(新)タイトルいつ決めるのさ

何かの参考にして頂ければ幸いです。


▼ 当ブログはアフィリエイトサービスを利用しており、リンクにはプロモーションが含まれます ▼
当ブログではアフィリエイト広告により得た収益をブログの運営・維持に充てさせて頂いております。提携しております ASP につきましては「プライバシーポリシー」よりご確認下さい。
尚、企業様より商品またはサービスの提供を受けて掲載した記事につきましては、別途「PR・プロモーション」カテゴリに分類し、記事冒頭にその旨を分かりやすく記載するよう心掛けております。
当ブログ記事の記載内容や広告の掲載方法に関するご指摘がございましたら「こちらのフォーム」よりお問い合わせ下さい。

メインPC の録画用HDD を SMR方式を採用した Western Digital「WD60EZAZ」に換装!

メインPC の録画用HDD にこれまで Seagate の「ST4000DM000」という 4TB の HDD を使っていたのですが、どうやら不良セクタが出始めたようで CrystalDiskInfo が警告を出してきました。まあ既に購入から 5年が経っており、稼働時間も 3.2万時間を越えているので特に短寿命というわけでも無いでしょう。

以前 Backblaze というオンラインストレージサービスの会社が出したレポートで Seagete製 HDD の故障率の高さが話題になった事などから Seagate を毛嫌いしている方も多いでしょうが、最近は他社と比べても突出して故障率が高いということは無くなっているようです(ちなみに 2020年のデータは「こちら」から確認することができます)。旧HGST系の HDD の信頼性が高いことは事実のようですが、もうほとんど入手出来なくなっていますしね。どうしても信頼性の高い HDD が欲しければ HGST の流れを汲んでいるという Western Digital の ” Gold ” シリーズを価格に目を瞑って買うしかないでしょう。

新型コロナのせいもあるのか HDD の相場はそれ程下がっている訳ではありませんが、それでもだいたい 1万円程度で 6TB のモデルが入手出来るようにはなってきているようですね。正直録画用 HDD に 6TB も要らない(たぶん録画したまま観ないものが増えるだけ💦)のですが、お手頃価格なので結局 Western Digital の「WD60EZAZ」に載せ換える事にしました。


WD60EZAZ はスタンダードモデルの「WD Blue」シリーズに属する製品です。24時間 365日稼働させる NAS などの用途にはあまり向いていませんが、シリーズの中では最も安価に購入する事ができます。録画用HDD として使うには充分でしょう。

私の購入したものはバルク版と言うことで茶箱入りでした。「WD60EZAZ」の主な仕様は以下の通り。

WD60EZAZ茶箱             【主な仕様】
    容量       :6TB
    回転数      :5,400 rpm
    インターフェイス :Serial ATA 600(6 Gb/s)
    キャッシュ    :256MB
    サイズ      :3.5インチ

生産国はタイ。2021年1月の製造でした。「WD60EZAZ」には 1枚あたり 2TB のプラッタが 3枚搭載されているそうです。プラッタ 1枚あたりの容量もキャッシュの容量も随分と大きくなったものですね。

WD60EZAZ-本体

代理店はテックウインドさんでした。代理店保証の 1年間に Western Digital の保証期間が +1年間付いています。Western Digital の RMA保証が有効かどうかの確認は「こちら」から。「Product」の項目で「Other WD Product」を選択し、国名を Japan に変更してシリアルナンバーを入力すれば有効期限などが表示されます。万が一何かあったとしても今は日本国内の倉庫に送ればいいそうなので安心ですね。

■ 「SMR」と「CMR」

「WD60EZAZ」は「SMR」という方式でデータの記録がされる HDD です。これに対して「CMR」という方式も存在しています。そもそも両者の違いはどのようなものなのでしょうか。ちょっと整理しておきましょう。

  • CMR(Conventional Magnetic Recording)

    CMR は従来から HDD のデータ記録方法として使われてきた方式です。プラッタを一定容量で「ガードバンド」と呼ばれるトラック間に配置されたデータ保護の為の領域で区切って管理しており、部分的な書き換えの際は「クラスタ」と呼ばれる複数のセクタを纏めた領域の必要な箇所をキャッシュメモリを利用すること無く直接書き換えするそうです。HDD のパフォーマンスとしてはこちらの方が単純な構造のため優れているそうですが、既に HDD の記録密度が限界レベルに来ていたようで、この方式のまま今以上の大容量化を進めるのは困難な状況になっていました。

