(新)タイトルいつ決めるのさ

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「王立宇宙軍 オネアミスの翼」4K リマスターメモリアルボックス を買いました

最近は音楽だけでなく映画でも 4K画質での配信が行われるようになったこともあって、すっかり Blu-ray や DVD で作品を買う事が減ってしまいました。退屈しのぎだけなら Amazon の Prime Video だけでもかなりの数の作品を楽しむことが出来ますし、いつでも観ることが出来るよう自分の物としておきたい作品があったとしても、Apple の iTunes などを通じてリーズナブルに購入する事が可能です。

映画配信サービスの始まった頃はそれでもホームシアターシステムを構築して楽しむことの出来る Dolby Atmos や DTS といったサラウンドフォーマットの豊富さや音質面でのアドバンテージがディスク版にはあったものですが、現在では様々な音声フォーマットを選ぶ事が出来る作品も増えています。

” 物理的なディスク版 ” を買うメリットはもう他で入手する事の出来ない魅力的な特典があるかどうかや、BD や DVD でしか発売されていない作品くらいになってしまいましたね。もちろん手元に現物があるということが大事だという方も居られるとは思いますが。

前置きがすっかり長くなってしまいましたが、私が個人的に数少ない ” 現物で手元に置いておきたい映画作品 ” と思える作品が今回ご紹介する「王立宇宙軍 オネアミスの翼」という、1987年に劇場公開されたアニメーション映画です。


もう 35年も前の作品です。きっとこんな映画があったことすら知らない方も多いでしょう。どんな映画か知らない方は取りあえず公式の告知CMをどうぞ。

プレミアムバンダイ


まあ 15秒と短すぎる告知なので内容までは分からないでしょうが、極々簡単に言い切ってしまえば「ロケットを打ち上げる映画」です(笑)。それでも迫力と書き込みの細かさは伝わるでしょう。

舞台はアジアや旧ソ連などの要素を多分に感じる事の出来る世界観を持つ架空の世界です。ようやくジェットエンジンが実用化されようとする時代にこの世界初の宇宙ロケットの打ち上げを目指します。やる気の無い軍人だったシロツグ・ラーダットがある出会いをきっかけに周囲を巻き込みながら世界初の宇宙飛行士を目指すことになるといった感じのストーリーです。

何が凄いって、まずこの映画が制作された頃はまだ CG が生まれたばかりの時代です。あったとしても処理速度が遅く、今のようにリアルタイムで CG を動かすなんてとても出来ません。極一部で CG の採用はあったそうですが、それでもせいぜいワイヤーフレームで線画を出力する程度。結局は描かれた線を人がなぞって手書きするなど、全編「セル画」アニメーションで製作されています。

クライマックスのロケット打ち上げの振動で無数の氷が剥がれ落ちるシーンなどにはたった 3秒のシーンに 250枚ものセル画が描かれていたそうです。はっきり言ってコスト無視の変態的な拘りですが、それをやったのがあの庵野秀明氏。そう、「オネアミスの翼」は関わったスタッフの豪華さも凄いのです。音楽監督は坂本龍一氏ですし、主人公の声優は森本レオ氏、製作会社は後に「新世紀エヴァンゲリオン」を生み出した「GAINAX(ガイナックス)」ですからね。

オネアミスの翼

このメモリアルボックスは、4K リマスター&HDR で収録された ULTRA HD Blu-ray と Blu-ray ディスクの 2枚組に特製ブックレットが付属。サウンドフォーマットは 2ch リニアPCM と 5.1ch Dolby True HD で収録されており、ホームシアターシステムを構築していれば存分にその迫力を味わうことが可能です。

特典映像は通常の Blu-ray ディスクに収録されていて、パイロットフィルムや特報映像、イメージボードをバックにした BGM集などを楽しむことが出来ます。BGM集は CD でも欲しかったですけどね・・・。

今でこそアニメーションは幅広い世代で楽しまれるものになっていますが、まだアニメが「子供が観るもの」としか認識されていなかった頃に「大人向けアニメ」として世に送り出された作品です。映画興行的には大赤字となってしまいました。映画自体の評価も賛否両論に分かれている作品です。

先にも書いたように、言い切ってしまえば「ロケットを打ち上げる」だけの映画ですから、興味が無い方には全く響くものがないかも知れません。ですがこの作品、なかなかのスルメ作品です。何度も見返しているうちに引き込まれていく方も多いんじゃないでしょうか。そうでないと BD化されたり 35年も経ってからメモリアルボックスが発売されたりしないと思いますよ。

そうは言っても今更 Blu-ray や DVD を買うのはちょっと・・・という方は、「hulu」や「U-NEXT」などで観るという手もあります。Amazon プライムビデオ にもありますが、こちらは SD画質のレンタルのみになっているようですね。合う合わないはあるかも知れませんが、まだ観たことが無いという方は是非一度観てみて下さい。今観ても古さを感じさせることの無いこの作品、お勧めです。