足下では急激に円高方向に為替レートが触れてきていますが、だいぶ前から決まっていたことなのでしょう。8月19日より Garmin のサイクリング関連製品が大幅値上げという告知がされています(Garmin のリリース文)。ざっと見たところ、概ね 15% ~ 17% 程度の値上げ幅となるようです。15% 程度と言っても元々高価な製品が多い Garmin のサイクリング用品。金額的にはかなりのインパクトが生じます。
別に Garmin 以外のメーカーの製品を使ったって構わないのですが、” Garmin Connect ” との連携で色々なデータを一元管理する事が出来るメリットは大きいでしょう。多くのサイクリストやランナーに支持されている理由はこういったところなのでしょうね。ということで、価格改定の影響と各製品の特徴を簡単にまとめておくことにします。
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■ サイクリングコンピューター「Edge」
サイクリングコンピューターが無くとも、走行経路のログを取ったり車速、ケイデンスなどのデータを記録することはスマートウォッチでも可能です。が、片手を上げて走行中に速度や斜度をチラ見したりするのはやはり危険を伴います。地図データの確認も可能なスマートウォッチもありますが、こちらは走りながら見るというのはまあ無理でしょう。
スマホでいいじゃないか?そうですね。地図検索は圧倒的に早いですし、各種データの記録はスマホでも行えます。私も急にコンビニを探したりする場合にはスマホも活用しています。10km や 20km 程度の短い距離のサイクリングならまあ問題ないでしょうが、最近はスマホで食事の支払いなどをすることが多いはず。どうしてもバッテリー消費は激しいので、長距離サイクリングに出掛けていざ何か買おうとした段階でバッテリー切れ見舞われるということもあり得ます。サイクリングコンピューターは常時ナビゲーションさせていてもバッテリーの保ちが段違いなのですよね。
Garmin のサイクリング用品の中では最も購入比率が高いであろうサイクリングコンピューターですが、現行機種はもれなく今回の価格改定の対象となってしまいました。
まずはその ” Edge ” シリーズのフラグシップモデルから確認してみましょう。
製品名 | 現行価格(税込) | 改定後価格(税込) | 価格変動率 |
---|---|---|---|
Edge 1050 セット | ¥124,800 | ¥143,800 | 約 15.2% |
Edge 1050(単品) | ¥109,800 | ¥126,800 | 約 15.5% |
Edge 1040 Solar(単品) | ¥109,800 | ¥126,800 | 約 15.5% |
” 10xx ” シリーズはフラグシップモデルなだけのことはあって、元々のお値段も高価です。このため 2万円ほどのかなりインパクトのある値上げ幅となっています。10xx シリーズの利点はなにより画面の大きさ。特にナビゲーション機能を使う際に最も恩恵を感じる事が出来るでしょう。
「Edge 1050」は 6月末に発売されたばかりの新製品ですが、こちらも価格改定の対象となってしまっています。ディスプレイがこれまでの MIP(半透過メモリインピクセル)から TFT液晶に変更されたことで色鮮やかになり、解像度も 480x800ピクセルとかなり精緻な表示が出来るようになりました。SoC も高速なものに変更され、これまで以上に快適な操作が行えるようになっているそうです。
反面、消費電力が増えたことによってバッテリー寿命が通常モードで約 20時間と、「Edge 840」の約 26時間という稼働時間からはかなり下がってしまいました。太陽光パネルを積載することも難しいらしく、ソーラーモデルも無くなってしまっています。また、Garmin Pay やベル機能の搭載など、多くの方にとって余計な機能となりそうな改良(?)が施されているのも悩ましいところ。
続いて中堅モデル。
製品名 | 現行価格(税込) | 改定後価格(税込) | 価格変動率 |
---|---|---|---|
Edge 840 Solar(単品) | ¥74,800 | ¥85,800 | 約 14.7% |
Edge 840 セット | ¥74,800 | ¥85,800 | 約 14.7% |
Edge 540 セット | ¥69,800 | ¥80,800 | 約 15.8% |
