先日 Wi-Fiアクセスポイントを NEC の WG-1800HP2 から同社の WX3000HP に更新しました。今まで使っていた WG-1800HP2 は取り外していたのですが、そう言えばコンバーターモードもあったなと言うことで、Wi-Fi中継機として使えないか試してみることにしました。
■ 「Wi-Fiコンバーター」と「Wi-Fi中継機」の違い
そもそも今まで使う事の無かった機能なので、実はこの「コンバーターモード」については全然知識がありませんでした。そして「コンバーター」と「中継機」の違いについてもよく分かっていませんでした。そこで両者の違いについてちょっと整理しておきます。
どちらの場合も、親機ー子機(中継機)の間の接続が不安定な場合はほとんど意味を成しません。機器同士は安定して接続出来る距離に設置する必要があります。
「コンバーター(イーサーネットコンバーター)」
「コンバーター」は文字通りの意味だと「変換するもの」や「転換するもの」の事を指します。「イーサーネットコンバーター」という意味の場合は、無線LAN(Wi-Fi)の電波を有線LAN に変換する機器という意味になります。
つまり、イーサーネットコンバーターを使う事で有線LAN ケーブルの届かない離れた部屋などに無線LAN で電波を飛ばし、有線LAN でしか接続出来ない機器(テレビや HDDレコーダーなど)を家庭内LAN やインターネットに接続させることが出来るようになります。
例えば 1階に親機を設置していて 2階でも安定してネットを使いたいけど有線でケーブルを引くには距離が離れているといったような場合に 1階と 2階を無線LAN で接続し、2階ではコンバーターから有線LAN を引くといった使い方が可能です。
ただし、コンバーターとして使う場合は有線LAN での接続しか出来ませんので、Wi-Fi も必要な場合はコンバーターの配下に LAN で更に別の Wi-Fiアクセスポイント機器を設置する必要があります。その場合は SSID も当然親機のものとは異なるものになるので、どちらに繋ぐか自分で指定しなければなりません。「中継機」
一方、「中継機」の場合は、親機から飛んできた Wi-Fi の電波を増幅して子機の方でも発射します。このため、一戸建ての家などで Wi-Fi の電波が届きにくい部屋などでも安定したネット接続が可能になったり接続スピードの向上を図ったりすることが可能になります。
コンバーターと違って無線で接続出来るので、機器の設置場所に関する制約が大きく緩和されるというメリットがあります。NEC の家庭向け無線LANルーターを中継機として使う場合など、中継機側に LANポートが付いてれば中継機兼コンバーターとして、有線でしか繋げない機器も接続可能なものもあります。
中継機の中には「デュアルバンド中継」や「トライバンド中継」といった機能を持っているものもあります。トライバンド中継では中継用に高速な 5GHz帯のバンドの 1つを専用に使い、子機との接続は 2.4GHz帯と 5GHz帯それぞれのバンドで通信が行えるため、バンドの共用をする必要が無く中継時のネットワーク帯域の半減を回避することができますが、残念ながら安価な製品では採用されていません。NEC の製品でトライバンド中継に対応したものは今のところ発売されていないようですね。
Amazon の Fire TV 4K では別途アダプターを購入しない限り有線接続は出来ませんので、つまり、今回の私のようなケースで必要なのは「コンバーター」ではなく「中継機」だったということになります。
■ WG1800HP2 を「コンバーター」として使う事は可能
WX3000HP を親機として WG-1800HP2 を「コンバーター」として接続することは簡単です。WG-1800HP2 背面の切り替えスイッチを「CNV」に設定し、管理画面の「基本設定」から「アクセスポイント検索」ボタンで接続する Wi-Fiネットワークと暗号化モードを選んで暗号化キーを入力するだけです。
コンバーターとして使う場合、親機の方で暗号化方式に WPA3 が指定(互換モード含む)されていると親機と WG-1800HP2 を接続することは出来ないので WPA2-PSK などを使う必要があるようです。
初めはよく分かっていなかったので、こちらの方での接続になっていました。Fire TV で使うには意味が無いのですけどね(苦笑)。
