昨年末にスマートウォッチを Garmin の「ForeAthlete 745」から「Forerunner 955」に買い換えました。機能的には「ForeAthlete 745」で充分満足していたのですが、買い換えの理由はズバリバッテリーの保ちです。昨年淡路にサイクリングに行った 際に、いつかは挑戦したいと思っている ” アワイチ ” にはバッテリーが保ちそうに無いなと痛感したのですよね。
その日は写真を撮ったり食事をしたりと、あちこちでかなり寄り道をしながらだいたい 9時間ほど走り回っていたようなのですが、「ForeAthlete 745」のバッテリーがギリギリの状態になってしまい、途中で計測が途切れてしまわないかちょっとヒヤヒヤしたのですよね・・・。
” アワイチ ” は 1周約 150km、獲得標高も 1,200m を越えるため、挑戦するとしても私の体力では写真を撮ったり食事したりする時間も含めて少なくとも 14~15時間は見ておいた方が良さそうです。まあ大鳴門橋の手前辺りで 1泊する手もありますが、いずれにせよもう少しバッテリーの余裕が欲しいかなと。
「ForeAthlete 745」はよく出来たスマートウォッチです。先程も書きましたが、機能的には充分でした。ただ、Garmin のスマートウォッチはそこそこのリセールバリューがあります。更に量販店の株主優待割引券があったことや、セールで安くなっていたことなどから、「ForeAthlete 745」を中古で処分したとすると初めから「Forerunner 955」を買っていたのとたいして変わらない実質負担で買い換えられるなと思ってしまったのが運の尽き・・・。気がついたらポチッとしていました(苦笑)。
ということで「Forerunner 955」を 1ヶ月ちょっと使ってみましたので、「ForeAthlete 745」と比較しながらレビューしておきたいと思います。今後購入を考えている方の参考にでもして頂けると幸いです。
■ 「Forerunner 955」のスペックを確認!
するっと「Forerunner 955」と書いていますが、そう、Garmin のランニングウォッチのブランド名が今回から海外で使われていた「Forerunner」に変更されました。「ForeAthlete」というブランドは日本で「いいよねっと」が代理店をしていた頃の名残(2016年に Garmin が吸収)だったのですよね。
「Forerunner 955」には太陽電池パネルを搭載した「Forerunner 955 Dual Power」というバリエーションモデルが存在しますが、ソーラー充電の可否(及びそれに伴う稼働時間の違い)以外に相違点は無いので、ここでは同時に発売された「Forerunner 255」とも比較しておくことにしましょう。。
機種名 | Forerunner 955 | Forerunner 255 | ForeAthlete 745 |
---|---|---|---|
参考価格(税込) | ¥74,800 | ¥49,800 | ¥49,280 |
発売時期 | 2022.6 | 2022.6 | 2020.10 |
ディスプレイタイプ | 半透過メモリインピクセル(MIP)、カラー表示 | ||
解像度 | 1.3 inch 260x260 pixel | 1.2 inch 240x240 pixel | |
タッチ操作 | ○ | ✕ | ✕ |
レンズ素材 | Corning Gorilla Glass DX | Corning Gorilla Glass 3 | Corning Gorilla Glass DX |
ベゼル素材 | 繊維強化ポリマー | ||
稼働時間 | スマートウォッチモード:最大15日間 GPSモード:最大42時間 マルチGNSSマルチバンド+音楽再生モード:約8.5時間 マルチGNSSマルチバンド:約20時間 UltraTracモード:最大80時間 |
スマートウォッチモード:最大14日間 GPSモード:最大30時間 マルチGNSSモード:約25時間 マルチGNSSマルチバンド:約16時間 |