Edge 540(単品) | ¥54,800 | ¥63,800 | 約 16.4% |
「Edge 840」と「Edge 540」の差は、ストレージ容量の差とタッチ操作に対応しているかどうかくらいです。「Edge 540」にはソーラー充電に対応した「Edge 540 Solar」というモデルもありましたが、こちらは不人気だったのか、発売から半年ほどで姿を消してしまいました。「Edge 840」は単品購入が出来ないというのがまた商売が上手いというかなんというか(苦笑)。
「Edge 840」については以下の記事にてレビューしておりますので参考にして頂けると幸いです。 使い始めて 1年を過ぎましたが、非ソーラーモデルでもこれまでにバッテリー不足を感じたことはありません。日を跨ぐブルベなどに出る方以外は非ソーラーモデルで充分だと思います。
既に Garmin 公式では販売終了となっていますが、旧モデルの「Edge 530」もまだ入手出来るようです。
「Edge 530」は市中在庫のみかも知れないので、欲しい方はお早めにどうぞ。
地図の視認性とナビゲーション機能を重視した「Edge Explore 2」は外部の専用拡張バッテリーによる給電に対応した 1モデルのみが販売継続中。
製品名 | 現行価格(税込) | 改定後価格(税込) | 価格変動率 |
---|---|---|---|
Edge Explore 2 Power(単品) | ¥52,800 | ¥60,800 | 約 15.2% |
スピード&ケイデンスセンサーは別売りですが、画面が大きく地図が見やすいのが特徴です。この価格でタッチ操作も可能なのですよね。トレーニングやデータ分析に関係する機能などが省かれていますが、知らない場所をあちこち巡ってみたいという方には最適かも。「Edge Explore 2」という拡張バッテリーに対応しない分より安価なモデルもありましが、こちらは昨年販売終了となってしまいました。
エントリーモデルの「Edge 130 Plus」も値上げです。
製品名 | 現行価格(税込) | 改定後価格(税込) | 価格変動率 |
---|---|---|---|
Edge 130 Plus セット | ¥35,800 | ¥41,800 | 約 16.8% |
Edge 130 Plus(単品) | ¥28,800 | ¥33,800 | 約 17.4% |
「Edge 130 Plus」が発売されたのは 2020年。正直に言ってこの値段を出せるのなら他社製品でそこそこいいサイコンが買えるので、あえて今から選ぶ必要はないかと。稼働時間は最大 13時間。
■ リアビューレーダー「Varia」
最近各メーカーから様々な機種が発売されるようになって少しずつ認知されるようになって来た ” リアビューレーダー ”。「ミリ波レーダー」という、周波数 30GHz ~ 300GHz のマイクロ波よりも短い波長の電波を後方に照射して、対象物に反射して戻ってくるまでの時間を計測することで対象物までの距離を測定するものです。
製品名 | 現行価格(税込) | 改定後価格(税込) | 価格変動率 |
---|---|---|---|
Varia RCT715 | ¥53,900 | ¥62,800 | 約 16.5% |
Varia RTL515 | ¥29,700 | ¥34,800 | 約 17.2% |
Varia RVR315 | ¥22,000 | ¥35,800 | 約 17.2% |
ドライビングレコーダーの機能も付いた「RCT715」はこれで発売以来二度目の価格改定となりますが、かなり手を出しにくい価格になってしまいますね・・・。この手の安全に直結するデバイスは少しでも価格を下げて普及する努力をお願いしたいところなのですが・・・。
「RCT715」「RTL515」については過去にレビューしております。特に「RCT715」の方は動作の様子を短い動画でもご紹介しておりますので合わせてお読み下さい。 ” リアビューレーダー ” の効果は絶大ですが、これは実際に使ってみないと分からないかも知れません。もしショップなどで体験出来る機会があれば是非試して見て下さい。別に Garmin のものに拘る必要はありません。最近発売された TREK の「CarBack」という製品もよく売れているようですよ。
■ ヘッドライト「Varia」
実は Garmin からも自転車用ヘッドライトが発売されています。
製品名 | 現行価格(税込) | 改定後価格(税込) | 価格変動率 |
---|---|---|---|
