最近はグラベルロードの「Checkpoint」で遊んでいることが多いのですが、たまにはクロスバイクでも出掛けないとね・・・ということで JR神戸駅のすぐ側にある「湊川神社」を参拝してきました。
「湊川神社」は、1872年(明治5年)に明治天皇の勅命によって創建された神社です。神戸には「長田神社」や「生田神社」を初め、歴史のある寺社がたくさんあるのですが、初めてこの事を知った時は驚きました。神戸では「楠公(なんこう)さん」として非常に親しまれている神社ですからね。
「湊川神社」の御祭神は「楠公さん」こと鎌倉時代末期から南北朝時代に活躍した武将の「楠木正成公」です。正成公は、鎌倉幕府倒幕に貢献したことで後醍醐天皇からの覚えめでたい武将でしたが、後に足利尊氏の裏切りから追われる立場となります。最後まで後醍醐天皇への忠義を果たそうとした正成公でしたが、「湊川の戦い」で尊氏の軍に敗れ、この湊川の地で一族と自刃します。
忠義の厚さで知られる正成公は死後も「大楠公」と慕われていましたが、長らく墓所の存在は忘れられていたそうです。ところが、豊臣秀吉の「太閤検地」によって地元の人々がこの地で正成公を手厚く弔っていたことが明らかになり免租地とされます。江戸時代に入って水戸光圀公が「嗚呼忠臣楠子之墓」と揮毫した立派な墓碑を建立した後は、特に幕末には吉田松陰や坂本龍馬、高杉晋作などを初めとする正成公を慕う多くの志士達が訪れたのだとか。
正成公を祭祀する神社を創建する計画は、薩摩藩や尾張藩、水戸藩などから出ては立ち消えになるということを繰り返していたようですが、明治になって政府が祭祀を司る神祇事務局主導の下で創建されることになりました。こういうわけで「湊川神社」は由緒としては正しいが創建されたのはごく最近ということになったようですね。今では「楠公さん」として親しまれる神戸を代表する神社の 1社となり、正月の三箇日には 115万人もの人が初詣に訪れるようになっているそうです。
私は自転車で行ってきたので駐車場のある西門から入りましたが、写真では表神門から参道を通って本殿へお詣りする本来の参拝ルートでご紹介しておきましょう。
大変立派な神門がお出迎えしてくれます。「湊川神社」のことはずっと前から知っていましたし、周囲には神戸市立中央図書館や神戸文化ホール、ラーメンの「もっこす」などがあるのでこの辺りはよく来ていたのですが、きちんとお詣りするのは初めてかも。
こちらの「表神門」は昭和 17年に建設されたそうです。もっと歴史があってもよさそうな気がするだけに初めて知った時は驚きました。「湊川神社」自体が新しいですしね・・・。
神門を入ってすぐ左手に国指定重要文化財の書や鎧、楠公ゆかりの刀剣などが展示されているのですが、新型コロナ対策などから無期限休館となっているようです。右手に写っているのは樹齢約 150年のオリーブの樹。パリ万博から明治 11年に持ち帰られたもので、日本最古のオリーブ樹なのだとか。
参道右手にある「楠本稲荷神社」は御屋根の葺替と塗り替えのため工事中でした。御神霊は本殿の方へお引っ越しされているとのこと。
こちらの大鳥居は阪神淡路大震災で倒壊し、復興される際に耐震構造を備えたステンレス製のものに置き換えられました。ちょっと離れれば石で出来ているようにしか見えませんしこれはこれで。
こちらが本殿。市街地にある神社とは思えないほど木々に囲まれて厳かな雰囲気です。昭和 20年の神戸大空襲で焼失しますが、昭和 27年に当時最先端だった鉄筋コンクリート造で復興新築されました。このおかげで阪神淡路大震災で本殿が倒壊する事態は回避出来たようですね。本殿内の折り上げ格天井は全国の著名画家から奉納された 164点の天井画で彩られいます。社務所・授与所は本殿の左手に。
「湊川神社」ではいろんな狛犬を見かけます。特に左上の備前焼の狛犬は地震や戦争で破損してしまったものが多く、これほど大きなものが現存しているのは全国的にも珍しいそうです。
本殿の隣には末社の 1つとして菅原道真公をお祀りする「天満神社」が。8月の例祭日には「菊水天神祭」が齋行され、こども神輿の巡幸もあるようです。
学問の神様ということで受験突破や資格試験合格を祈願する絵馬が多数奉納されていました。
こちらは「銅牛」。「頭をなでると賢くなれる」「けがや病気のある箇所をなでると回復する」といわれる撫で牛です。稲荷神社では狐が、八幡宮では鳩が神使(しんし)とされているように、天満宮では牛が聖獣とされているそうです。多くの人に撫でられるからか、つるんつるんになってますね。
