うちではもう随分前からメインPC で TV を視聴することが出来るように TVチューナーカードを搭載するようにしています。
PC用のテレビチューナカードもかつては PIXELA 以外に I・O DATA や BUFFALO などからも発売されていたのですが、近頃ではめっきり新製品が出てこなくなってしまいました。BS では 4K 放送や 8K 放送が始まっているので、対応した TVチューナーカードが出てきたら買い換えるつもりだったのですが、PC用 TVチューナーカードというジャンル自体が絶滅危惧種になってしまったようです。
「BUFFALO版 新生 nasne」も使っているので、SONY の「PC TV Plus」という視聴ソフトを使えば PC で TV を観ることは出来るのですが、どうにもこのソフト、Radeon GPU との相性があまりよろしくないようで、とにかくアプリが良く落ちるのですよね・・・。ハードウェアアクセラレーターも切っておかないと視聴出来ないため、とにかく ” 激重 ” です。
加えて、PIXELA社自体がかなり経営的に危険な水準に陥っており、つい先日も主力の TVチューナー関連部門で 2/3 に及ぶ人員削減を発表しています。直近の株価も低迷していて、2023年1月20日の終値はなんと 6円ですよ・・・。ここは ONKYO の件でも暗躍した ○vo Fund が関わっていることもあり、今後の新製品開発はかなり望み薄な感じです。というか、いつまで会社が保つことやら・・・。
これまで使ってきた「PIX-DT260」という TVチューナーカードは既に使い始めてから 10年を超えていることもあり、現時点で一番新しい「Xit Board XIT-BRD110W」という TVチューナーカードに載せ換えましたのでここでレビューしておくことにします。「PIX-DT260」はどうにかこうにか動いているという感じで、ドライバを初め Windows 11 にきちんと対応出来ていない点も気になっていたのですよね。
まずは「Xit Board XIT-BRD110W」の基本的な仕様をざっとチェックしておきましょう。
接続インターフェース | PCI Expressx1 |
受信放送 | 地上波デジタル / BS / 110° CS |
チューナー数 | 2(2番組同時録画可能) |
アンテナ入力 | F型コネクタx1(地上波 / BS / CS 混合タイプ) |
消費電力 | 約 4.7 W(BS/CS アンテナ給電時は約 10 W) |
ボードサイズ | 約 110x68.5 mm |
対応 OS | Windows 11 / 10(64 bit 版のみ) |
動作には HDCP に対応した 1024x576 ピクセル(WSVGA)以上の解像度を持つディスプレイが必要です。最近の製品なら問題になることは無いでしょう。本体の他、ロープロファイル用ブラケット、B-CASカードと簡単なセットアップガイドが付属していました。ドライバCD 等は付属していませんので、下記より「Xit(サイト)」というソフトウェアパッケージを入手しておく必要があります。 2023年1月の時点での最新版は「Ver.4.22.3000.2」です。ダウンロードしたファイルを開けば自動的にドライバと視聴ソフトの「Xit(サイト)」がセットアップされます。「.NET Framework」のインストールを要求された場合は指示に従って下さい。ついでに「セットアップガイド」と「Xit」の詳しい説明書も以下より併せてダウンロードしておくと良いでしょう。
それではハードウェアの方を確認してみたいと思います。
全長約 110 mm と、拡張カードとしては非常にコンパクトに出来ています。両面に 1枚ずつ配置されている大きなチップがハードウェアAVCトランスコーダーの「MB86M02A」です。B-CASカードスロットもボード上に配置されており、補助電源コネクタなどはありません。
B-CASカードは PC 背面から抜き差し出来るようになっています。3波対応の「miniB-CAS」カードが付属していました。アンテナ入力も 3波混合入力が 1つだけなので、非常にスッキリとしています。
前モデルとして「XIT-BRD100W」という製品が販売されていましたが、どちらも同じ「MB86M02A」という型番の AVCトランスコーダーが搭載されています。両者の違いはこのチップのブランド表記が富士通からソシオネクストに変わったのと、B-CASカードスロットの位置が変わった点、チューナーモジュールが東芝製から SONY製に変わったらしいという辺りでしょうか。