Varia UT800 | ¥25,300 | ¥29,800 | 約 17.8% |
Garmin 謹製のライトなだけのことはあって、サイクルコンピューター「Edge」シリーズとの連携(自動的に点灯・消灯させたり明るさなどをコントロール可能)出来る点がウリですが、最大 800ルーメンで 1.5時間、ローモード(200ルーメン)で最長 6時間点灯と、他社製品と比較して価格以上の価値を見出せるかどうかは考え処ですね。
■ パワーメーター「Rally」
Garmin のパワーメーターは全てペダル内蔵型なので、ペダルを付け替える事さえ厭わなければ比較的簡単に複数のバイクで共用することが可能です。バッテリーは片方のペダルにつき SR44 または LR44 を 2個か、CR1/3N というボタン電池が 2個連なったような形状をした特殊な電池を使う必要があります。
製品名 | 現行価格(税込) | 改定後価格(税込) | 価格変動率 |
---|---|---|---|
Rally XC200 デュアルセンサー SPD | ¥198,000 | ¥227,800 | 約 15.1% |
Rally RS200 デュアルセンサー SPD-SL | ¥176,000 | ¥202,800 | 約 15.2% |
Rally XC100 シングルセンサー SPD | ¥117,000 | ¥134,800 | 約 15.2% |
Rally RS100 シングルセンサー SPD-SL | ¥105,000 | ¥120,800 | 約 15.0% |
「RK200/100」という LOOK の ” KEO ” という規格に対応したペダルもラインナップされていたのですが、こちらは既に販売終了となっている模様。
先程ペダル付け替えで複数のバイクで共有~などと書きましたが、正確な計測をするためには締め付けトルクの管理が必要になるそうです。34Nm のトルクで締め付ける事の出来るトルクレンチが必要になったりと、簡単に~というわけにはいかないようですね。バッテリー寿命は最大 120時間とのことで、よく走る方にはバッテリー交換の費用も馬鹿になりませんね・・・。
デュアルセンサーモデルでは、パワー計測だけでなく、ケイデンスデータの取得や左右のパワーバランスなど高度なサイクリングダイナミクスの計測が出来るようになっています。シングルセンサーモデルに後からアップグレードキットを適用するという手もありますが、入手性がかなり悪いようなので、買うのであればデュアルセンサーモデルを買った方が幸せになれそうです。
■ インドアトレーナー「Tacx」
屋内でのトレーニングに使う事の出来るインドアトレーナーは、まず設置場所の確保が必要であったり、隣人から騒音に関する苦情が出ないかなど、設置するハードルが高いデバイスだと思う(もちろん価格の問題もある)ので購入する方はそれ程多くは無いかも知れませんが、とにかくもとの値段が高いので今回の価格改定の影響を最も受ける製品となっています。最上位モデルなんてほぼ 10万円アップですよ・・・。
製品名 | 現行価格(税込) | 改定後価格(税込) | 価格変動率 |
---|---|---|---|
Tacx NEO Bike Plus | ¥630,000 | ¥728,000 | 約 15.6% |
Tacx NEO 3M | ¥338,000 | ¥389,000 | 約 15.1% |
Tacx FLUX 2 Smart | ¥143,000 | ¥164,800 | 約 15.2% |
Tacx FLUX S Smart | ¥115,000 | ¥132,800 | 約 15.5% |
うちに設置するのはどう考えても無理ですが、レース出走を目指してトレーニングしている方や、冬場は雪に閉ざされてまとも屋外で走れないといった方には垂涎のデバイスでしょうね。最近のインドアトレーナーはグラベルや石畳などの路面の状況を再現したり勾配までシミュレートすることが出来るそうです。
今回の値上げはサイクリング関連製品のみでしたが、Forerunner シリーズや fenix シリーズなどのスマートウォッチ、eTrex などのトレッキング関連製品なども近いうちに価格改定があるかも知れません。もし購入を迷っている製品があるのならお早めに!個人的なお勧めはやはり「リアビューレーダー」です。ソロライドが多い人なんかは是非ご検討を!
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