神戸・三宮駅からズドンとフラワーロードを南に降りていくと新港突堤に行き着く手前に 以前見学しに行った神戸税関の建物 がありますが、道路を挟んだ向かいに「KIITO」という通称で呼ばれる施設があります。こちらの施設、実は以前に「生糸検査所」として使われていた場所で、今はリノベーションされて「デザイン・クリエイティブセンター神戸」として使われています。
3月末までこちらで「モネ&フレンズ・アライブ神戸」という、絵画作品に音楽とイマーシブ技術を組み合わせた ” 没入型 ” の展覧会が開催されていました。実は行こうか行くまいか悩んでいたのですが、結局迷っているうちに終わってしまった・・・。
左奥の方に神戸税関の建物が見えていますね。同じ様な煉瓦の外壁なので一体感があってとてもよい。建築様式に大正浪漫の名残を感じます。
神戸税関と旧神戸生糸検査所のビルの間には道幅のえらく広い道路が走っているのですが、実はなんと ” 日本一短い国道 ” だったりします。ここ、国道 174号線は、輸出入の重要拠点だった「新港突堤」と国道 2号線を結んでいるのですが、その全長は僅か 187.1m しかありません。前はもうちょっと長さがあったようですが、国道 2号線がルート変更によって南に下がり、現在の長さになってしまったというわけ。
「KIITO CAFE(キイトカフェ)」のある「デザイン・クリエイティブセンター神戸」は、この道路の東側に位置しています。
「KIITO CAFE(キイトカフェ)」
住所 : 兵庫県神戸市中央区小野浜町1-4
電話 : 078-332-7102(予約可)
営業時間 : 11:30 ~ 16:00(土曜日は 15時まで)
定休日 : 日曜日、月曜日
席数 : 35席
備考 : 電子マネー・QRコード決済利用可、全席禁煙
一応「Hi-Park KIITO 神戸」という有料駐車場が併設されていますが、駐車スペースが 13台分しか無いこともあってイベント開催時などはすぐに満車になってしまうようです。車で来るなら東遊園地の市営駐車場などに停めてブラブラ歩いて行く方がいいかも。この辺りは見所もいろいろありますしね。自転車・オートバイは無料で駐輪可能です(こちらもそれ程多く停めれるわけではありませんが)。
特に案内板なども出ておらず、ちょっと入り辛い雰囲気もあったのですが勇気を出して(?)突入!
「KIITO CAFE」は、建物に入って左手にありました。ぱっと見カフェに見えなくて、中に入っていいものかどうなのかちょっと戸惑ってしまった(笑)。
こちらでは先に支払いを済ませる形になっています。但し、QRコード決済は楽天Pay だけ使えないらしい・・・。代わりに Apple Pay(Quick Pay)で支払いました。オーダーストップは営業終了の 30分前とのこと。支払いを終えると座席の指定をされるので、そこに座って料理がくるのを待ちます。好きな席を選べないのはちょっと残念。お水はセルフサービスとなっています。
テーブルの隣にはなにやら興味深い器具が置かれています。生糸の水分含有量を求めるための「水分検査機」とのことで、乾燥前後の生糸の重さを比較することで調べていたそうです。丸みを帯びた形状から「ダルマ」の通称で呼ばれていたらしい。
私のテーブルの横にもこのような扉(?)の開いた器具が。お店の方にこれがなんなのか聞いてみたところ、なんと天井を這っている配管の中にスピーカーを仕込んでいるとかで、この器具の口の所から音が聞こえるようになっているのだそう。面白いこと考えますね。特に音が籠もったりする事も無く普通に聞こえていました。アンビエントな選曲も心地いい。
この日の日替わりプレートランチです。メインはチキンソテーにデミグラスソースとチーズがかかったものでした。これにアイスコーヒーをセットして¥1,350。ちょっと量は少な目でしたがお味はまずまず。野菜が多いのは個人的に Good です。
中庭からは優しい光が差し込み、使い込まれた机に反射してどこかノスタルジックな雰囲気を醸し出しています。この日はさほど混雑も無く、ゆったりと食事を楽しむことが出来ました。イベント開催時はこうはいかないかも知れませんけどね。居心地が良すぎてついつい長居してしまいました。
■ 生糸検査所跡を見学してみる
中に入るまで知らなかったのですが、こちらの旧生糸検査所、1階と 2階はほとんどの場所を自由に見て回ることができるそうです(3階・4階は会議スペースやワークスペースになっているらしい)。ということで、せっかくなので少し見て回ってから帰ることにしました。
こちらは建物 1階の一番奥の場所。ホールになっていてイベントなどに使われているようです。


所々にこのような古い工作機械が置かれています。今でも充分使えそう。
1階の南側奥は「CREATIVE LOUNGE」と呼ばれる読書やリモートワークなどに無料で使えるフリースペース(当日予約は必要)となっていました。お洒落やね。
2の「生糸検査所ギャラリー」に上がってみました。おお、なんか凄いぞ!ここは!かつて神戸港から輸出する生糸(絹糸)の検査に使用されていた機器が展示され、生糸の品質検査方法の紹介などがされていました。


こちらは「再操切断機」という、一定時間にボビンに生糸を巻き取る際に生糸が切れた回数を調べる測定器。「ふわり」という木製の器具に生糸を掛けて回して使っていたそうです。正に機能美とでも言いましょうか。複雑な動きをしそうなこんな機械をよく考えられるものだと感心。
こちらは「検尺器」という生糸の太さ(繊度・デニール)を測定する道具。生糸の長さと重さから ” デニール ” を求めることが出来るらしい。長さ 450m に対する重さが 0.05g の場合を ” 1 デニール ” と定められているのだそうです。
こちらは「検位衝(けんいこう)」という生糸の繊度検査に使用されていた測定器。一定の長さの生糸を吊して繊度を目盛から読み取るようです。

こちらは生糸の切断強度と伸びを測定する機械。「スーター式セリグラフ」という名称とのこと。こちらで生糸を引っ張って切断するまでの強度を測っていたそうです。
この時間に「生糸検査所ギャラリー」を訪れていたのは私一人(笑)。無料で見る事の出来るこんな場所があることを知らないという方も多いのでしょう(私も知らなかった)。近くに来た際は是非寄ってみてください。
現在三宮地区は再開発の真っ只中ですが、かつて勤労会館内にあった「三宮図書館」も期間限定とのことですがこちらに移転してきています。蔵書数がそれ程多いわけでは無さそうですが、歴史のあるレトロ建築の中でリラックスして読書というのも良さそうです。