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AMD Radeon RX6700XT を搭載した Power Color の ” 地獄の番犬 ”「AXRX 6700XT 12GBD6-3DHLV2」をレビュー

先日のことですが、5年程前に米国 Amazon から個人輸入した EVGA の Geforce GTX 1070 SC GAMING というグラフィックボードの電源回路が焼損してお釈迦になってしまいました。私は仮想通貨のマイニングはしませんし、特に何か負荷の掛かるゲームなどをしていたという訳でもありません。Webブラウジングをしながら作業をしていただけなのですが、突然 PC の電源が落ち、確認のために再度電源を入れたところ煙を噴いてチップコンデンサが炭化してしまったというわけです。

分解して原因箇所の特定までは行ったので、興味のある方は以下の記事を覗いてみて下さい。GTX1070 は結構同じ様な壊れ方をするケースが多いそうです。

さて、PC用のグラフィックボードの価格が仮想通貨マイニング需要や半導体不足の影響を受けて高騰しているのは周知の事実。今年の初夏の頃に比べれば幾分相場が落ち着いたとは言え、高止まりの状態は今現在も続いたままです。

本来であれば来年辺りにグラフィックボードの更新をしようと思っていたのですが、こうなってしまっては致し方ありません。年末辺りまで購入を引き延ばせばもうちょっと相場が落ち着くかとも思っていたのですが、直近でも TSMC が大幅な製品の値上げを発表するなど、どうも雲行きが怪しさを増しています。

加えて、Intel Core i7-9700K 内蔵のグラフィック機能である Intel UHD Graphics 630 を急場しのぎとして使っているのですが、不定期にドライバーが暴走を起こすのか、メモリーリークを起こして激重になるという不具合が出てストレスが半端ないので、出来るだけ早く新しいグラフィックスカードを調達することにしました。

■ 予算を決めて購入候補を探す

相場の高騰の激しいグラフィックスカード市況ですが、個人的に数年で陳腐化してしまうものに 10万円以上は出せないなと言う事で、購入予算を 10万円までと設定して候補を探し始めました。

今まで使っていたのが GTX1070 ですから順当にアップグレードするなら RTX3070 と行きたいところですが、予算の 10万円は軽く超えてしまいます。RTX 3070ti ならぎりぎり 10万円以下になることもあるようですが、消費電力の増加がちょっと無視出来ないレベル・・・。そこで以下の GPU を搭載した製品から選ぶ事にしました。(比較のために RTX3070 も載せています。)

RX6700XT RTX3060 Ti RTX3060 RTX3070
北米参考価格 $ 479 $ 399 $ 329 $ 499
GPUコア Navi 22 GA 104 GA 106 GA 104
ダイサイズ 336 ㎟(7 nm) 392 ㎟(8 nm) 276 ㎟(8 nm) 392 ㎟(8 nm)
単精度性能 13.21 TFLOPs 16.20 TFLOPs 12.74 TFLOPs 20.31 TFLOPs
メモリ GDDR6 12GB GDDR6 8GB GDDR6 12GB GDDR6 8GB
メモリ転送速度 16 Gbps(2,000 MHz) 14 Gbps(1,750 MHz) 15 Gbps(1,875 MHz) 14 Gbps(1,750 MHz)
メモリ帯域幅 192 bit / 384 GB/s 256 bit / 448 GB/s 192 bit / 360 GB/s 256 bit / 448 GB/s
シェーダーユニット数 2,560 基 4,864 基 3,584 基 5,888 基
レイトレ用コア数 40 基 38 基 28 基 46 基
消費電力 230 W 200 W 170 W 220 W

「北米参考価格」はあくまでもメーカーが発売時に想定していたもので、米国でさえこんな価格では売られていません。それにしてもメーカーの想定価格 $500 の製品がなんで 10万円越えになるんだって気しかしませんが、高騰の理由は冒頭で触れたとおりなので文句を言っても仕方ないですね。中国では仮想通貨のマイニングや取引を全面的に禁止する方向になっているようですが、マイニングを行っているのは中国だけというわけではありませんし、まだまだこの状況は続くのでしょう。

実際の性能的には RTX3070 > RTX3060Ti ≓ RX6700XT > RTX3060 といった感じになるようです。但し、レイトレーシングに関しては Nvidia勢が強いとのこと。

先日 RX6700XT の下位モデルに当たる RX6600XT が発売されましたが、なんでもマイニングの電力効率がいいのだとかで一時価格が高騰してしまったようですね。今は少し落ち着いてきたようですが、購入時点ではほぼ価格差がなかったので除外しました。

■ Power Color の「AXRX 6700XT 12GBD6-3DHLV2」を」購入!

