ノイズキャンセリング機能を搭載した TWS(完全ワイヤレスステレオ)イヤホンもすっかりメジャーになりましたね。出始めた当初は接続性が悪かったりバッテリーの保ちが悪かったりしましたが、その後の技術革新で今では 1万円大きく割り込む価格の製品でも一定の品質を備えたものがたくさん発売されています。絶対的な音質では有線のイヤホンに敵うべくもありませんが、煩わしい接続コードから解放されるのですから人気が出ないはずもありません。
私も低価格品を中心に、これまでいくつかのノイズキャンセリング機能搭載 TWS を使ってきましたが、となると当然、高価格帯のTWS とは何がどう違うのか気になってきます。ということで、昨年 9月に発売された SONY が「世界最高ノイズキャンセリング」とまで謳う TWS の最高峰モデル「WF-1000XM5」を購入してしばらく使ってみましたのでレビューしておくこととします。
■ 今回はソニーストアで購入しました
ソニー製品を購入する場合、特に予約商品や発売から間が空いていない製品についてはソニーストアで購入されることを強くお勧めします。というのも、保証の手厚さが抜群なのですよね。今回購入した「WF-1000XM5」の場合、ソニーストアで購入すれば通常 1年のメーカー保証期間が無償で 3年に延長されるほか、追加で「ヘッドホンケアプランワイド」という保証に加入する事も可能です。
「ヘッドホンケアプランワイド」では、通常保証対象となる「自然故障」に加え、水没や車のタイヤで踏んでしまったなどといった破損も保証の対象となる(1年間に 2回目以降は 50% の修理費用割引)ほか、片方のヘッドセットを紛失してしまった場合でも大幅な割引料金で提供(1年に 1回まで)してくれます。年間 3,300円(初年度は 1,650円)の費用が掛かりますが、落としやすい TWS とは非常に相性の良い保証プランでしょう。支払いを続ける限り 4年目以降も保証されるという点も魅力です。
価格面でも「My Sony ID」の登録で定期的に 10% OFF のクーポンが発行されますし、毎年 6月頃に大量に出品される株主優待クーポンを確保しておいたり、時折行われるキャンペーンなどを利用することで、ネット販売価格の最低価格近くで購入出来る事もあります。タイミングなどを見計らって購入するのも良いでしょう。
長期修理保証については家電量販店などで独自に制度を設けているところもありますが、いざ修理に出す際には窓口が購入店となるためかなり余分に時間が掛かります。また、水没や紛失にまで対応してくれることは少ないでしょう。「ヘッドホンケアプランワイド」にまで加入しないとしても通常故障の保証期間が 3年間に延長されるのは十分な魅力だと思います。
■ 「WF-1000XM5」のハードウェアをチェック!
それでは「WF-1000XM5」を見ていくことにしましょう。カラーバリエーションはブラックとプラチナシルバーの 2色が用意されています。プラチナシルバーは実際にはグレーに近い感じですね。
最近の SONY製品全般に言えることですが、パッケージは非常にシンプルです。SDGs だかなんだか知りませんが、安くは無いイヤホンなんだからここはもうちょっととコストを掛けて所有欲を満たして欲しいなと思います。パッケージを開けて製品と対面する瞬間って大事だと思うのですけどね・・・。
付属品は最初からイヤホン本体に取り付けられているものを含めて 4種類(SS、S、M、L)のイヤーピースと充電用の USB Type-A to Cケーブル、極簡単な取扱説明書と保証書などです。付属の充電ケーブルは約 20cm と短いので、市販のものを使う方が使いやすいでしょう。
付属の取扱説明書ではとてもじゃないですけど「WF-1000XM5」の機能を把握しきれません。下記のリンクから「Web取扱説明書」に目を通しておくことをお勧めします(PDF としても入手可)。
ちなみに同梱されている説明書と同じものの PDF も以下から入手する事が可能です。
充電ケースのサイズは、65x40x25 mm。河原で見かける丸くなった石のような外観・手触りで、手の平にすっぽりと収まります。裏にはペアリング用のボタン。ジーンズのポケットなどに楽に入ります。
イヤホンの外装はタッチセンサーの部分を除いてツルツルした素材なのですが、正直かなり評判が悪いですね・・・。というのも、とにかくよく滑ります。コツを掴めばケースから取り出す際に苦労することはありませんが、イヤホンを摘まんで持ったりするとツルっと滑って落としてしまうことが多い・・・。汚れは付きにくいかも知れませんが、ほんと、なんでこんな素材にしたんだか・・・。
