一般に、ランニングやサイクリングなどの運動時に心拍数の変化を記録することの出来る心拍計は、胸の周りにセンサーと電極パッドの付いたベルトを巻き付ける「電気式」と、スマートウォッチなどと一体になった「光学式」の心拍計に大別されるようです。先日購入した Garmin のサイクルコンピューター「Edge 840 セット」には、「HRM-Dual」という ANT+ と Bluetooth での接続に対応した胸バンド式の心拍センサーが付属していました。
心拍センサーの精度としては「電気式」の方が「光学式」のものよりかなり優れているそうです。「電気式」は言ってみれば心電図と同じですからね。血中のヘモグロビンに光を照射し、吸収される具合から推定する「光学式心拍計」も進歩はしているようですが、まだまだ「電気式」には敵わないようです。
ですが、「胸バンド式」の心拍計はとにかくいろいろ ” めんどくさい ” と思う方も多いでしょう。清潔を保つためバンドの洗濯は必須ですし、汗や皮脂などの影響を受けてベルト(特に電極パッド)が破損してくるそうです。ベルトは交換可能 ですが、まあそれなりの出費になりますね・・・。ベルトの装着時にも服を脱いで電極パッドを濡らして・・・と一手間掛かってしまいます。
そこで、手持ちのスマートウォッチ「Forerunner 955」に備わっている光学式心拍計を「Edge 840」とペアリングして心拍データを取得させることにしました。「光学式」とは言え、「Forerunner 955」のセンサーは 6つのセンサーを搭載した ” 第4世代 ” のものに進化し、配置も最適されて精度がかなり向上しているそうです。私の用途には充分役立ってくれることでしょう。
■ Garmin ウォッチの「心拍転送モード」で「Edge 840」とペアリング
「Forerunner 955」を「Edge 840」の心拍計として利用するには、「Forerunner 955」が持つ「心拍転送モード」を設定する必要があります。「心拍転送モード」は、ランナー向けの「Forerunner」シリーズのみならず、「Felix」「Instinct」 「Vivoactive」など Garmin のスマートウォッチのほとんどに搭載されているはずです。普段使っているものがそのまま利用できるのはいいですね。
「心拍転送モード」に設定した Garmin のスマートウォッチとサイクルコンピューターは、「ANT+」または「Bluetooth」で接続されます。両方を登録しておくことも可能ですが、もちろん片方だけでも構いません。まずはサイクルコンピューターの側で「心拍センサー検索モード」に設定します。
「Edge 840」はボタン操作以外にタッチ操作ができるので、ペアリング作業もスマホ感覚です。
① 「Edge 840」の画面を上から下にスワイプ
② プロフィールや設定の画面が表示されるので「センサー」をタップ
③ 登録済みのセンサー一覧が表示されるので「センサー追加」をタップ
④ 「心拍」をタップするとセンサー検出モードになるのでスマートウォッチ側の操作へ
続いて「Forerunner 955」での操作です。こちらもタッチパネル対応なのでかなり楽。
① 時計表示画面から左中央のボタンを長押し
② 下方向へスクロールし、「健康&ウェルネス」をタップ
③ 「光学式心拍計」をタップ
④ 下方向へスクロールし、「心拍転送モード」をタップ
⑤ 右上ボタンで「開始」、再度押せば「停止」
「心拍転送モード」を開始した状態で再び「Edge 840」側の操作に戻ります。
しばらくすると心拍センサーが検出されるので、登録するセンサー横のチェックボックスをタップして「Edge 840」に「Forerunner 955」を登録します。「カスタムデータページ」はお好みで。
上の画像ではセンサー検出画面で「心拍」と「Bluetooth センサー表示」が表示されていますが、「心拍」となっている方が「ANT+」接続で、「Bluetooth センサー表示」が「Bluetooth」接続です。どうやら Bluetooth で接続した場合は心拍センサーをペアリングさせた機器の名称が表示されるようですね。「ANT+」接続の場合もセンサー名の変更は可能です。分かりやすい名前に変えておくとよいでしょう。
「心拍転送モード」は、スマートウォッチ側の心拍データをサイクルコンピューターに渡すだけでなく、同時にスマートウォッチ側でもアクティビティデータの取得・記録に使う事が可能です。
① 右上のボタンを押下してアクティビティを選択
② アクティビティ画面で左中央ボタンを押下
③ 「バイク設定」をタップ
④ 下方へスクロールし、「心拍転送モード」を「オン」に設定
これならスマートウォッチ側でアクティビティの計測をスタートさせると自動的に「Edge 840」にも心拍データが転送され、スマートウォッチ側でのアクティビティの記録を終了させれば「心拍転送モード」も停止されます。但し、Garmin Connect 上にアクティビティデータがダブって(スマートウォッチのものとサイコンのもの)がアップロードされてしまうのですよね。どちらかのデータを削除すれば整理出来ますが、取得したバッジが消えてしまうこともあるようです。
サイコンに心拍データを転送させたい時だけ「心拍転送モード」をオンオフさせると良いのですが、メニュー階層の深いところにあるのでこれはこれで面倒・・・。解決策を探していたところ、「Forerunner 955」の「コントロールメニュー」で「心拍転送モード」をオンオフさせるのが手っ取り早そうだということがわかりました。
■ 「Forerunner 955」の「コントロールメニュー」をカスタマイズ
「コントロールメニュー」は、「Forerunner 955」の左上ボタンを長押しした時に呼び出される「電源オフ」や「デバイスロック」「Garmin Pay ウォレット」などのアイコンが円状に配置されたメニューのことです。このメニューはカスタマイズが可能なので、そこに「心拍転送モード」へのショートカットも登録してやろうというわけですね。
追加登録の手順は以下の通り。
① 時刻表示画面で左中央のボタンを長押しし、下方向へスクロールして「表示」をタップ
② 更に下方向へスクロールして「コントロール」をタップ
③ 登録済みのショートカットがリスト表示されるので、最下部にある「追加」をタップ
④ 「心拍転送モード」を探してタップすればコントロールメニューへの追加が完了
時刻表示画面に戻ったら左上のボタンを長押しして「コントロールメニュー」を表示させてみてください。♥マークのアイコンが追加されているので、そこから「心拍転送モード」のオンオフへ直接アクセス出来るようになります。これならまあメニュー階層が深くて面倒ということは無いでしょう。
ペアリングは完了しているので、スマートウォッチ側の「心拍転送モード」さえオンにしてやれば「Edge 840」の方に心拍データが飛ぶようにはなりましたが、スマートウォッチ側での「心拍転送モード」のオンオフは手動で行う必要があります。切り忘れの心配は一定時間他の画面を表示させたままにしていると心拍データだけが表示される画面に戻るようになっているのでまあ大丈夫かと思います。
まあ若干の面倒くささはありますが、この程度なら使っていればすぐに慣れるでしょう。いずれにせよ心拍センサーベルトを着けたり外したり、あるいは洗濯したりするよりは圧倒的に手間いらずだと思います。まあ少しでも正確なデータを取得したいのならベルト式の心拍センサーを使うべきなのでしょうけどね。私的にはこちらで充分です。
走行データやルートの記録だけであればスマートウォッチだけでも充分に可能ですが、常時周辺地図を表示させておくことも出来ますし、坂の頂上まであとどれくらいか知ることが出来たり、ダウンヒル中に急カーブが接近すると音と表示で警告してくれる機能など、サイクルコンピューターならではの便利な機能もたくさんありますので、やはりサイクルコンピューターは思い切って買って正解なアイテムでした。最近雨が多くてまだあまり使い込めていないのですけどね(苦笑)。” 五月晴れ ” 何処行った?!