ランニング用のスマートウォッチを 「Garmin ForeAthlete 235J」から同社の「ForeAthlete 645」へ買い換えました。日本では今年の 5月末に発売されたモデルです。
235J でも機能的にはほぼ満足していたのですが、どうも電池保ちが今ひとつ良くない点が気になっていました。また、「645」では屋外で使った時に画面がかなり見やすくなっているようだという点と、ステンレスベゼルを使ったデザインの良さに強く惹かれてしまいました。1ヶ月ほど実際に使ってみたので軽くレビューしてみたいと思います。
製品の詳細はこちらから ⇒⇒ ForeAthlete 645(Garmin)
パッケージは 235j よりはかなりましになったかなとは思いますが、残念ながら初めて開封する Apple 製品のようなワクワク感が得られるようなものではありませんね。
ForeAthlete 645 には姉妹モデルとして「 ForeAthlete 645 Music」という製品も発売されています。こちらは名前に「Music」の付くとおり音楽再生機能が追加されたモデルです。時計本体に予め音楽ファイルを転送しておくことで、Bluetoothイヤホンと連携させてスマホ要らずでトレーニングしながら音楽が聴けるようになります。
ただ、私の場合スマホは montbell のドリンクホルダー付きのウエストポーチに一緒に入れて走っているので、特に時計だけで音楽を再生させることのできる機能は必要なかった事と、音楽を聴くにしてもさすがにスマホの操作性にはかなわないだろうと思った事、iPhone と Powerbeats3 の組み合わせでほとんど音の途切れなどが無く非常に快適に使用できている事などから音楽再生機能の無い方のモデルを選びました。実売価格の差は 5,000円程なので、そこが気にならないのであれば機能の多い方を選ぶというのはそれはそれでアリだとは思います。違いは音楽再生機能(保存可能楽曲数:最大500曲、3.5GBまで ストリーミングサービスは AWA と LINE MUSIC に対応、Spotify は対応予定?)の有無とベルトやベゼルのカラーバリエーションだけです。
Apple Watch も 9月に新機種が発売されるという噂があったのでもちろん気にはなっていましたが、あちらは電池の保ちにまだ懸念があったのと、既に使い慣れているという点で今回も Garmin の製品にしました。Apple Pay が時計単体で使えるという点はかなり魅力的でしたが、こちらでも Garmin Pay というサービスが始まったので今後に期待してみたいと思います。
付属品は、充電ケーブルとクイックスタートガイドにステッカーが何枚かだけと、かなり質素なものでした。235J の時のような交換用のベルトやベルト交換用の工具などは付属しておらず別売となっています。(ちなみに 645 のバンド交換はクイックリリースピンをスライドさせるだけの工具要らずとなっています。)詳細な取扱説明書を Garmin の HP から PDF で落とすことができるので、クイックスタートガイドと共に iPhone などに転送しておくと便利でしょう。保証期間は購入から 1年間です。
ステンレススチール製のベゼルと化学強化ガラスのディスプレイのおかげでおもちゃっぽさは無くなりました。普段使いのみならず、別売のレザーバンドに付け替えてやれば仕事の時にはめていても違和感は少なそうです。重量は 235J とほぼ同じ 42.2 gで、ランニング時に付けていても全く気になりません。これで GPS はもちろん光学式心拍計に気圧高度計や温度計、NFC決済機能まで搭載しているのですから改めて驚きます。正に ” スマートウォッチ ” という感じですね。
iPhone とのペアリングは非常に簡単になっていました。あらかじめ App Store から「Garmin Connect」というアプリを iPhone にインストールして立ち上げておき、電源を入れた ForeAthlete 645 を iPhone に近づけると 645 にパスコードが表示されるので iPhone に入力するだけで自動的にペアリング作業が完了してしまいます。もし認識できない場合は、「Garmin Connect」アプリ右下の「・・・(詳細)」というボタンから「Garmin デバイス」を選んで「デバイスの追加」を押し、画面の指示に従っていけば追加する事ができるはずです。
Wi-Fi 接続にも対応しているので、利用できる環境であれば「Connect IQ」のアプリや 645 Music であれば音楽データなどのダウンロード時間を短縮できるようです。対応している Wi-Fi の規格は、恐らく 2.4GHz 帯の IEEE802.11 b/g のみの対応だと思われます。
画面は強化ガラス製で傷つきにくくなっているとはいえ、走っている時に手がフェンスに当たったりということは十分考えられるので、一応以下の保護フイルムを貼っておくことにしました。
画面サイズも小さいので貼り付ける時に心配なホコリや気泡もスマホの時ほど気を使わなくて済みました。サイズもちょうど良かったです。転ばぬ先の杖ということで・・・。
「Tree Bench」という「Connect IQ」に登録されているベンチマークアプリでちょっと比較してみました。ForeAthlete 235j との比較ではやはりかなりの処理速度の差があるようです。メモリ容量も強化されていて、235J ではすぐにパンパンになってしまっていましたが 645 では割と余裕を持って好きなアプリを入れておくことが出来ます。ウォッチフェイスなどを気分によって切り替えやすくなりました。
両者の機能について比較してみると以下の表のようになります。645 と 645 music の違いは音楽関連の機能のみなので割愛しています。
機種名 | ForeAthlete 645 | ForeAthlete 235J |
---|---|---|
ディスプレイサイズ | 1.2 inch カラー | 1.23 inch カラー |
解像度 | 240x240 pixel | 215x180 pixel |
ディスプレイタイプ | 半透過 MIP 化学強化ガラス |
低反射素材 |
ベゼル | ステンレスチール | - |