  • SMR(Shingled Magnetic Recording)

    Seagate によって開発された新しいデータ書き込み技術で、日本では「シングル磁気記録方式」「瓦磁気記録方式」とも呼ばれています。「Shingle」は「Single」の誤表記ではなく、板葺き屋根の 1種である「杮葺き(こけらぶき)」に用いられる「杮板(こけらばん)」を意味しているそうです。データを書き込む際に「トラック」というプラッタに同心円状に作られている領域を少しずつ重ね合わせて書き込む様が屋根葺きの工法に似ていたことからこのように呼ばれるようになった模様です。

    この技術の登場により、従来の CMR方式より大容量の HDD を作れるようになりましたが、デメリットもあります。記録データを隣接トラックの一部に重ね書きするという特徴を持つため、ブロック内のデータを書き換える際に隣接トラックのデータも消去されてしまい、書き換えの必要な箇所だけでなくそのデータ以降に書き込まれているブロック内のデータ全てを書き直す必要があるそうです。

    つまり、少しのデータを書き換えるためにブロック内の全データを一旦読み出し、データの変更を行なった上で再度書き込むという 2段階の書込動作が必要になります。このような複雑な処理が必要なため、CMR方式に比べてランダムアクセスに弱いという弱点を持つこととなりました。

    ですが、2TB という大容量のプラッタの登場や、アルゴリズムの改良、プラッタの外周部に CMR で記録する「メディアキャッシュ」と呼ばれる領域を設けたり大容量のキャッシュメモリを搭載するなどの対策によってランダムライト時にも書込速度が低下しにくくなるような工夫が凝らされていることから最近の SMR の HDD は CMR のものとそれ程変わらない使い勝手になっているようです。

「SMR」と聞いて抵抗感を感じる人が居るのは、Western Digital が選りに選って RAID の同期などランダムアクセスも重要な NAS 向け HDD の一部をサイレントで SMR方式のものに変更したことで物議を醸してネガティブなイメージが広まったことにも一因があるのではないかと思います。システムディスクなどランダムアクセスの多い用途で使うには CMR方式が向いているのは明らかですが、そういった用途であれば SSD を使うべきでしょうし、特に今回の私のような、録画用HDD としての用途であればまず問題になるようなことは無いでしょう。

■ 初期不良チェックと複製

今回は録画用HDD の交換と言うことで、最悪録画済みの番組が消えてしまってもまあいいかとは思えるのですが、救出出来るのであればやはり救出しておきたい!ということで、初期不良のチェックを行った後ディスクの複製を試みてみようと思います。

初期不良のチェックと HDD の複製には以前にレビュー記事を書いた ELECOM の「HDDデュプリケーター」を使用しました。USBケーブルで PC と接続して外付けHDD として使用することが出来るほか、単体で HDD の複製作業を行うこともできるので、1台持っていると非常に便利な製品です。

PC のみで複製作業をしたければ「Acronis True Image for Western Digital」を「こちら」からダウンロードして使う事ができます。

  • 初期不良チェック

    Western Digital の HDD なので、「Data Lifeguard Diagnostic」というツールを用いてチェックすることにします。ダウンロードは「こちら」から。解凍したフォルダの「WinDlg_v1_37.exe」をダブルクリックしてインストールしておきます。

    上記のページには、「Data Lifeguard Diagnostic」のサポートは終了となっているので、代わりに「Western Digital Dashboard utility」を使うよう案内が出ていますが、こちらは SSD用の管理ソフトですね。HDD の診断機能などは無いので結局初期不良チェックには Data Lifeguard Diagnostic の方を使うことになります。今後のバージョンアップなどが行われないというだけです。

    HDD を PC に接続したらスタートボタン → Western Digital Corporation と辿って「Data Lifeguard Diagnostic for Windows」を起動します。大容量の HDD では検査にかなりの時間が掛かるので、できればノートPC など消費電力の少ない PC で行った方が良いでしょう。マシンパワーは要りませんので古くても問題ありません。私は Panasonic の Let's note CF-J10S を使いました。

