前回の続きです。
今回入手した個体のファームウェアは「5.3.4A-2.3」というリリース当初のものが入っていました。現在の最新ファームウェアは「5.4.7-0.1」で発売時から既に 30回近くのアップデートが行われている様子。不具合修正や機能追加などがされているのでアップデートしておくことにします。ただ、最新版にアップデートする為には一旦「5.4.3B-3.17」というファームウェアを使ってブートローダーを「2.0.8」から「2.0.24」に上げてから改めて行うという二段階の作業が必要なようです。
まず現在の状況を確認しておきます。「特権EXECモード」に入り、
・ブート時に使われるファームウェアとコンフィグの情報を表示 「show boot」 ・システム情報を表示 「show system」 ブートローダーのバージョンなどを確認できます。 ・ファイルシステムの情報を表示 「show file systems」 フラッシュメモリ内の空き容量を確認。ブートローダーバージョンアップツールが約16.8M byte、最新版ファームウェアが約 23M byteあるのでそれ以上の空き容量がある事を確認し ておきます。足らない場合は「dir」コマンドでファイル一覧を参照して「delete」コマンド で不要なファイルを削除して空きを確保しておくこと。
ファームウェアは「こちら」からダウンロードしておきます。(ファームウェアダウンロードには本体のシリアル番号が必要です。)今回はブートローダーのアップデートも必要なので「ブートローダー バージョンアップツール(x210-5.4.3B-3.17.zip)」と最新版ファームウェア(x210-5.4.7-0.1.zip)の両方をダウンロードして解凍し、ファイルの移動をさせやすい場所に置いておきます。
さて、新しいファームウェアを AT-x210 に転送する方法ですが、最初はコンソールポートから「Z Modem」で転送しようとしました。AT-x210 側で「copy zmodem」として受信待機させておき、Tera Term の「ファイル」→「転送」→「ZMODEM」→「送信」として送信するファイルを指定してやれば転送が始まります。始まります・・・が・・・転送速度が 920 byte/sec(7360bps程度)程で落ち着いてしまいました。コンソールポートの速度が 9,600 bps なのでまあこんなものなのでしょうが、とにかく遅い!16 Mbyte のファイルを転送しようとしたら 5時間ほどかかってしまいます。さすがにこれではやってられないということで、「tftpd64」を使って TFTP で転送させたところ 1 Mbps 程度は出てくれて快適でした。「tftpd64」を使ったファイル転送方法については別の記事にまとめていますので宜しければご覧下さい。転送が終わった後「dir」コマンドでファイルサイズなどに問題がないか確認しておきます。
ファイルの転送さえ出来てしまえば後は簡単です。今回はブートローダーとファームウェアのアップデートを一度で済ませます。「グローバルコンフィグモード」で
・バージョンアップツール「x210-5.4.3B-3.17.rel」を通常用ファームウェアとして指定 「boot system x210-5.4.3B-3.17.rel」 ・新ファームウェアをバックアップ用ファームウェアとして指定 「boot backup x210-5.4.7-0.1.rel」 作業する時点でファームウェアが【5.4.3】以降の場合は「boot system backup」コマンド で指定すること。 ・各ファームウェアが正しく起動時のファームウェアとして指定されていることを確認 「show boot」 Current boot image : flash:/x210-5.4.3B-3.17.rel (file exists) Backup boot image : flash:/x210-5.4.7-0.1.rel (file exists) となっていればOK ・システム再起動 「reboot」
このように設定することで再起動後まずブートローダーのアップデートが行われ、自動的にバックアップ用ファームウェアを通常用ファームウェアとして指定し直した後再起動されます。また、この時バックアップ用ファームウェアの指定も「Not set」となります。アップデート作業中に電源だけは落とさないように注意。
再起動後ログインして「show system」を実行し、ブートローダーとファームウェアが意図通り更新されていれば作業完了です。バージョンアップツール「x210-5.4.3B-3.17.rel」は不要なので「delete」コマンドで削除しておきます。
ファームウェアの改版履歴は「こちら」のページ下部からリリースノートを見ることができます。(閲覧にはシリアル番号が必要です。)