延期に次ぐ延期で長いこと待たされ続けてていたクラウドファンディングサイト「machi-ya」のコンパクトキーボードのプロジェクト「Keychron K1」ですが、リターン品がようやくのこと手元に届きましたので早速レビューしてみたいと思います。楽しみにしていたのですよね、これ。
■ クラウドファンディングサイト「machi-ya」のプロジェクトに参加
プロジェクトに参加したのは 6月中旬です。少し前にサブPC用に使っていた CENTURY社 の「BLACK PAWN」というキーボードが壊れてしまい、なにか良さげなものはないかと調べていてこのキーボードの存在を知りました。当時のいきさつは下の記事で書いていますので併せてご覧頂ければ幸いです。
結局 2ヶ月間の募集期間に 1,000人近くの支援者から 1,200万円ちょっとの資金が集まるという、クラウドファンディングとしてはそこそこの規模の案件となったようです。
クラウドファンディングの案件にはある程度のリスク(遅延があったり期待した品質に及ばないものが届くなど)は付きものですが、今回の「Keychron K1」自体は KICKSTARTER でプロジェクトを成功させた後に製品化されており、既に本家のサイトや米国 Amazon でも購入可能(現在 K1 は品切れ中)となっていることから、最悪でも製品が届かないという事にはならないだろうと思っていました。
日本語 JISキー対応というのが今回のプロジェクトの「売り」だったのですが、先行して行われた「GREEN FUNDING」のプロジェクトは遅れはしたものの無事に出資者の手元に届いているようです。
ただ、その後 Mac 環境に於いて一部のキーが正常に使用出来ないという不具合が発覚し、対処するための改修作業の遅れが今回の案件の遅延の主因だったようです。遅延があった事自体はやむを得ないと理解していますし、問題を修正した上で対処済みの製品が届いたこと自体は評価できるのですが、出荷の連絡さえ無いまま無言で送りつけてくるというのは如何なものなのでしょうか。「配送前の最終報告」があったのが 10月29日なのですが、11月6日にいきなり届きましたよ、詫びの一言も無く。
はっきり言って今回の machi-ya の案件の主催者である「nextcube」さんはあまり信用できないという印象が残りました。最初に遅延の報告があったのが本来発送が始まっているはずだった 9月6日になってからですし、その後もずるずると 2回の遅延があったわけですが、とにかく報告が遅かったですね。一部の方には発送段階に入ってから数が足らないと分かったのか、希望していたモデルが送れないというメールも届いているそうです。遅延している間確認もせず一体何をやっていたのでしょうか。
■ 「Keychron K1」とご対面!
つい愚痴ってしまいましたが、気を取り直して「開封の儀」を行ってみましょう。結論から言って届いた製品自体は非常に満足度の高いものでした。ちなみにこちらの記事の一部は早速 Windows PC や iPad Pro に Bluetooth でペアリングさせた Keychron K1 を使って試しながら書いています。
届いたのは 87キータイプで白色のシングルバックライト仕様の「青軸」モデル。黒基調で、わりと高級感の感じられるパッケージに収められていました。もちろん JISキー配列対応です。Mac(iOS、iPad OSも)、Windows、Android の機器に対応しており、Bluetooth接続の他に付属のケーブルを使って有線で接続する事も可能です。
オーダー時に「キー軸」「キー数」「バックライト」を好みに組み合わせて申し込むセミオーダー式となっていました。
ボディ素材はアルミニウム製のようで、かなりしっかりしています。ただ、2,000mAh のバッテリーが内蔵されているせいか 650g という重量の割にずっしり感じるので、持ち運びにはあまり向いていないでしょうね。一度フル充電すればバックライトオンの状態で 8~40時間(バックライトの発光パターンの設定次第)、オフの状態で 2~4週間保つようです。
付属品は、USB Type-Cケーブル、Windows配列用の交換用キートップ 5個、英語と中国語で書かれた説明書と簡単な使い方の書かれた日本語パンフレットに、ストレッチゴール(支援者数 500人到達)達成追加リターンに設定されていた「キーキャップリムーバー」です。
キーキャップリムーバーは恐らく一番使いやすいタイプだと思います。汎用性も高いので嬉しいオマケなのですが、実はこれ、本家の製品版には普通に付属しているのですよね。ちょっと恩着せがましいような気が(苦笑)。USBケーブルは布編みにフェライトコアも付いた非常にしっかりしたものでした。
