少し前から検討していた動画視聴サービスへの加入先ですが、結局 Amazon Prime Video を使うことに決めました。映画やドラマなど視聴出来る本数は十分ですし、他にも普段の Amazon での買い物の配送日時指定が無料になったり(完全には防げませんがデリバリープロパイダ回避にかなり有益です。)Prime Reading で Kindle本も読めたり Amazon Music の一部も使えたりと、年間 3,900円としてはお得すぎるサービスだと思います。
(※ 2019年4月から年額 4,900円に値上げされました。まだまだお得ですけど。)
4K で視聴出来る環境も整ってきたし、ちょうど先日の Prime Day のセールで安くなっていた「Amazon Fire TV」を買ってみました。4K Ultra HD(2160p) 再生に対応して 2017年に発売された、Fire TV としては第 3世代にあたるモデルで、Bluetooth 接続の音声認識リモコンが付属しています。1ヶ月ほど使ってみたので軽くレビューしてみようと思います。
6.5cm 四方、厚さ 1.5cm と非常にコンパクトに作られた本体には ARMベースのクアッドコア CPU と GPU、2GB の RAMと 8GB のストレージ、IEEE 802.11ac 対応の Wi-Fi(これについては後述)に Bluetooth など盛りだくさんのハードウェアが詰め込まれている反面、入出力端子は HDMI 出力と電源接続用の Micro USB 端子のみととてもシンプルです。Fire TV Stick という半額ほどで買えるモデルもありますが、4K や Dolby Atmos には対応していないのと Fire TV の方が CPUクロックやメモリに余裕があるので今後も考えて Fire TV の方を買っておくのはアリだと思います。また、Stick の方はさらにコンパクトなボディが仇となっているのか発熱による問題が出やすいようですね。どちらも度々セールで安くなっているようなのでタイミングを見計らって購入するのがよいでしょう。
パッケージの中身です。Fire TV 本体、音声認識機能の付いたリモコンと電池、9W の ACアダプタ、電源用の Micro USBケーブル、スタートガイドが付属していました。この手のデバイスにありがちですがスタートガイドは本当に基本的なことしか書かれていません。
『 Amazon Fire TV ヘルプ 』
というページが用意されているので一度を通しておいてもいいと思います。リモコンの電池はやや消耗が早いようなので eneloop などを使うようにした方がよいかも知れません。
本体の重さは約 90gと非常に軽く作られています。テレビや AVアンプなどの HDMI端子から直接ぶら下げるような感じになるので、最初見た時は AV機器側の端子に負担を掛けてしまうのではないかとやや不安を感じましたが、このくらい軽ければ確かに問題はなさそうですね。本体から伸びている HDMIケーブルの強度も十分で、よく考えて作られているなと感じました。それでもやっぱりプラプラして不安だという場合は両面テープで軽くテレビの裏などに固定してしまうとよいでしょう。
ただ、Fire TV Stick ほどではないにせよ Fire TV 本体の発熱はあるようなので、なるべく通気性の良さそうな場所にしておいた方がいいと思います。 HDMIケーブルの出ている対角に充電用の USBケーブルを接続するという形になります。9W の電源アダプタが付属していますが、充電器側は一般的な USB Type-A のコネクタなので市販の多数の充電ポートが付いたスマホ用充電器を使ってまとめることも可能です。
Fire TV は基本的には Wi-Fi でネットに接続することになります。15Mbps~30Mbps 程度の回線速度が得られれば 4K・HDR での視聴にも支障は無いそうですので、Wi-Fi 接続で特に問題はないでしょう。
さて、早速 AVアンプの Marantz NR1608 の HDMI端子に繋いでセットアップを始めてみたのですが、ここである問題にぶち当たってしまい、ちょっとばかり悩むことになりました。どうしても Wi-Fi の 5GHz 帯のチャンネルが認識されないのです。
Fire TV の Wi-Fi は IEEE802.11a/b/g/n/ac に対応していますが、Amazon がどうやら日本の電波法の制限を嫌っているようで、実は 11ac の 5GHz 帯は「W52」の 36, 40, 44, 48 の4チャンネルにのみにしか対応していません。製品のページにもこのことは書かれてはいるのですが、Wi-Fi ルーター側で「W53」や「W56」が有効になっていると Fire TV では 5GHz 帯の認識すらしてくれないという事までは書かれていないので注意が必要です。
うちは Wi-Fi のアクセスポイントとして NEC の Aterm WG1800HP2 を使っているのですが、「11g」の 2.4GHz 帯での接続はすぐにできたものの、電子レンジなどの影響が少ないと言われている「11ac」の 5GHz 帯が全く認識されず、検索してこの事に気付くまで随分悩みました。その後 WG1800HP2 側で W53 と W56 を無効に設定してみたところ、ようやく 5GHz帯での接続もできるようになりました。
Wi-Fi が安定せず、有線LAN で接続したいという場合はオプションで『 Amazon イーサネットアダプタ 』という下のリンクのようなパーツが用意されていて、電源用USBケーブルと本体の間に入れて使うという形になります。正直有線LAN のコネクタくらいは残しておいて欲しかったところですけど。