■ WG1800HP2 を Wi-Fi中継器として使おうとしたのだが・・・
さて、Fire TV のために WG-1800HP2 を中継機モードで使おうと思ったのですが、この中継モードとして設定する場合は手動での設定はできないのですね。WG-1800HP2 の場合は「らくらく無線スタート」という機能を使って親機とペアリングさせないといけないようです。
設定方法については aterm の下記のページで書かれています。
一応書き出しておくと、
- 電源を切った状態で WG-1800HP2 背後のスイッチを「CNV(CONVERTER)」に設定。
- WG-1800HP2 の電源プラグを差して起動。CONVERTERランプが「緑点灯」するまで待機
- WG-1800HP2 の「らくらくスタートボタン」を長押し。POWERランプが「緑点滅」したら放す。
- 親機の「らくらくスタートボタン」を長押し。POWERランプが「緑点滅」したら放す。
- しばらくすると WG-1800HP2 と親機の POWERランプが「緑点滅」から「オレンジ点滅」に変わったら親機の「らくらくスタートボタン」を長押し。両機ともに「オレンジ点灯」に変わったらボタンから手を放す。
- 両機の POWERランプが「オレンジ点灯」から「緑点灯」に変われば接続完了。WG-1800HP2 の ACTIVEランプが緑で点灯、CONVERTERランプがオレンジで点灯。
という手順になります。中継機モードで使う場合も親機の方で暗号化方式に WPA3 が指定(互換モード含む)されていると親機と WG-1800HP2 を接続することは出来ません。代わりに WPA2-PSK などを使う必要があるようです。
ところが・・・。何度試しても「5」の段階で両機とも赤ランプが点灯してしまい、接続させることができません。WX3000HP は、中継機モードとコンバーターモードの実装は近日公開予定のファームウェアアップデートが必要とはされていますが、親機としての使用なら問題は無いはず・・・。
■ NECに問い合わせてみた
何が駄目なのか分からなかったので、「こちら」のページにあるメールフォームから NEC のサポートに問い合わせてみました。電話の方が早いかも知れませんが、ナビダイヤルは御免です。メールでの 返答は 2日程で頂けました。
WG1800HP2は、「Wi-Fi高速中継機モード」「Wi-Fi TVモード中継モード」の中継機能に対応しています。 親機との接続には、「らくらく無線スタート」機能を使用して無線接続させる必要が御座います。
WX3000HPには、「らくらく無線スタート」機能が、実装されておらず、WG1800HP2を中継機として接続 させる事ができません。
むむむ・・・。
これを読んでも最初は何を言われているのかよく分からなかったのですが、WX3000HP の「WPS(Wi-Fi Protected Setup)」という無線LAN危機同士を簡単に接続させることが出来るように用意されている規格と、WG-1800HP2 の「らくらく無線スタート」という規格に互換性が無いという事のようです。
なるほど確かに「Aterm シリーズWi-Fi中継機能 対応機種情報」というページの中継機として使える機器のリスト上では「WX3000HP」と「WG-1800HP3/4」については〇印が付いていますが、「1800HP2」は載っていません。どうも後継機からは他社の機器とも互換性のある「WPS」機能が採用されて、NEC 独自の「らくらく無線スタート」機能は見切られてしまったようです。
同じメーカーだから大丈夫だろうと思っていたのですがね・・・。
■ 結論
このように NEC の Wi-Fi中継機としてのペアリング方法自体が変わってしまっているため、WG-1800HP2 を WX3000HP の Wi-Fi中継機として使う事はできません。同様に「らくらく無線スタート」機能を採用した古い機種を中継機として使う事もできませんので皆さんもご注意下さい。
取りあえず今回は使わなくなった WG-1800HP2 を有効活用出来ないかと思って色々試してみただけであって、幸いうちでは中継機を使わなくても電波は行き渡っているようなので、また必要になるようなことがあれば改めて考えようと思います。その頃にはメッシュWi-Fi も価格が下がって使いやすくなっているかも知れませんしね。