「WF-1000XM5」の主な仕様は以下の通り。
型式 | カナル型、密閉ダイナミック型(ドライバユニット径 8.4 mm) |
伝送周波数帯域 | 20 Hz ~ 20,000 Hz(サンプリング周波数 44.1 kHz) 20 Hz ~ 40,000 Hz( LDAC サンプリング周波数 96 kHz 990 kbps) |
接続方式 | Bluetooth Ver. 5.3(Class 1) |
対応コーデック | SBC、AAC、LDAC、LC3 |
連続音声再生可能時間 | NCオン:最大 8 時間(ケース込みで最長 24時間) NCオフ:最大 12時間(ケース込みで最長 36時間) |
マルチポイント接続 | 対応 |
ワイヤレス充電 | 対応(Qi 規格) |
装着検出機能 | ○ |
防水仕様 | IPX 4 相当(防滴) |
DAコンバーターやヘッドホンアンプ、Bluetooth 機能などがワンチップ化された「統合プロセッサー V2」と、高音質のノイズキャンセリングプロセッサー「QN2e」によって前モデルの WF-1000XM4 と比べて 20% のノイズ低減を実現し、非常にハイレベルなリアルタイムノイズキャンセリング処理と音声信号処理を可能にしたとのこと。
コーデックは、SBC、AAC、LDAC の他に次世代 Bluetoothオーディオの「LE Audio」で使用される「LC3」にも対応。「LC3」は「Low Complexity Communications Codec」の略で、高音質と低消費電力を両立し、低遅延も実現しているそうです。伝送効率も大きく改善されており、SBCコーデックで最高音質の 354kbps に圧縮した結果より LC3コーデックで 160kbps に圧縮した結果の方が高音質になるのだとか。課題は対応機器の少なさですが、こればかりは時間が解決してくれるのを待つしかありませんね。
バッテリーの保ちは途中でケースに戻して充電したりしなくても 8時間も保つというのであれば充分ではないでしょうか。また、出掛けに充電を忘れていたことに気付いたとしても僅か3分間の充電で 60分再生可能な「クイック充電」機能にも対応しているのは心強いところ。Qi 規格のワイヤレス充電にも対応しており、Qi に対応した Xpeira スマホを使っていれば「おすそ分け充電」も出来るそうです。
重量はケース込みで 49.5g、片側のイヤホンのみで約 5.8g と、非常に軽量です。装着感も良好で、しっかり着けておけば頭を左右にブンブン振っても外れたりしませんね。尤も、過信は禁物なので、電車やバスなどの乗降時は注意したいところ。防滴仕様なので、夏場に汗を掻いた程度では大丈夫でしょう。
「WF-1000XM5」の特徴の 1つとして、通常イヤホン本体側に付いていることの多いフィルターがイヤーピース側に付いていることがあります。このフィルターは、耳垢や埃などの異物がイヤホン内部に侵入するのを防ぐためのものなのですが、イヤーピース側に付いているのは初めて見ました。でもまあ、イヤーピースを交換すればフィルターも新しくなるので、こちらの方が合理的と言えば合理的ですね。
交換用のイヤーピースは「EP-NI1010」という型番で市販されています。「WF-1000XM5」との組合せではイヤーピース側にフィルターが内蔵されていることも大事ですが、「ノイズアイソレーションイヤーピース」と言うだけのことはあって、遮音性を高めて外部のノイズを排除し、ノイズキャンセリング機能の効果を最大限に発揮させてくれます。少々お高いですが、低価格 TWS に付属しているイヤーピースとは装着感も雲泥の差ですので、入手が容易なことは有り難いですね。
■ 「WF-1000XM5」のリセットと初期化方法
何らかの原因で「WF-1000XM5」をリセットしたり工場出荷状態に戻したりしたくなった場合に備えてそれらの方法をメモしておきます。
リセット方法
1. 左右のイヤホンを充電ケースに戻す(蓋は開けたままに)
2. 充電ケース背面のリセットボタンを 20秒以上長押し
3. 充電ケースの LED がオレンジで約 15秒後から 5秒間点滅
4. LED の消灯を確認してボタンから手を離せばリセット完了初期化方法(工場出荷状態)
1. 左右のイヤホンを充電ケースに戻す(蓋は開けたままに)
2. 充電ケース背面のリセットボタンを 15秒以上長押し