RX6700XT パッケージ レイトレーシング性能は特に求めていなかったのでまだ迷っていたのですが、ランニング途中でちょっと立ち寄ってみたパソコン工房さんに Power Color の RX6700XT 搭載モデルがかなり格安(今の相場にしてはですが)で置かれていました。その時点では「Red Devil」と「Hellhound」という赤白 2種のモデルが置かれていたのですが、後日改めて買いに行ったところ「Red Devil」は既に完売。残り 1つとなっていた「Hellhound」をゲットです。


RX6700XT 梱包状態 パッケージを開けるとグラフィックカードがウレタン素材の緩衝材でしっかりと保護されていました。ふむふむなるほど、最近のグラフィックカードは高価になっている分梱包は丁寧なのね・・・と思っていたのも束の間、取り出してみるとグラフィックカード本体以外には写真にも写っているカードが 1枚入っているだけ。ドライバーCD はともかく、最近のグラフィックカードは付属品って何も付いていないの?と驚いてしまいました。
昔のグラフィックカードは本体以外にも補助電源ケーブルやら HDMI - DVI変換コネクタやら色々付いていたのですけどね。まあ、マニュアルやドライバーはダウンロードした方が新しいものを入手することが出来るので合理的だとは思います。ただ、自作歴の浅い方なんかだとどうすればいいのか分からなくて困ってしまうんじゃないでしょうか?もちろんメーカーによって違うのでしょうけどね。

RX6700XT 表 RX6700XT 裏


冷却ファンは 10cm が 2基と、9cm が 1基のトリプルファン構成となっています。バックプレートもとてもしっかりしたものが装着されており、グラボの重量をしっかり支えてくれそうです。メーカーの説明によると、VRM部には 8+2 フェーズの Dr.MOS を採用した回路構成になっているそうです。

PowerColor の Radeon RX6700XT を搭載したグラフィックカードには、「Red Devil」と、今回私が購入した「Hellhound」という 2種類のモデルがラインナップされています。更に「Hellhound」の方には白いボディのものと黒いボディのものが売られているようですが、色による性能差は無さそうです。

「Hellhound」というと ” 地獄の番犬 ≓ ケルベロス ” でしょうが、なかなか恐ろしげなブランドネームが付けられていますね。PowerColor のブランド説明のページには以下の様に書かれていました。

むき出しのこの上なく鋭い牙を持つヘルハウンド(HELLHOUND)。全身を覆う鎧のような毛は頑丈で粉砕し難く、両目は暗闇で輝く光を放ちながら獲物の位置を正確にとらえる。 かつては勇猛な戦士が側で飼っていたハイエナだった。だがこの世に降臨したレッドデビル(Red Devil)に能力を買われ、直々の配下として地獄の入り口の門番に据える。普段は暗闇と静けさの中に息をひそめ隠れているヘルハウンド。だが獲物を見つけた瞬間、すさまじいスピードで飛び出て一気に仕留める。

なんだか厨二病心を呼び覚まされそうなブランド説明ですね(笑)。一応「Red Devil」の方はデュアルBIOS になっていたり、僅かにオーバークロックがされていたりと、ブランド設定の通り「Hellhound」が「Red Devil」の配下的な位置づけになっているようです。その分「Red Devil」の方は若干消費電力も増えているようなので好みの問題でしょう。

映像出力 画面出力は、DisplayPortx3(Ver.1.4 対応)、HDMIx1(Ver.2.1 対応)となっています。今の世代のグラフィックカードでは標準的な組合せになっているようですね。DVI出力が必要な場合は、変換ケーブルなり変換コネクタなりを用意すればOKです。解像度は、DisplayPort、HDMI 共に 8K対応です。GPU の能力的に 8K で 3Dゲームをするのは無理でしょうが、2D表示であれば問題になることは無いでしょう。
LEDスイッチ 固定用のブラケットの近くには LED照明の ON / OFF 切替スイッチがあります。「Hellhound」の LED照明は白色限定です。また、ソフトウェア上で ON / OFF の切替を行うような機能は無く、このように物理的にスイッチで切り替えるようになっています。「Red Devil」の方は RGB LED が採用されていて、ソフトウェア上で任意の配色に切り替える事が出来るようになっています。
補助電源端子は 8pinx2 となっています。RX6700XT では 8pin + 6pin の構成になっている製品もあるようですが、余裕を持たせた構成になっているようです。最小システム電力要件は 650W。使用する CPU にも拠りますが、650Wクラスの電源であれば大丈夫そうです。