本体サイズ(mm) | 425x425x135 | 450x450x117 |
重量 | 42.2g | 42g |
防水性能 | 5 ATM(水泳使用可) | |
データ保存容量 | 200時間分のアクティビティ追跡データ | |
稼働時間 | スマートモード:最大7日間 GPSモード+心拍計:最大14時間 |
スマートモード?:約9日間 GPS+GLONASS:約9時間 |
対応衛星測位システム | GPS,GLONASS みちびき、(Galileo) |
GPS,GLONASS みちびき |
心拍センサー | 3灯 1点光学式 | |
加速度計 | 〇 | 〇 |
気圧高度計 | 〇 | ✕ |
温度計 | 〇 | ✕ |
電子コンパス | 〇 | ✕ |
ジャイロセンサー | 〇 | ✕ |
外部センサー | ANT+、Bluetooth Smart対応機器(胸部心拍計、ランニングポッドなど) | |
Bluetooth | 4.2 | 〇 |
Wi-Fi | IEEE 802.11 b/g | |
Garmin Pay | 〇 | ✕ |
実際に買い換えてから使用してみてまず実感したのが電池の保ちの良さ。235J はスペック上ではそこそこ保ちそうに思えるのですが、少なくとも私の使っていた個体の場合では週末に使って普段は机上で放置という使い方でも 3~4日に一度は充電が必要でした。645 の方は 2時間ほどのランニングに使ってから放置していてもそのまま 1週間以上余裕で保っている感じです。
ディスプレイは上位モデルの 935 と同タイプの物を使っているようで、屋外の太陽光下でも非常に視認性が良くなっています。ディスプレイサイズこそ同じ 1.2インチですが、235J の解像度が 215 x 180 ピクセルだったのに対して 645 では 240 x 240 ピクセルとなっており、ジャギーが減ってとても滑らかに表示されるようになっています。暗くなってきても時計を見る動作をして腕を持ち上げると即座にバックライトが点灯し、容易にデータを確認することができます。「Connect IQ」に登録されているウォッチフェイスやアプリを自由にカスタマイズ出来るところも従来通り。CPUも速いものが使われているようで操作していてもキビキビと動く印象ですし、測位衛星の補足も素早く、GPS の他に GLONASS や「みちびき」にも対応していて隙がありません。
少し残念に思うのはベルトは 235J の方が良かったかなと思われる点。材質の違いなのか滑りが悪いように感じ、装着時に少し手間取る印象です。また、長さも 20mmと 235J の 22mmより僅かですが短くなっています。この僅かな差が装着のしやすさという点に少なからず影響しているのでは無いかと思いました。腕に巻いた時のフィット感は決して悪いものではないのですがね・・・。
ForeAthlete 645/645 Music では、「Garmin Pay」という Apple Watch に搭載されている「Apple Pay」と同様に時計をレジ端末にかざすだけで支払いの出来る NFC決済サービスが利用できるようになっています。小銭を持たずにランニングに出れるので普及さえしてくれれば便利なことこの上ないサービスだと思うのですが、Garmin Pay に関しては個人的に Apple Pay や QRコード決済、各種電子マネーなどの規格が乱立していることもあって果たして後追いで使い物になるようになるかどうかやや懐疑的に思っています。ただ、コンビニではまだローソンだけですがこの 9月から全国の店舗で使えるようになりました。ランニング中にコンビニに立ち寄ってさっとドリンクを補充することが出来るようになったというのはやはり大きな一歩ですね。
残念ながら今のところ登録することのできるカードは三菱UFJ銀行の発行する「三菱UFJ-VISAデビット」に限られてしまっています。順次拡大予定とはされているものの、他のクレジットカードなどがいつ頃登録できるようになるのかについてはなんとも言えません。これはかなり致命的です。
Garmin Pay はどうやら「Visaのタッチ決済機能」を使ったサービスのようなので、今後 VISA 系のクレジットカードなら登録できるものが出てくるのではないかと思われますが、この辺りは縄張り争いもありますので果たして MasterCard や JCB 系のカードが使えるようなるかどうか・・・。利用できる店舗を増やしてもらうことも勿論ですが、まずはこの登録できるカードの種類を増やしてもらわないことにはハードルが高すぎて利用する気にはなれません。せっかく便利になりそうな機能ですのでなんとか頑張って欲しいところです。
日本が独自に打ち上げた準天頂衛星測位システム(QZS system、QZSS)の「みちびき」は現在のところ準天頂軌道衛星(1、2、4号機)+静止軌道衛星(3号機)の4機で構成されているのですが、実は3号機で生じた不具合の原因究明と対策の為、2~4号機について6月から停波されていました。
ようやく対策が終わって 9月から試験電波の送信が再開されており、11月1日に予定されている正式サービス開始に向けた準備が進められているそうです。常に 1機は測位衛星が日本のほぼ真上に見える形となって都市部のビルや山間部の地形などの影響を受けにくくなるということですので、無事に正式サービス開始の目処がたったようでよかったですね。
⇒⇒⇒ 11/1付で正式にサービスが始まりました。
準天頂衛星の描く「8の字軌道」の仕組みについてはJAXAが [映像] 準天頂軌道 衛星模型 という動画と共にとてもわかりやすい解説を公開してくれているので興味のある方は一度ご覧になってみてください。
準天頂衛星は将来的(2023年頃)には 7機体制での運用が予定されているそうです。所謂「センチメートル級」の測位を腕時計で実現するためには小型化と低価格化という高いハードルを越えなければならないので当分の間腕時計サイズでは望むべくもありませんけどね。
2021年9月現在、ForeAthlete 645 は既にディスコンとなってしまっています。同価格帯の製品で今から買うのであれば ForeAthlete 745 でしょうかね。Suica が使えるようになるなど使い勝手もかなり良くなっているようです。