3. 充電ケースの LED が青で 2回ずつ点滅した後、オレンジで点滅を始める
4. LED がオレンジで点滅し始めてから 5秒以内に指を離す
5. 初期化が完了すると LED が緑で 4回点滅
リセット操作ではペアリング情報やその他の設定は保持されるのに対して、初期化するとペアリング情報と共に設定情報も削除されます。故障が疑われる症状が出てしまった場合は、修理に出す前にリセット→初期化の順に試してみて下さい。
■ 専用アプリ「Headphones Connect」
「WF-1000XM5」には、「Headphones Connect」という SONY製のヘッドホン・イヤホンをカスタマイズする事の出来るアプリが用意されています。
2024年2月現在のアプリの動作環境は、iOS版が 15.0 以上の iPhone・iPod touch で、iPad でも利用可能。Android版は、Ver.9.0 以降の Androidデバイスで使用可能です。「Headphones Connect」の取扱説明書は同梱されていないので、詳しく知りたい方は以下のリンクから PDF を入手しておくとよいでしょう(使ってみればだいたい分かるかとは思いますが)。
「WF-1000XM5」を iPhone 13 mini とペアリングさせてみます。購入直後なら「WF-1000XM5」を充電ケースから取り出すだけで電源が入って自動的にペアリングモードになりますが、2台目以降の機器とペアリングさせる場合は、イヤホンを充電ケースに戻し、蓋を開けたままの状態で充電ケース背面のボタンを 5秒以上押したままにして下さい。青い LED が 2回ずつ点滅して「WF-1000XM5」がペアリングモードに移行します。
ペアリング作業自体は簡単。アプリの指示に従っていくだけです。ペアリング作業自体は iPhone の Bluetooth設定からも行えますが、どのみち「WF-1000XM5」の設定変更にアプリが必要になるので、アプリを使ってペアリングさせた方が楽だと思います。
続いて「アダプティブサウンドコントロール」の設定を促されますが、この機能はユーザーが座ってゆっくりと音楽を楽しんでいるのか、或いはバスや電車に乗って移動している最中なのかをスマホの位置情報を使って判断し、自動的に最適なリスニングモードに切り替えてくれる機能です。「WF-1000XM5」のウリの機能の 1つなので、使わない手はありませんね。
また、Sony account などでサインインしておくことで、「WF-1000XM5」をどこでどのように使っているかを学習し、使用している全てのモバイルデバイスでアダプティブサウンドコントロールの設定やデータを同期し、最適なノイズキャンセリングモードを自動選択してくれるようになります。もちろん意に沿わない挙動をする場合はいつでも手動で変更可能。
iPhone の場合は標準で「Siri」による音声アシスタントを利用することが出来ますが、Amazon Alexa に切り替える事も可能です。「Headphones Connect」アプリの「システム」から「音声アシスタント」から Amazon Alexa が立ち上がるので、そちらで設定を行います。
Amazon Alexa が立ち上がったら右上の「➕」をタップし、「デバイス」を選んで下さい。デバイスの種類では「ヘッドホン」を選択すると「WF-1000XM5」がリストに出てきますので、そこをタップすることで Amazon Alexa の音声コマンドで「WF-1000XM5」を操作できるようになります。いつでも Siri に戻せますし、不要なら音声アシスタントを無効化することも出来ますので、まずは気軽に試してみて下さい。
ペアリング後、まず確認しておきたいのが「アダプティブサウンドコントロール」の設定。着席時や歩行時、乗り物に乗っている場合などや、場所(自宅や事ジムなど)によってノイズキャンセリング機能のモードや効き具合を決めておくことが可能です。
また、「DSEE Extreme」は、音源が圧縮される過程で失われた本来の周波数特性を AI 技術によって補完し、ハイレゾ級の音質にアップスケールしてくれる機能です。mp3 や aac などの非可逆圧縮音源に対して特に有効性が高く、確実に音の厚みが増すことを実感することが出来ると思いますので、こちらの機能は使えるようにしておくことをお勧めします。