スマートウォッチモード:最大7日間 GPSモード:最大16時間 GPS+音楽再生モード:最大6時間 UltraTracモード:最大21時間 |
衛星測位システム | GPS、GLONASS、みちびき(補完)、Galileo GNSSマルチバンド、SatIQ(衛星自動選択) |
GPS、GLONASS みちびき(補完)、Galileo |
|
地図表示 | フルカラーマップ内蔵 | ✕ | ✕ |
Garmin Pay | ○(Suica 対応) | ||
防水等級 | 5 ATM | ||
内蔵メモリ容量 | 32 GB | 4 GB | 非開示 |
本体サイズ (mm) | 465x465x144 | 456x456x129 | 438x438x133 |
重量 | 52 g | 49 g | 47 g |
備考 | Music機能付きは +¥3,000 |
価格は Garmin の直販サイトに 2023年2月現在掲載されているものです。「Forerunner 255」が発売されている今、敢えて「ForeAthlete 745」を選ぶ理由は無いんじゃないでしょうか。「Forerunner 955」「ForeAthlete 745」は元から音楽再生機能を備えていますが、「Forerunner 255」では「Forerunner 255 Music」という音楽再生機能を付けたモデルや「Forerunner 255S」という若干小型のバリエーションモデルも選択出来るようになっています。女性の方には「255S」がいいかも知れませんね。
バッテリーの容量以外での「Forerunner 955」と「Forerunner 255」の相違点は、タッチ操作への対応と地図表示機能の有無、内蔵メモリ容量の違いと「トレーニングレディネス」などのソフトウェア面の充実度合い辺りです。「Forerunner 255」でも「ForeAthlete 745」の倍くらいバッテリーの保ちが良くなっていますし、あまりたくさん機能があっても使い切れないといった方にとっては非常にコストパフォーマンスに優れたモデルだと思います。
プラス 1万円でソーラー充電にも対応した「Forerunner 955 Dual Power」が買えますが、う~ん、どうなんでしょう。確かにバッテリーの保ちは確実に余裕が出るのですが、頻繁に充電を繰り返す事によるバッテリーへの影響が気になって踏み切れませんでした。心配し過ぎかも知れませんが、「ForeAthlete 745」よりは格段に電池保ちが良さそうなので、私の用途にはソーラー充電非対応モデルで充分かなと。
ディスプレイは、いずれの機種でも「半透過メモリインピクセル(MIP)」という液晶が採用されています。このディスプレイは、画素自体がそれぞれメモリー効果を持っていて、一度ディスプレイ上で画像を表示させると電流を流し続けなくても表示された画像を維持することが可能です。これによって抜群の省電力性能を実現し、更に屋外の太陽光下でも外が明るければ明るいほど見易い性質も持っていて、非常に視認性の良い画面表示を実現しています。「半透過型」なので、夜間のバックライト使用も妨げません。
いずれの機種も外部センサーは Bluetooth と ANT+ に対応。ランニングダイナミクスポッドやスピード・ケイデンスセンサーなど用途に応じて組み合わせることが可能です。Wi-Fi も搭載しているので、データ転送やウォッチフェイス・ウィジットなどのインストールもスムーズに行うことが可能です。それぞれのモデルに内蔵されているセンサーは以下の通り。
Forerunner 955 | Forerunner 255 | ForeAthlete 745 | |
光学式心拍計 | 6センサー式 | 6センサー式 | 4センサー式 |
気圧高度計 | 〇 | 〇 | 〇 |
コンパス | 〇 | 〇 | 〇 |
ジャイロセンサー | 〇 | 〇 | 〇 |
加速度計 | 〇 | 〇 | 〇 |
温度計 | 〇 | 〇 | 〇 |