境内の南東には楠木正成公の墓碑が。正成公一族が殉節を遂げた地は本殿の西隣辺りの場所とされているそうですが、墓碑は元禄 5年(1692年)に徳川光圀公によってこちらに建立されました。
墓碑に刻まれた「嗚呼忠臣楠子之墓」の 8字は光圀公自らが筆を採られたとのこと。また、裏面には刻まれた明の遺臣「朱舜水」による散文も刻まれているそう。後に吉田松陰や横井小楠や新島襄らもこの墓碑の拓本を座右に掲げて楠公を景仰し、後進の育成にあたったそうです。
楠木公墓碑を建立された徳川光圀公の像も傍らに設置されています。
この辺りは車の交通量も多いのですが、境内には樹木が多く、非常に清々しい気持ちになることのできる静かで落ち着いた雰囲気のある神社です。神門から道路を挟んだ向かいには「瓦せんべい」で知られた創業 154年の老舗和菓子店「菊水総本店」がありました。湊川神社参拝のお土産として買われた方も多いでしょう。入居するビルの老朽化と従業員の方の高齢化に新型コロナによる売上の減少が追い打ちを掛け、昨年の 3月に幕が下ろされてしまったのは残念でなりませんね(瓦せんべい自体は他でも買えますが)。
以前頂くのを忘れていた「長田神社」の七福神御朱印(長田神社は恵比須様)を改めて頂きに拠ったので今回は上記の様なルートになりました。市街地であちこち巡るにはやはりクロスバイクもいいですね。ロードバイクほどには停める場所に気を使ったりしなくて済みますから・・・。
食事は湊川神社を北に上がった大倉山の「もっこす 総本店」で久々のチャーシュー麺にしました。「もっこす」はここ最近 ” 申告漏れ ” という名の○税だったり外国人労働者の不法就労だったりと問題を起こしていますが、味は美味しいんだから是非ラーメン作りに専念してまっとうな商売をして頂きたいものです。無くなっちゃやですよ(苦笑)。
■ 御朱印を頂いてきました
参拝を済ませ、本殿の隣にある社務所で御本社と神戸七福神の御朱印を頂いてきました。
こちらは湊川神社の御本社の御朱印です。御祭神である楠木正成公が後醍醐天皇から菊の紋を下賜された際に、余りに恐れ多いと菊の花が川の流れにゆっくり身を任せているような「菊水」を家紋として使うようになったのだとか。こちらは湊川神社の社紋ともなっています。はい、参拝したのは 5月21日です。ブログを書く際に写真の処理をしたり色々調べ直したりしていて遅くなってしまいました(苦笑)。
「神戸七福神めぐり」には専用の御朱印帳が用意されています。湊川神社の御祭神は除災招福、疫病除の神として信仰されている「毘沙門天」。
楠木正成公は、毘沙門天の申し子とされ、幼名も毘沙門天の別名「多聞天」から「多聞」と名付けられたそうです。「神戸七福神めぐり」の専用の御朱印帳には予め各御祭神の挿絵が描かれています。これで「長田神社」「生田神社」「湊川神社」の「神戸三社」をお詣りすることが出来ました。「神戸三社」はそれぞれが近い距離にあるので、同じ日に徒歩で巡ることも充分に可能です。
今年の目標として「自転車で神戸七福神をめぐる」ということを密かに掲げているのですが、残すところは「須磨寺」「大龍寺」「天上寺」「念仏寺」の 4箇所となりました。須磨駅近くの「須磨寺」と有馬の「念仏寺」はともかくとして、難所は再度山の「大龍寺」と摩耶山の「天上寺」ですね・・・。
■ アクセス
「湊川神社」は「JR神戸駅」のすぐ北辺りに位置していますが、神戸市営地下鉄「大倉山駅」、阪急・阪神電車が乗り入れる「高速神戸駅」もすぐ近くにあって電車での参拝が非常にし易い神社です。
「湊川神社」
住所 : 兵庫県神戸市中央区多聞通3丁目1-1
電話 : 078-371-0001
参拝時間 : 5:00 ~ 19:00(月毎に多少変動)
駐車場 : 約 20台分(予約不可)
備考 : 授与所、御朱印受付は 9:00 ~ 17:00
参拝可能な時間は、日の長さに合わせて月毎に変動します。最も長くなるのは 6月と 7月で、午前 5時から午後 7時半までとなるようです。無料駐車場もありますが、スペースが小さいため満車になることが多々あるようです。すこし北に上がれば市営の「大倉山駐車場」があるのでそちらを利用するのが無難かと。自転車・バイクは神社の駐車場の片隅に停めさせて頂けます。