「Bluetooth 接続品質」は「音質優先モード」が当然高音質ですが、駅の構内などで接続が不安定になるようであれば「接続優先モード」にすると多少は改善するかと思います。こちらは再生するデバイス側の問題でもあるのでケースバイケースとしか言えませんけどね・・・。とりあえず今のところ私の生活圏内では「音質優先モード」のままでもブツブツ切れたりすることは無さそうです。
「Headphones Connect」には、最適なイヤーピースを判定してくれる機能もあります。ダッシュボードから「システム」に進み、「最適なイヤーピースを判定」をタップすることでイヤホンに装着されているイヤーピースと耳の密閉状態を測定し、正しく装着出来ているかを自動判定してくれます。
「WF-1000XM5」に使われている「ノイズアイソレーションイヤーピース」は、正しいものを選択すると非常に遮音性が高いイヤーピースです。ノイズキャンセリング機能の効果を最大限に得るためにも「すべてのサイズを比較する」から最初の 1回くらいは全ての組合せを試してみることをお勧めします。いやほんと、ノイズキャンセリングの効き具合が劇的に変わりますよ。
■ 「マルチペアリング」と「マルチポイント接続」
「WF-1000XM5」は「マルチペアリング」に加えて「マルチポイント接続」にも対応していますが、両者の違いがちょっと分かりにくいかもしれないのでここで補足しておきます。
まず「マルチペアリング」ですが、こちらは 1つの子機(今回は「WF-1000XM5」)に複数の親機(スマホなど)をペアリング(登録)する事の出来る機能のことです。但し、複数の機器を同時に接続することは出来ません。ペアリングは常に 1:1 の関係になります。
同じ TWS でも安価な機種の中にはこの「マルチペアリング」に対応していないものがあるのですが、この場合はイヤホンとの接続をスマホからタブレットに変える際に一々初期化して再ペアリングする必要が生じてしまい、非常に面倒くさい思いをすることになります。
「WF-1000XM5」は当然この「マルチペアリング」に対応しており、最大で 8台までの親デバイスを登録しておく事が可能です(9台目以降の機器とペアリングした際は、8台の中で一番前に接続した機器とのペアリング情報が上書きされます)。但し、複数の機器を同時に再生したりすることは出来ません。
一方の「マルチポイント接続」ですが、こちらは 1つの Bluetooth子機(イヤホンやヘッドホンなど)に複数の親機(スマホや PC など)を同時に Bluetooth で接続し、自在に音楽を再生する親機を切り替えたり、音楽再生中に掛かってきた電話を受けたりすることが出来るようになる機能です。
DAP や PC などで音楽を再生している時にスマホに掛かってきた電話を取るといった場合に便利な機能なのですが、実際に途中で再生デバイスを切り替える機会はそう多くはないかも知れません。ですが、例えばスマホとタブレットなどよく使うデバイスをマルチポイント接続しておくと、いちいち Bluetooth の設定で視聴デバイスを切り替えなくてもスムーズに聞きたい方のデバイスから再生することができるので、あるに越したことは無い機能だと思います。
「WF-1000XM5」では 2台のデバイスとマルチポイント接続することが可能です。ペアリング済みの 3台目のデバイスを操作して「WF-1000XM5」で楽曲を再生したりした場合は、最後に接続していたデバイスとの接続は維持されるものの、もう一方のデバイスとの接続は上書きされます。
■ 「WF-1000XM5」の操作方法
「WF-1000XM5」では、左右のタッチセンサーに以下の機能が割り当てられています。
L 側 | R 側 | |
---|---|---|
1回タップ | ノイズキャンセリング機能切替 | 再生 / 一時停止 |
2回タップ | 受話 / 終話 | 次曲へスキップ |
3回タップ | ー | 曲の先頭 / 前曲へ戻る |
4回タップ | 音量アップ | 音量ダウン |
長く触れる | クイックアテンションモード | 音声アシスト起動 |
タッチセンサーの感度は非常に良好。ストレス無く操作する事が出来るでしょう。ノイズキャンセリング機能は、左のイヤホンをタップする度にノイズキャンセリングモードと外音取り込み(アンビエントサウンド)モードが切り替わります。また、音量の上下は、連続して左右のイヤホンをタップすることで「テンテンテントン」と音が鳴ってから 1段階音量が上下します。