血中酸素トラッキング | 〇 | 〇 | 〇 |
「Forerunner 955 / 255」では光学式心拍計が 6センサー方式へアップグレードされ、センサー配置も最適化されたことでこれまでのものよりも精度がかなり上がっているそうです。これまで 2xxシリーズには搭載されていなかった温度計も「255」で搭載されたことでセンサー面での差別化は無くなりました。
いずれの機種でも「Garmin Pay」が ” Suica ” にも対応しています。これだとランニングやサイクリングに出ていて財布を忘れたとしても対応した自販機やコンビニでドリンクを買えるというのはやはり魅力ですね。交通系電子マネーは PiTaPa を使っていたので Suica はまだ持っていないのですが、乗り換えを前向きに考えるつもりです。
■ パッケージもしっかりしたものへ
私はこれまで Garmin のスマートウォッチを「235j」→「645」→「745」と乗り換えてきたのですが、いずれもそこそこの値段のするスマートウォッチとしてはかなり安っぽい梱包でした。ですが、今回新たに購入した「Forerunner 955」はちょっと一味違いますね。
Apple製品などでよく見かけるパッケージングですね。やはり箱を開けて最初に製品が目に飛び込んでくるとテンションが上がります。外箱もとてもしっかりしたもの。価格なりの満足感は得られるかと。
付属品はマニュアル冊子類と充電用の USBケーブル、交換用のベルトループといつものシールです。付属のマニュアルでスマホとのペアリングなどざっと一通りの操作は知ることができますが、十分ではないので Garmin のサイトから PDFマニュアルを入手しておいた方が良いでしょう。スマホなどにダウンロードして入れておくと出先でも確認することが出来て便利です。
それでは本体をチェックしてみることにします。
画面サイズが一回り大きくなったこと以外は基本的に「ForeAthlete 745」のデザインと大きな違いはありません。ボタン配置も同じなので、違和感無く乗り換えることが出来るでしょう。光学式心拍計は第 4世代に進化し、センサー数も 6つに増えて配置が見直されたことで精度が上がっているそうです。充電端子は相変わらずの独自規格です。USB Type-C を採用してくれると便利になるのですけどね・・・。
血中酸素トラッキング機能は、所謂医療用のパルスオキシメーターほどの精度は期待出来ないようですが、オーバーワークや高山病の兆候の把握などでは役立つだろうと思われます。未だ収まらない新型コロナの症状悪化の兆候も参考程度には出来るかと。
ストラップの素材は「ForeAthlete 745」と同じシリコン製。付け心地も同じですね。ランニングやサイクリングが終わったら気にせずジャブジャブ水洗いして清潔な状態を保っておくことが出来ます。
そうそう、スマートウォッチを水洗いするのに抵抗ある方が居られるようですが、汗の塩分や皮脂が時計本体やベルトの寿命を縮めかねませんし、雑菌が繁殖する恐れもありますので、私は使ったら速やかに洗っておくべきだと思っています。「235j」「645」「745」と今まで使ってきた Garmin のスマートウォッチを全て運動した後に水洗いして来ましたが、それで壊れた事は今のところありませんよ。但し、湯気や蒸気などは防水機能があっても内部に入ってくることがあるようなので、お風呂やサウナに付けたまま入ることはやめておいた方がよいでしょう。あ、充電は乾いた後に行ってくださいね。
画面保護フイルムはこれまで同様 PDA工房の低反射タイプをチョイス。「Forerunner 955」には Corning社の Gorilla Glass が使われているので、そうそう割れたりすることは無いと思いますが、運動で使うものですからね。何かにぶつけたり転倒することも充分考えられるので保険です。また、タッチ操作を使う関係上、今までよりも画面に指紋が付きやすくなります。保護フイルムを貼っておけば多少はましになるでしょう。
■ 「Garmin Connect」で簡単セットアップ!