ただ、こちらのアダプタは 100Mbps までの回線速度にしか対応していないので、Wi-Fi の 5GHz 帯の接続安定性に問題が無ければ無線LAN に任せた方がよいかも知れません。
とりあえずセットアップを済ませたところで Fire TV の回線速度を測ってみました。測定のために Fire TV に FireFox をインストールし、ブラウザから音声検索で「スピードテスト」と入力して表示されたページの中から Flash などを使っておらず Fire TV でも動作が可能な『 スピードテスト.jp 』という測定サイトを使いました。母回線は So-net のv6プラス、Wi-Fi は 5GHz 帯での接続です。これくらいの回線速度が得られているのであれば 4K 作品の視聴にも全く支障無さそうですね。
セットアップは本体から伸びているケーブルを AV機器の HDMI端子に繋ぎ、電源用の USBケーブルを接続したら後はリモコンの電池を入れて画面の指示に従っていくだけで簡単に行うことができます。その際上で述べた 5GHz 帯での Wi-Fi 接続時の制限事項にだけ気をつければ特に問題は無いと思います。
リモコンに関しては賛否両論あるようですが手にもよく馴染み、非常にレスポンスが良いので少なくとも私の場合は特に操作でストレスを感じるようなことは今のところありません。
残念ながら Alexa を搭載しているわけではありませんが、音声認識での検索の精度はなかなか良いようで意外にもスムーズに見たい作品を探すことができたのは驚きでした。ただ、見たい作品が決まっている場合は音声検索でピンポイントに探せばよいのですが、リストにあるものをざっと見てどれを見るか決めるという場合は PCなどで予めウォッチリストに登録して置いた方が楽だと思います。
Abema TV や Netflix、DAZN などはアプリをインストールすることで利用できるようになります。面白いと思ったのは Amazon Music のアプリで、画面にちょうど歌っている場所の歌詞がカラオケのように表示されていきます。Amazon Music Unlimited を契約していればかなり快適に使えるだろうと思います。Abema TV についてはアプリの安定性が今ひとつなのかチャンネル切替時にたまに操作を受け付けなくなってしまうことがあるようです。この辺は今後のアプリの改良次第でしょうか。
YouTube に関しては Fire TV に用意されている「Silk」や「Fire Fox」のブラウザ上で再生するという形になります。以前は専用のアプリがあったそうですが、 Google との勢力争いのとばっちりを受けた形で使えなくなってしまいました。利用者にとっては迷惑この上ない話ですが、とりあえず視聴はできるようになっているのでまあよしとしましょう。個人的には YouTube は PC で見る事がほとんどなので映るのであればそれで十分です。
映像出力は 2160p の 4K・60fps に対応していて HDR 表示も可能になっています。音声出力も Dolby Digital の他にも Dolby Atmos にまで対応していますが、現在の所まだ 4K に対応した作品はごく僅かしかないようです。この辺りは今後に期待するしかありません。
4K 作品の視聴には最低 15Mbps 以上の回線速度とディスプレイまたは TV が HDCP 2.2 へ対応していることが必須条件です。まずこれらの条件を満たしていない場合は Fire TV を使っていても 4K 作品の視聴はできません。どうやら再生を始めてから回線速度をチェックしつつ最適な画質を探っているようで、初めから Ultra HD の画質で視聴出来るわけではなく、数十秒程してから Ultra HD へ切り替わっているようですね。切り替わると画面左下に「Ultra HD」の表示が出ます。
ベースが Android OS なので Fire TV の「開発者オプション」をいじっておけば比較的自由にスマホのようにアプリを追加して入れていくことが出来るようです。ただ、リモコンで操作することになるので不都合の出てくるものもかなりあるでしょう。アプリについては追々いくつか試してみるつもりですが、あまり変なものを入れてしまうと踏み台などにされてしまう恐れもありますので、ある程度信用と実績のあるものを必要最小限に入れるというようにしておいた方がいいと思います。
Amazon Prime に入っているなら買って損の無いデバイスだと思います。PC からでも視聴することはできますが今後増えて来るであろう 4K での視聴や Dolby Atmos など 5.1ch 以上での音声再生はできませんから。Prime Video には恐らく期間限定なのでしょうが、8月に入って「La La Land」や「シン・ゴジラ」といった作品(4K 配信ではないですけどね。)も追加されていますし、まだ利用したことのない方もまずは一度体験入会してみる事をお勧めします。
また、「Prime Videoチャンネル」というサービスが今年の 6月から始まっており、追加料金を支払えば Fire TV 上で「J SPORTS」なども観れるようになっているので、来年の Le Mans 24時間レースのシーズンには期間契約してみるのもいいかなと思っています。J SPORTS チャンネルに関してはもう少し料金が下がってくれるとよいのですがね・・・。
2020年9月現在、後継機となる Fire TV Cube、Fire TV Stick 4K を購入する事ができます。