「ソシオネクスト」は、富士通セミコンダクターとパナソニックが 2015年にシステムLSI事業を統合して発足させた会社で、2022年10月には東証プライム市場に上場(証券コード 6526)しています。今のところソシオネクストの株価はかなり順調に推移しているようですね。
「XIT-BRD110W」のチューナーユニットは SONY 製復調IC の「CXD2856ER」にシリコンチューナーの「CXD2858ER」を組合せたものを 2系統搭載しているようですね。これらのチップには既に 4K/8K 衛星デジタル放送に対応した「CXD2857ER」「CXD2868ER」という後継品が発売されているようです。富士通製の PC には 4K放送に対応したピクセラ製 TVチューナモジュールが搭載されているので、いずれは一般販売も・・・と期待していたのですが、ついぞそれらを採用した製品の発売はありませんでしたね・・・。
録画用HDD は、以前レビューした Western Digital の「WD60EZAZ」をフォーマットして使う事にします。TVチューナーカーを入れ替えた場合はどのみち録画済みの番組は諦めるしかありませんから・・・。 自作PC に組み込んでみた様子です。書き出し用の BD ドライブも以前から使っている Pioneer の「BDR-S12J-BK」をそのまま利用します。ちょっとトレーが出にくくなってきましたが未だ現役。熱源(グラボ と サウンドカード)に「XIT-BRD110W」が挟まれていますがまあ大丈夫でしょう。
電源は PCI Expressスロットから供給されるので特にケーブルを繋いだりする必要も無く、単にカードスロットに差し込んでネジ止めし、miniB-CASカードを差し込んでアンテナケーブルを繋げばいいだけです。ただ、今まで使っていた「PIX-DT260」は地デジと BS/CS のアンテナ端子が分かれていたので、1本にするためにアンテナケーブルの取り回しを変えるのが結構な作業になりました。
PC への組み込みが終わったら予めダウンロードしておいた視聴ソフト「Xit(サイト)」をインストールします。この際に「XIT-BRD110W」のドライバも自動的にセットアップされます。
初期設定に難しいところは無いでしょう。テレビなど他の機器からアンテナに電源を供給している場合は、こちらからの電源供給はオフにしておいて下さい。視聴可能なチャンネルは自動的にスキャンされて選択されますが、「受信レベル」が異常に低い場合はアンテナ配線を見直して下さい。特にケーブルを自作している場合は、コネクタの接続不良などはちょくちょく起こり得る話しです。
セットアップ完了後、早速視聴してみましたが、「PIX-DT260」よりはやや動作が速くなった印象ですね。アプリの立ち上がりもあまり待たされませんし、チャンネル切り替えも早いです。まだ録画済み番組が少ないせいかもしれませんが、録画済み番組一覧の表示レスポンスもまずまずといった感じです。放送時間の変更などにもよく追従してくれるようで、録画失敗も今のところ経験せずに済んでいます。
難点はやはりこの番組表。視聴ソフトが「Station TV」から「Xit」に変わってからずっとなのですが、黒一色で見にくいったらありません。いや、ほんと誰ですか?こんな UI でOK出したの!「Station TV」はそれなりにジャンル別で色分けできたりして見易かったのですが、まさか ” 改良 ” されたはずの「Xit」で見にくくなるとは普通思いませんよ。「PIX-DT260」でも「Xit」をインストールして使っていたので使いにくさには慣れているつもりですが、やはり駄目なものは駄目です。
あとはチャンネル切り替えもキーボード上のテンキーからは何故か行うことが出来ないという・・・。” QWERTY ” の上にある数字キーからは行えるのに何故テンキーが使えないのかは理解不能です。ハードウェアはまずまずなだけに勿体ないとしか言い様がありません。現状他に Windows 11 でまともに動く PC用 TVチューナーカードの選択肢が無いので我慢するしかありませんが、視聴ソフトだけはもっとちゃんと使う側の事を考えて作って欲しかったですね。
冒頭でも触れたように、開発部門を縮小するなど今後の PC用 TVチューナーカードの新製品は望めない状況のようなので、ドライバや説明書類は各自ダウンロードしてバックアップも取った上で保管しておくことをお薦めします。煽るつもりなど毛頭ありませんが、正直に言って PIXELA はもういつ会社を畳んでもおかしくない状況に陥っていますから・・・。やはり ○vo Fund が関わるとね・・・。