今は Apple傘下となっている「Beats(Beats by Dr. Dre)」から 10月21日に発売された新作 Bluetoothイヤホンの「Beats Flex」を早速購入して数日間使ってみましたので、先代の「BeatsX」と比較しながらレビューしてみたいと思います。
「Beats Flex」は今のところ Apple Store でしか購入する事ができません。そのうち一般販売も始まるだろうとは思いますが、いつ頃になるかは全く分かりません。2020年10月現在、購入出来るカラーバリエーションは、「ユズイエロー」と「ブラック」の 2色のみです。「フレイムブルー」と「スモークグレイ」の 2色については「この冬登場」とのみ記載されており、具体的な日時については不明です。
⇒⇒ Amazon などでの販売も始まっているようです。
色は「ユズイエロー」にしてみました。これ、海外でも「Yuzu Yellow」として販売されているのですね。日本の「柚子」が海外でもメジャーになって来ているのでしょうか?
■ 開封!
初代 BeatsX と今回発売された Beats Flex のパッケージを比較してみました。随分コンパクトになりましたね。初期の BeatsX に付属していた純正のシリコン製ケースとウイングチップが省かれた事で省スペースになっています。はっきり言って BeatsX のパッケージは無駄に大きかったですし、付属していたシリコン製のケースがまた、いざイヤホンをしまおうとすると摩擦で入れにくかったりして非常に使いにくかったのでこれでいいんじゃないでしょうか。
もしイヤホン収納用にケースが欲しければ、以前下の記事で紹介した Smatree という中国メーカーの多機能収納ケースがお勧めです。低価格の割にとても作りがしっかりしていていいですよ。
イヤホン本体以外に、イヤーピースが初めから取り付けられているものも含めて 4種類、充電用の USB Type-C to Type-Cケーブル、ペアリング方法が極簡単に書かれたパンフレット、使用上の注意や保証と修理の案内の書かれた冊子と例によって使い道のよく分からない(苦笑)シールが同梱されていました。
付属の充電ケーブルは 15cm と短いので、自分で 1~2m のものを用意しておいた方がいいでしょうね。第3世代以降の iPad Pro や今年のモデルの iPad Air を持っていれば勿論そちらのケーブルを使用することもできます。USB Type-C に対応していない充電器しか持っていない場合は、USB Type-A to Type-C などの変換ケーブルを持っていないと充電出来ないので注意して下さい。
■ BeatsX との違いをチェック!
- コントロールユニットの違い
充電端子が USB Type-C になった事以外にもコントロールユニットにはかなりの変更が行われています。左右のユニットに恐らくバッテリーが格納されている点に変更は無いようですが、BeatsX では別になっていた音量調節などを行うユニットが全て左のケースの中に移りました。
コントロールボタンの操作方法を一応書いておきます。電源は電源ボタンを 1秒程度押し続けることで ON/OFF することができ、通常は白い LED が点灯します。
1回押し | 再生/停止/電話応答 |
2回押し | 次曲へスキップ |
2回押し + 長押し | 押している間早送り |
3回押し | 曲の先頭または前曲冒頭へ |
3回押し + 長押し | 押している間巻き戻し |
長押し | Siri、Google音声アシスタント起動 |
操作にはちょっとした慣れが必要かも知れません。2回押しや3回押しをする際はちょっとゆっくり目
に「トントントン」という感じで押してみて下さい。ボタンを押すのが早すぎると駄目ですよ。
「ウイングチップ」が無い
「Beats Flex」には、初期の頃の BeatsX に付属していた「ウイングチップ」と呼ばれるイヤーカップが耳から外れにくくなるパーツが用意されていません。BeatsX のものが使えるか試してみたのですが、残念ながらドライバユニットが変更された影響なのか、ハウジングのサイズが微妙に大きくなっているようで装着することが出来ませんでした。BeatsX 用に市販されているものを買おうとしていた方はご注意ください。どこかのメーカーが発売してくれるといいのですけどね。充電方法が Lightning から USB Type-C に