補助電源コネクタ ファン電源部 PCIeスロット部


分解して中を見たいのはやまやまだったのですが、バックプレートを外すためのネジの 1つに ” Warranty Void If Removed " のシールで封印がされていたので止めておきました。2年間のメーカー保証を無効にしてしまう勇気は私にはありません。

■ 組み込み!

一通りカードを眺めたところでメインPC に組み込んでみます。購入する前から分かっていたことですが、やはりでかい!3連ファンを搭載した GPUクーラーが組み込まれているのでカード長が長くなってしまうのは致し方ありませんが、カード長 305mm のグラフィックボードを組み込むのは初めてです。それでも 320mm に及ぶ製品もありますから、これでもまだマシな方なのですよね。

組み込み HDDベイ取外し


右の写真の赤枠の部分には 5台分の 3.5inch HDD増設ベイが取り付けてあったのですが、微妙にグラフィックカードと干渉してしまうため取り外しました。事前の想定ではギリギリ入りそうだったのですけどね。この PCケース、実は 3.5inch HDD を最大 11台も搭載する事が出来るのですが、結局 3台しか積んでいませんでしたから全部ケース手前のベイに移動させました。結果として風通しがかなりよくなったのでこれはこれで良かったです。

本当はグラフィックカードとサウンドカードの電源ラインは分けておきたかったのですが、コネクタに余裕が無かったのでやむを得ずグラボの方の余っていた 6pinコネクタを Sound Blaster AE-9 に接続しました。まあ HDD と共用するよりはマシでしょう・・・。取りあえずノイズが混じったとかいった事は起きていないので一安心。「AXRX 6700XT」のカード重量は 1kg ありますが、しっかりしたバックプレートが付いているおかげもあって補強ステーなどは取り付けなくても大丈夫そうです。

ドライバーは PowerColor の「こちら」のページからも入手する事ができますが、掲載されていたのが「Ver.21.4.1(2021.8.20)」とちょっと古いものだったので、AMD の HP から新しいものを入手しました。21年9月末現在、WQHL認証があるものなら「Adrenalin 21.8.2」、最新版なら「Adrenalin 21.9.2」を入手することが出来ます。まだまだ新しいビデオカードで不具合修正も続いているようなので、基本的には新しいものを入れておいて良いでしょう(安定性重視なら WQHL版で)。

昔は他社の GPUコアの製品に乗り換える(Nvidia から AMD など)場合は一旦古いドライバーを削除した上で再起動し、改めて入れ替えた製品のドライバーを入れなければ色々と不具合が出たりしたものですが、最近はそのような気を使う必要は無くなっているようですね。「AXRX 6700XT」を取り付けて AMD のドライバーをインストールするだけで使えるようになりました(再起動は必要ですが)。

■ ベンチを取ってみました

無事組み込みも完了したのでベンチを取ってみることにします。ただ、ちょっと先にお断りしておかねばならない事があります。

CPUZ GPUZ このメインPC は、CPU に Intel の Core i7-9700K、マザーボードに ASRock の Z390 Taichi を使用しています。つまり、世代が少し古いため、PCI Express 4.0 には対応していません。また、Radeon RX6x00シリーズには「Infinity Cache」という、非常に高速なキャッシュメモリが搭載されているのですが、これは AMD の Ryzenシリーズの CPU と組み合わせた時のみ有効になるようです。「RX6700XT」の性能を残念ながら生かし切れていないのですよね。
サブPC に使っている Ryzen 7 PRO 4750G + MSI MAG B550 TOMAHAWK と入れ替えてしまった方がパフォーマンスは間違い無く伸びるはずなのですが、Z390 Taichi の方がマザーボードとしては多機能なため、このままの構成にしています。全部入れ替えられればいいのですが予算がね・・・。

● ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ ベンチマーク

まずはファイナルファンタジーXIV から漆黒のヴィランズ ベンチマークです。左から FHD、WQHD、4K の各解像度となっています。全て「最高品質」での計測。ファイナルファンタジーXIV 自体がわりと軽いゲームであることもあって、4K の解像度でも全然余裕ですね。

漆黒ベンチHD 漆黒ベンチWQHD 漆黒ベンチ4K


● ファイナルファンタジーXIV:暁のフィナーレ ベンチマーク

先日リリースされた「暁のフィナーレ」ベンチマークも見てみました。こちらも全て「最高品質」での計測です。RX6700XT自体が WQHD環境下でのゲーミング性能を謳っていることもあって、そのあたりの解像度まではやはり余裕があります。4K はまあなんとかプレイに支障は出ないかなという程度。

暁ベンチHD 暁ベンチWQHD 暁ベンチ4K


● ファイナルファンタジーXV ベンチマーク

以前から重いと言われている FF15ベンチでも計測。こちらは全て「高品質」での計測です。PC版の FF15 は Nvidia が協力しているらしく Radeon には不利なようですが、よく頑張っているのではないでしょうか。描画品質を下げれば 4K解像度でも遊べそうな感じですかね。それにしても最後のクロックムッシュは本当に旨そう・・・。FF15 ってほんとに変なところに力入れてますよね。

FF15ベンチHD FF15ベンチWQHD FF15ベンチ4K


● Time Spy

Time Spy RX6700XT 3DMARK から Time Spy の結果です。3DMARK って今は Steam で入手するようになっていたのですね。CPU が Intel の Core i7-9700K と、今となっては古いものなので、最新世代のものに換えられればここから更に伸びそうですが、現状でもかなり検討しているのではないでしょうか。

こちらはかなり 3D負荷の掛かるベンチマークなのですが、RX6700XT に搭載されている冷却ファンは終始非常に静かでした。温度上昇も概ね 70℃以下に保たれていたようで、GPUクーラーのクオリティも高いようです。

ちなみに 3DMARK ですが、どうも ATOK との相性が悪いようですね。ベンチのランチャーまでは起動するのですが、いざベンチを走らせようとするとそのままウインドウが固まってしまって悩みました。ATOKメニューから「入力・変換」タブで「表示」の項目を選択し、「カーソル位置に入力モードを表示」のラジオボタンを「しない」に設定したところ、ようやくきちんと動いてくれました。

他に CINEBENCH も見てみましたが、グラボの違いによる差はありませんでした。まあ CNEBENCH は CPU の性能を測るものなので当然と言えば当然ですね。

■ 最後に

レイトレーシング性能で Nvidia に大きな差を付けられていることもあってか、あまりレビューを見かけない RX6700XT ですが、実際にレイトレーシングが必要とされるシーンというのは一部のゲームくらいに留まっていると思われるので、価格面で折り合いが付けば購入してしまっていいと思います。特に AMD の Ryzen を使用している方にとっては「Infinity Cache」もなかなか魅力的なのではないでしょうか。

稼働中 動作中はホワイトの LED がケース内を照らします。照明が必要無ければ稼働中であってもグラフィックカード横のスイッチを切れば LED照明を消すことも出来ます。トリプルファンを搭載していますが、ベンチマークで負荷を掛けていても終始非常に静かでした。冷却ファンにはダブルボールベアリングが採用されており、一般的なファンに比べて 4倍程度の寿命があるそうです。 また、セミファンレス仕様となっていて、GPU が 60℃以下の場合はファンは完全に停止され消費電力の低減にも貢献しています。

今のところ動作は非常に安定しています。但し、極一部のソフトと相性のようなものが出る場合があるようです。具体的には nasne視聴ソフトの「PC TV Plus」を使用する際に、「アプリの設定」の「番組の再生」の項目で「ハードウェアアクセラレーターによる再生を使用する」が「ON」になっているとグラフィックカードのエラーが出て再起動する必要があるようです。また、同じセクションの「カスタム EVR」のチェックも外しておかないとアプリがどうも安定しないようでした。この辺りはドライバーの熟成待ちですかね?ひょっとしたら PC TV Plus側の問題かも知れませんが。

GTX 1070 の炎上という不幸はありましたが、おかげで GPU を更新するきっかけになりました。私にとっては十分な性能なので、これでまた 4~5年は闘って(?)いけそうです。まあ数年後には今度は CPU とマザーボードを変えることになるとは思いますけどね。