「クイックアテンションモード」は、楽曲再生中にこの機能を使うことで、ノイズキャンセリング機能を使用していても一時的に外音取り込みモードに切り替わり、再生中の楽曲の音量を絞って駅や空港でのアナウンスなどの周囲の音に注意を払いやすくする機能です。左耳のイヤホンをロングタップしている間だけ音が絞られるのでなかなか便利な機能です。
■ 「WF-1000XM5」を 2ヶ月ほど使ってみて
まず、ノイズキャンセリング機能の品質ですが、” 世界最高 ” かどうかまでは知りませんが、間違い無く非常に高いレベルにあると言えるでしょう。時々期待したほどノイズキャンセリングが効かないというレビューを見かけることがありますが、恐らくイヤーピースが合っていないのでは無いかと思います。せっかくアプリを使った自動判定機能があるのですから、最初の 1回くらいはきちんと測定して自分の耳に合ったイヤーピースに交換しておくべきです。いやほんと、びっくりするくらい変わりますから。
低価格 TWS との大きな違いは、このノイズキャンセリング機能の効き具合を細かく設定することが可能であったり、一時的に外部のアナウンスに注意を払うことの出来る「クイックアテンションモード」機能の搭載、リスニング環境に応じて自動的にノイズキャンセリング機能のモードが切り替わる「アダプティブサウンドコントロール」や、「DSEE Extreme」という音質改善技術が搭載されていることでしょう。とにかく機能に隙がありません。正に至れり尽くせりといった感じですね。
「WF-1000XM5」のレビューでよく触れられている事ですが、ケースから取り出す際にツルツル滑る点はなんとかして欲しかったですね・・・。マットな触感の素材にしていれば良かったのにとは思います。
さて、私が TWS を使う目的の 1つにランニング中に音楽を聴くためということがあるのですが、正直に言って「WF-1000XM5」がランニング向きかと聞かれると、あまり同意は出来ませんね。
右の写真は今もランニング用イヤホンとして使い続けている Powerbeats Pro との比較です。「WF-1000XM5」も IPX4 相当の防水性能と、周囲の音が聞こえる外音取り込みモードがあるのでランニングにも使えない事は無いのですが、走行中に落としてしまう心配が無いという点で Powerbeats Pro の方がやはりランニングや激しめの運動をする際に使うイヤホンとしては向いていますね。
ランニング用のイヤホンとして考えるのであればやはり一番大事なことは走行中に落ちないということでしょう。落としたイヤホンに気を取られて転倒したり事故に遭ったりということも充分にあり得る話です。その点、イヤーフック式ならまず落とす事はあり得ませんからね・・・。勿論、通常の歩行している程度では落とす心配は少ないですよ。あくまでもランニング用としてはどうかという話です。
遅延はそれなりにありますが、音楽を聴いたり映画を観たりする程度で問題になることは無いでしょう。ただ、所謂「ゲームモード」などの低遅延モードは搭載されていないので、音ゲーなどのタイミングがシビアなゲームをプレイするのはさすがに厳しいだろうと思います。尤も、「LC3」という低遅延コーデックに切り替えることが出来るので、「LE オーディオ」に対応した再生デバイスを持っていれば話が変わってくるかも知れません(残念ながら私は検証出来ませんが)。
「WF-1000XM5」と言うとノイズキャンセリング機能に耳目が集まりがちですが、音質面でも音楽に浸るためのイヤホンとして最強クラスにある事に異論はありません。ロックやポップスといったジャンルではどんな TWS でもそこまで差を感じることは無いかも知れませんが、やはり弦楽器の音の艶やかさやスローなジャズサウンドに於けるハイハットの余韻などで明確な違いを感じます。
LDAC や LC3 で再生デバイスと接続出来ればベストですが、iPhone など AACコーデック止まりのデバイスとの接続でも「DSEE Extreme」などの音質補完技術の恩恵は充分に受けることが可能です。また、「360 Reality Audio」にも対応しているので、Amazon Music の契約とも相性抜群です。
TWS としてはかなり高価格帯の製品であることは確かですが、価格に見合った満足感を得ることの出来る製品でしょう。ボーカル楽曲からクラッシックまでどんなジャンルの音楽の視聴にも幅広く対応出来る TWS だと思います。周囲のノイズを気にせず、音楽にどっぷりと浸る事の出来る TWS をお探しなら是非候補に入れておくべき製品でしょう。