充電端子が USB Type-C となり、汎用性は高くなりました。ただ、Beats Flex は iPhone と組み合わせる方が多いと思うのですが、iPhone は最新の iPhone 12 シリーズでも Lightning端子のままなのでちぐはぐになってしまいましたね。USB-PD に対応していたりする訳では無いので右の写真のように非常に小さい電力で充電されますが、バッテリーも小さいのでフル充電にもそれ程時間は掛からないようです。
充電中は LED が赤でゆっくりと明滅し、完了すると白で点灯します。ちなみにバッテリー残量 38% の状態からフル充電までの時間は 1時間も掛かりませんでした。バッテリー性能アップ
バッテリー持続時間が、BeatsX の 8時間から Beats Flex では 12時間へと大幅に伸びています。反面 ” Fast Fuel ” 機能が、BeatsX の「5分間の急速充電で 2時間再生可能」から「10分間の急速充電で 1.5時間再生可能」へと若干弱くなっているようです。まあ身支度していると 10分くらいは掛かるでしょうしあまり問題はなさそうですが。ハウジング同士をくっつけて一時停止
今回 Beats Flex となって一番便利に思うのがこれ!買い物に行ってレジで精算したりする時にイヤホンを外す事があると思いますが、耳からイヤホンを外してハウジングのマグネット同士をくっつけることで再生中の音楽が一時停止されます。また耳に付けると聞いていた所から再生が再開されます。
■ 接続方法
Apple製品
Apple製品とは非常に簡単に接続させることができます。電源を入れた Beats Flex の側に iPhone や iPad を近付けるだけで右のような画面が表示され、「接続」をタップするだけでペアリングが完了します。ファームウェアのアップデートがある場合は接続中に自動更新されるので何か操作する必要すらありません。
バッテリーの残量もウィジット画面でいつでも簡単に確認することができます。Androidスマホ
Androidスマホとペアリングさせる場合は右のリンクの Beats のアプリをインストールするのが簡単です。というか、このアプリを使わないとバッテリーの残量の把握ができません。
先にアプリを起動しておき、電源ボタンを数秒間押してペアリングモードにした Beats Flex を近付ければペアリングを行うことができます。ペア設定の許可を求められた場合は「許可する」をタップしてください。ファームウェアアップデートにもこちらのアプリが必要なようです。Windows PC
Bluetooth機能が利用出来る場合は、Windows のタスクバー右にある通知領域の Bluetoothアイコンを右クリックして「Bluetoothデバイスの追加」をクリックします。
「Bluetooth とその他デバイス」画面が開くので「Bluetooth とその他デバイスを追加する」をクリックしてペアリングモード(電源ボタンを数秒間押しっぱなし)にした Beats Flex を近付けます。デバイスが検出されたら「ヘッドホン」を選択すればペアリングが完了します。
Windows のスタートボタンから「設定」メニューを出し、直接「デバイス」→「Bluetooth とその他デバイス」と進んでペアリングさせても問題ありません。
■ オーディオソース共有機能
iOS 13.1 以降、1台の iPhone や iPad に 2台の AirPods や Beats のワイヤレスイヤホン・ヘッドホンを接続する「オーディオ共有」機能が利用出来るようになっているのですが、当然ながら Beats Felx でもこの機能を使用することが出来ます。Apple の「W1」「H1」チップを搭載した機種であれば全て使えるようです。
方法は簡単。まずはワイヤレス再生中の端末のコントロールセンターで「オーディオ共有・・・」をタップし、電源を入れた別のイヤホン・ヘッドホンを近付けると認識されるので、「オーディオを共有」をタップするだけです。これだけで 2台のイヤホン・ヘッドホンで同じ映画や音楽の音声を楽しむことが出来、別々にボリュームの調整も行うことができます。誰かと一緒に楽しみたい時には便利な機能ですね。