Garmin のスマートウォッチを使っていて「Garmin Connect」を利用しない手はありません。先にスマートフォンに「Garmin Connect」を入れておくことで非常にスムーズにセットアップを行うことが出来ます。iOS版と Android版がそれぞれ用意されており、もちろん無料で使う事が出来ます。
スマホとアプリの用意が出来たら「Forerunner 955」のセットアップを始めましょう。
初めて「Forerunner 955」を使う時は左上のボタンを押すと電源が入ります。電源が入ったら言語を選択し、右上のボタンを押すと「Forerunner 955」がペアリングモードに入ります。
ペアリング待機状態にした「Forerunner 955」の隣に「Garmin Connect」アプリを立ち上げたスマホを置くと、しばらくして「Forerunner 955」が検出されます。
「Forerunner 955」が検出されない場合は、「Garmin Connect」アプリホーム画面右下にある「・・・」をタップし、「Garmin デバイス」→「デバイス追加」と進んでみてください。検出されると Bluetooth によるペアリングが要求されますので、「Forerunner 955」に表示されるコードを入力します。
就寝時刻と起床時刻の設定は睡眠トラッキングに使用されます(当然時計を着けたまま寝る必要があります)。「サイレントモード」を設定しておくと夜中に通知で起こされることはありません。「ゴールの設定」は後でいくらでも変更出来ますのでここはスルーでもOK。デバイスとの同期が終わればひとまず使えるようになります。
その他の機能は後からでも設定することが出来ますが、Wi-Fi だけはすぐに使えるようにしておいた方がよいでしょう。Wi-Fi は、2.4 GHz帯の Wi-Fi(IEEE 802.11 b/g)にのみ対応しています。
古い機種では Wi-Fiパスワードを時計の方で入力しなければなりませんでしたが、今はアプリ上で設定出来るのでほんのちょっとの手間です。Wi-Fi をペアリングしておく事で、ランニングやサイクリングから帰ってきて Forerunner 955 が家の Wi-Fi を掴むと自動的にアクティビティデータをクラウド上の Garmin Connect にアップロードしてくれます。
セットアップ直後のファームウェアバージョンは「10.10」と、恐らく発売当時のものでしたが、すぐにセットアップ時点で最新の「13.22」が降ってきました(現在は更に「14.13」に更新されています)。更新履歴は「こちら」から確認することが可能です。履歴を見るに結構な機能追加がされていますね。
各種センサーの追加方法は「ForeAthlete 745」の場合と同じです。Bontrager 製 TREK 車専用スピードケイデンスセンサーの「DuoTrap S」、Garmin のスピードケイデンスセンサー、ランニングダイナミクスポッド(RD ポッド)については以前にペアリング方法をご紹介していますので参照下さい。
■ 「Forerunner 955」を「ForeAthlete 745」と比較
セットアップも無事終わったので、「Forerunner 955」と「ForeAthlete 745」を見比べてみます。
まずは重量。左が「Forerunner 955」、右が「ForeAthlete 745」ですが、ほぼ公称値通りと思ってよさそうです。「Forerunner 955」は若干重くなっていますが、特にランニングなどしていて気になる重量ではないでしょう。手首への装着感もほぼ変わりません。
画面サイズはかなり大きくなったなという印象です。手首の細い方にはちょっとごつすぎると感じるかも知れません。ですが、その分視認性は格段に良くなっています。裏面のセンサーは「ForeAthlete 745」の 4点式から 6点式に変更され、配置も最適化されています。
「Connect IQ」からベンチマークアプリを入れて計測してみました。「Forerunner 955」の SoC は非公開ですが、かなり性能が上がったようですね。CPU のスコアが 4.4 → 7.7 と大幅に処理能力が上がっているらしいことが覗えます。ちなみにこの ” Pips ” は、” Pi Per Second ” の意味なのだそうです。かつて ” スーパー Π ” というソフトが CPU のベンチマークとしてよく使われていたのを思い出します。見にくいですが、3D っぽい画像処理性能も 6 → 9 と大幅に上がり、かなり滑らかに動くようになっています。
SoC の能力が上がったお陰か、操作レスポンスも上々です。測位衛星の補足も非常に早く、ストレスを感じさせません。ただ、タッチ操作に関しては便利になったのは間違いありませんが、ややもっさり感がありますね。画面解像度が上がったことで、フォントが見易くなっただけでなく、これまでアナログ時計っぽいウォッチフェイスにした時に気になっていたジャギーがほぼ気にならないレベルになっています。
” Forerunner ” というシリーズ名ですが、もちろんランナーだけで無く、サイクリングやゴルフ、スイム、スポーツジム、健康モニタリングと、日々のトレーニングやフィットネスに使う方からレースに出たり長距離のサイクリングに出掛けたりする方まで様々な用途に使うことが可能です。地図機能があるのでトレイルランなどにも非常に使いやすそうです。
サイクルコンピューターはいずれ欲しいなとは思っていますが、ランニングでも使いたいので当面はどちらにも対応可能な「Forerunner 955」を使っていくつもりです。サイクルコンピューターは買うとしても次期モデルと噂される ” 840 ” や ” 540 ” が出てきてからですかね。