    Data Lifeguard Diagnostic

    検査したいドライブを選択してハイライトさせておき、赤▢で囲ったボタンをクリックすると以下のテストメニューが表示されます。

      「QUICK TEST」   :" S.M.A.R.T " の機能を使った数分で終了する簡易テストです。
      「EXTENDED TEST」 :全領域の不良セクタチェックを行います。所要時間は容量次第。
      「ERASE」      :ディスク内を完全に消去します。要注意!
      「VIEW TEST RESULT」:テスト結果の表示。

    「QUICK TEST」でエラーが出るようでは論外なので、まずはこちらで簡易チェックを行い、その後「EXTENDED TEST」を行うと良いでしょう。こちらのテストは非常に時間が掛かりますが、後で泣くことのないように 1度は実行しておく事をお勧めします。見ての通り、6TB の HDD のチェックに 10時間以上掛かりました。取りあえずは無事テストを通過して一安心です。

  • HDD の複製

    それでは上記の HDDデュプリケーターを使ってディスクの複製を試みてみます。今回使ったエレコムの「LGB-2BDPU3ES」は、複製元のディスクにエラーがあった場合はその部分をスキップしてパーティションなども含めてディスクの全てをコピーしてくれる機能を持っています。

    但し、「エラー訂正」の機能はありません。あくまでも「スキップ」されるだけなので、エラーのあったファイルは読めないままとなります(後で個別に削除する必要があります)。また、複製作業が障害のある HDD にトドメを刺してしまう可能性もあるので、重要なデータがある場合は先に少しずつ別の HDD にバックアップを取っておくなどしておいた方が良いでしょう。

    HDD複製 複製中は右の写真の様に青色の LED が 100% の方へ向かって伸びていきます。100% の状態で全ての LED が点灯状態になれば複製終了です。必ずデュプリケーターの電源を切ってからそっと HDD を取り外して下さい。
    注意点として、HDD を差す位置を間違えないこと!複製元が「A」で複製先が「B」です。また、複製先の HDD は複製元の HDD より容量が同じかそれ以上でなければいけません。

    今回 Seagate の「ST4000DM000」を複製元とし、 Western Digital の「WD60EZAZ」にデュプリケートさせたわけですが、HDD の故障診断同様こちらもかなりの時間が掛かります。今回のケースでは約 8時間掛かりました。デュプリケーターを使用した場合は PC を介さずに単体で複製作業を行うことが出来ますが、複製中に電源が落ちることの無いようご注意下さい。

  • パーティションの拡張

    デュプリケートを行った場合、元の HDD の属性(GPT や MBR など)やパーティションの状態なども全てそのまま複製されます。

    複製直後 複製先の HDD の容量が複製元より大きかった場合は右のように残りの領域が「未割り当て」の領域となってしまいまい、このままでは容量の大きい HDD へ置き換えた意味がありません。
    そこで拡張したいパーティションを右クリックしてメニューを出し、「ボリュームの拡張」をクリックします。
    すると下のような「ボリューム拡張ウィザード」が立ち上がります。

    ボリューム拡張

    後は拡張する未割り当て領域を「追加」し、容量を確認して「完了」をクリックするだけです。

    ボリューム拡張後

    これで HDD の複製後に未割り当てになってしまっていた領域も録画に使えるようになりました。

  • ベンチ

    無事作業も終わりましたので最後にベンチを取ってみます。尚、複製作業後でパーティションも分割しておりデータが 6割程度埋まっている状態で計測していますので、あくまでも参考値という事で。

    ベンチ

    ST4000DM000ベンチ ちなみに右のものは今回取り外した「ST4000DM000」を購入当初に測定したベンチ結果です(ベンチのバージョンが異なるのはご容赦下さい)。「WD60EZAZ」はシーケンシャルライトはかなり頑張っているようです。また、大容量キャッシュが効いているのか、小さな容量のファイルではランダムアクセスもかなり早いですね。キャッシュが切れると思われる辺りからはガクンと落ちますがこれはまあ仕方ないでしょう。それでも「ST4000DM000」よりかなり結果は良いようです。


SMR方式の HDD と言っても最新世代は 2TB もの大容量プラッタを搭載しており、キャッシュ容量も潤沢なので、確かに録画やバックアップなどの用途では全く問題無いだろうと思います。ランダムアクセスが不得手なのは間違い無いのでシステムディスクやゲームのファイルを置いたりするのは SSD を使うべきでしょうし、耐久性も求められる NAS にはそれに合った製品を使うべきでしょうが、要は棲み分けて使いましょうということでしょうね。SSD は容量単価が下がって随分使いやすくなっていますしね!