してしまうとは思ってもいなかったのでまあ仕方ないですね。
実店舗の方はかなり刈り尽くされてしまっているかとも思ったのですが、意外なことに商品はまだまだ潤沢な在庫がありました。お店の方に聞いてみたところ、開いているお店の方には商品の供給がまだ当分の間続くとのことなので、お近くの方は閉店前に一度訪れてみてください。ダウンジャケットやコートなども色んな種類のものがまだ売られていました。品質はかなりいいと思いますよ。
少しお話しさせて頂いたのですが、今回の撤退の件はお店の方にとってもかなり急な話だったそうです。神戸元町店についてはまだはっきりとした閉店時期の連絡は無いらしく、恐らく最期まで営業させてもらえるのではないかとのこと。閉店までは拘束される上に身の振り方のサポートなども無いそうで、このコロナ禍の中、お気の毒としか言い様がありません。やはり米国の本社を買収した ABG の意向らしいようなことをおっしゃっていました。
オンラインショップの方は新聞やテレビニュースでもでも採り上げられたこともあってか、ここ最近はずっとパンクした状態で商品閲覧すら困難な状態になってしまっていますね。いやはや、それにしても残念です。閉まってしまう前にもう 1度くらいお店の方へ伺えるといいのですけどね。
先日日本から撤退してしまったばかりのエディ・バウアーですが、業界情報サイトの記事 に拠ると 2023年の春夏シーズンから再参入することが決まったそうです。今度は伊藤忠商事がバックに付き、「水甚」という岐阜のアパレル企業とタッグを組むそうです。直営店の他、オンラインショップも再び稼働するようですが、場所を含め詳細は今のところ未定のようです。神戸にも出来るといいのですけどね。
(2022.8.23)