■ 音質や使用感
さて、Beats Flex と BeatsX を聞き比べてみた結果ですが、価格が大きく引き下げられたのにも関わらず、確実に Beats Flex の方が良くなっているようです。具体的に言うと低音が少し出るようになり、音の厚みが増しています。どうやら新調されたというドライバーの効果が現れているようです。
AirPods Pro の様なノイズキャンセラは搭載していませんが、遮音性に関してはスポーツ向けとして同社から発売されている Powerbeats Pro より断然高いです。これなら電車やバスなどの走行音が気になるシーンでも音楽に集中出来るでしょう。ただこれは電車やバスで使うならという話であって、音質面では Powerbeats Pro の方が上だと思います。
遅延はあります。映画を観たり音楽を聴いたりする分には気になることは無いと思いますが、タイミングのシビアな " 音ゲー " などに使うのは厳しいでしょう。0.5秒ほどの遅延があるので水中でプレイしているような、なんとも言えない気持ちの悪さを感じることになると思います。どうしてもワイヤレスイヤホンでゲームもプレイしたいと言うのであれば、やや値は張りますが「H1」チップを採用した Powerbeats Pro や AirPods Pro を選べばほぼ気にならないレベルでプレイ出来るでしょう。
対応している Bluetooth のコーデックは「SBC」と「AAC」のみのようです。特に Androidスマホを使用していて高音質で集中して楽しみたいという方は素直に「aptX」や「LDAC」などの上位コーデックに対応していたりノイズキャンセラを搭載した機種を選んだ方が幸せになれるかと思います。
また、防水機能はありませんので、汗を掻くスポーツなどでの使用は控えた方がよいでしょう。今のところ対応しているウイングチップも販売されていないようですので、運動に使うには耳から外れやすいかと思います。(ネックバンドがあるので「落とす」という心配はまずありませんが。)
リモコンの位置が首元に移動したので BeatsX よりはちょっと操作しにくくなったように感じます。まあこれは慣れの問題かも知れません。ただ、BeatsX のリモコンは、ばらけて分解してしまうという故障報告をちょくちょく見かけていたので、そういった面では心配は少なくなったでしょう。
■ 日常生活にお勧め
安価な Bluetoothイヤホンは、音楽を聴いている最中にブチブチと音が途切れたりバッテリーの保ちが悪かったりと、「安いから仕方ない」と思わせる要素が何かしらあるものですが、Beats Flex についてはそうした点で妥協する必要は無いと言っても過言では無いでしょう。正直これで 5,400円+税というのは信じられない価格です。はっきり言って同価格帯の中華イヤホンなどは太刀打ち出来ないレベルの完成度だと思います。
ケーブルフリーなワイヤレスイヤホンを電車の線路に落とす人が増えているというニュースを先日見かけましたが、Beats Flex はネックバンドがありますのでそういった心配はまずありません。ノイズキャンセラこそありませんがある程度の遮音性も確保出来ますので、電車やバスを使った通勤・通学にも最適だと思います。また、Bluetoothイヤホンデビューをしてみたいという方にもお勧め出来る一品です。但し、価格が高くなることを受け入れられた上で高音質を求めるのであれば他にいいイヤホンはいくらでもあるとだけ申し添えておきます。
「この冬登場」とされていた「スモークグレイ」と「フレイムブルー」の Beats Flex も販売が始まっていますね。既に Apple Store や Amazon などで購入できるようになっています。
(2021.1.22)
2021年 9月から Beats Flex の販売価格が 2,400円ほど値上げされて 8,400円(税込・Apple Store 価格)になってしまいました。理由は不明です。発売開始時の価格では非常にコストパフォーマンスに優れた製品でしたので大手を振ってお勧めすることが出来ましたが、ちょっと微妙な感じになってしまいました。
(2021.9.30)