このようにキーキャップの裏側に引っかけて引き抜く形になります。キースイッチは中国 Gateron製のロープロファイルスイッチが採用されています。スイッチを見て頂ければ分かるとおり、残念ながら一般的な Cherry MX 互換ではありません。とりあえずうちに届いたものは問題ありませんでしたが、届いた時点でこのキーキャップ裏の爪が折れていたとの報告をちょくちょく見かけるように、材質的に破損しやすそうな感じでした。調べてみたところ、一応 Kailh(こちらも中国メーカー)の「Choc」スイッチ用に売られているキーキャップなら流用できるようです。aliexpress などならなんとか調達出来るでしょう。
底面は右の写真のように非常にすっきりしています。4箇所にゴム足が貼られていますが、キーボード自体の重さもあってか、グリップ力はかなりあるようです。タイピング中にずれたりすることは無いと思います。
キーボード上部にあるモード切替スイッチと USB Type-Cコネクタ周りです。ちょっとこのスイッチが小さくて切り替えしにくいのは難点ですね。上の写真が湾曲してしまっているのは iPhone にマクロレンズを付けたせいなので気にしないで下さい。
充電中はキーボード左上の Escキー横の LED が赤く点灯し、充電が完了すると緑で点灯します。だいたい 5V・0.6V程度の 3W くらいで充電されるようでした。スマホなどと同様に、満充電に近づくと充電速度を落としてバッテリーを労る機能も付いているようです。
Mac と Windows のキー配列の比較です。本体上部のモード切替スイッチを切り替え、青で囲ったキーを入れ替えれば簡単にどちらの配列にもする事はできますが、キーキャップ裏の爪の破損が怖いのであまり頻繁に入れ替えたくは無いですね。キーキャップは主に使う配列にしておいてモードだけ切り替え、キーは読み替えて使う方がいいかなと思います。
発光パターンを動画にしてみました。手持ち撮影でゆらゆら揺れてしまってごめんなさい \(__ )。発光パターンは右上の電球マーク(?)のキーを押す度に切り替わり、点灯パータンとして 18 種類が用意されているようです。まあ個人的には常時点灯か消灯かでしか使わないのでしょうけどね。
点灯・消灯の切り替えは「Fn + 電球マークのキー」で、バックライトの輝度についてはバックライトOFF の状態を含めて 5段階に調節可能で、「Fn + F5」で暗く、「Fn + F6」で明るくさせることが出来ます。
■ 使用感など
有線で接続する場合は、Windows や Mac に合わせてモード切替スイッチを切り替えて USBケーブルを繋ぐだけです。Bluetooth の場合は、モードを Bluetooth に切り替え、「Fn + 1~3」キーを 3秒間押し続けるとペアリングモードになるので、キーボード左上の LED が点滅している間に PC なりタブレットなりに接続させます。3台までペアリングさせておくことが可能で、「Fn + 1~3」キーで登録済みのデバイスに切り替える事が出来るようですね。Windows 10 と iPad Pro にペアリングさせてみましたが、どちらも特に不具合のようなものに遭遇することも無く使う事ができました。
現在メインで使っている東プレの「REALFORCE108UG-HiPro」とサイズの比較をしてみました。
ちょうどテンキーとファンクションキー上のスペースが無いくらいで、特別コンパクトというわけでもありませんね。ただ、高さについてはロープロファイルのスイッチが採用されていることもあってかなり低いのでパームレストなどは不要でしょう。チルト機構などは付いておらず、完全にフラットな打鍵面になっているのでちょと打ちにくいと感じる人も居るかも知れません。
コンパクトキーボードではファンクションキーが Fnキーとの組み合わせになっているものが多いですが、やはり独立して 1列に配置されているのは使いやすいですね。JIS規格の配列ということで、今まで使っていたキーボードと違和感なく使うことができます。
「青軸」スイッチ採用ということで、パチパチとクリック感のある小気味のいい打鍵感でした。音は大きいのでさすがに夜中に使ったり静かな場所で使うのはちょっと憚った方がいいかも知れません。(音に関してはメインで使っている REALFORCE HiPro もカチャカチャとかなり大きいですけど。)
手元に届くまでかなり長いこと待たされたこのキーボードですが、待った甲斐は十分にありました。機会がありましたら Keychron の他のキーボードも試してみたいですね。
PlayStation 5 ともペアリングさせて使用出来ることが確認できました。キー配列は Windowsモードの方で良いようです。先に Keychron K1 の方をペアリングモードにして待機させておき、PlayStation 5 の設定から Bluetooth機器として検出させてやるとスムーズです。
(2020.11.15)