ロジクールから発売されている iPad用の着脱式キーボードケース「COMBO TOUCH(iK1176GRA)」を使ってみました。今回使用したのは第1世代~第3世代までの 11インチ iPad Pro に対応したモデルです。
直接的には Apple から発売されている「Magic Keyboard」の対抗馬となるでしょうか。同等の性能が 1万円ちょっと安く手に入ります。バックライト付きのキーボードだけでなくトラックパッドも備えており、快適に入力作業を行うことができるよう設計されています。もちろん 12.9インチ用のモデルも用意されており、そちらは「iK1275GRA」の型番で発売されています。
※ 本記事執筆にあたってロジクール様より製品をご提供頂いています。記事執筆に
あたっては公平を期すよう細心の注意を払っておりますが、ご留意頂いた上でお
読み下さいますようお願い申し上げます。
■ Apple純正の「Magic Keyboard」と比較してみる
まずは 11インチ iPad Pro 用の「COMBO TOUCH」を、同社の「FOLIO TOUCH」「SLIM FOLIO PRO」及び Apple純正品の「Magic Keyboard」と比較して違いを見てみることにします。
COMBO TOUCH (iK1176GRA) |
FOLIO TOUCH (iK1175BKA) |
SLIM FOLIO PRO (iK1174A) |
Magic Keyboard | |
---|---|---|---|---|
参考価格(税込) | ¥22,770 | ¥19,580 | ¥16,500 | ¥34,980 |
着脱可能なキーボード | ○ | ○ | ✕ | ✕ |
トラックパッド | ○ | ○ | ✕ | ○ |
画面角度調節 | ○ | ○ | ✕ | ○ |
キーボードバックライト | ○ | ○ | ○ | ○ |
Apple Pencil 充電 | ○ | ○ | ○ | ○ |
接続方式 | Smart Connector | Smart Connector | Bluetooth | Smart Connector |
電源 | iPad から直接供給 | iPad から直接供給 | 充電式バッテリー | iPad から直接供給 |
本体サイズ(mm) | 252x189.3x16.9 | 256x192x21 | 195x253x22.55 | 248x192x15 |
本体重量(g) | 574 | 646 | 552.42 | 594 |
※ 価格はメーカーHP 記載のもの
Apple純正の Magic Keyboard は、キーボード部分だけを取り外して使う事は出来ませんが、ヒンジ部の側面にパススルー充電が可能な USB Type-Cポートを搭載しており、iPad Pro に充電を行いなから本体の USB Type-Cポートに外部機器を接続して使う事が出来るそうです。
一方、Magic Keyboard は完全にフラットの状態にすることが出来ません。キーボード入力をせずにタブレットとして使う場合は Magic Keyboard を取外し、どこかに置いておく必要があります。ロジクールの COMBO TOUCH の場合は、一旦キーボード部分を取り外して裏返して付け直す必要はありますが、完全フラットな状態にすることも出来るようになっています。
■ iPad Pro と調和の取れたデザイン
それでは外観のチェックからしていくことにしましょう。まず外箱ですが、ほぼ iPad Pro のサイズとほぼ同じで作りも非常にしっかりとしています。右サイドにベロが付いており、それを引き出すとキーボードが目に入るように梱包されています。
付属品は特にありません。キーボード本体とケースの他には保証書とごく簡単な iPad への取り付け方が図解されている紙が入っているくらいです。
まずケース側ですが、外周はやや弾力性のある素材で覆われており、落としてしまったりした際に四隅が凹んだり画面にひび割れが走ったりし難いようになっています。カメラの部分には四角く繰り抜かれていて、11インチの第1世代から第3世代の iPad Pro に取り付けられるようになっています。
裏面は滑りにくいファブリック素材になっていて手触りは非常に良いです。ホールド感も上々で控えめなメーカーロゴも好印象。次世代の iPad Pro にも使えるかどうかは Apple のみぞ知るですね。Apple は時々ドラスティックにデザインを変更してくるのでどうなるかは全く予想できません。
キーボードのキー配列は、Apple純正の 11インチ iPad Pro用の Magic Keyboard とほぼ同じようです。最上部に独立したショートカットキー列があることと、COMBO TOUCH のトラックパッドの方がやや大きいことくらいでしょうか。キーボードの裏面もケース同様ファブリック素材が使われていて、置いてタイピングしている際に滑りにくくなっています。
ちなみに右は今まで使っていた Ztotop というメーカーの iPad Pro用ケース です。所謂「風呂蓋式」のケースで、蓋の方を畳んでスタンドにすることが出来るなどまずまずの使い勝手でしたが、表面素材が PUレザーだった事もあってもうボロボロになってしまっています。まあ価格が安かったですし、2年間 iPad Pro を守ってくれたのですから上々ですね。
「COMBO TOUCH」はバッテリーを搭載していません。キーボードの電源は iPad Pro 背面の Smart Connector から供給されます。
緑で囲った部分にも接続端子が備わっており、ここにキーボード部分がマグネットでくっついて給電される仕組みです。なので、ケースからキーボードを取り外した状態ではキー入力出来ません。
私の使っている 11インチ iPad Pro は 2018年に発売された第1世代なのでカメラ部分にレンズは 1つしか無いため、このように少しスペースが余っています。レンズ部分より 1mm 程ケースの方が分厚くなっているので置いたときにガタガタしたりすることはありません。
Apple Pencil のこともちゃんと考えられています。マグネットでくっつく部分が確保されており、充電にも全く支障ありません。持ち歩くにも非常にスマートです。
ケースの裏側はスタンドになっており、無段階に 120°程度まで開くことが出来るようになっています。ノートPC のように使ったり、キーボード部分を取り外してタブレットとして使い、見やすい角度に立てて映画鑑賞に使ったり、或いは目一杯スタンドを開いた状態にして Apple Pencil で絵を描いたりという使い方も可能です(若干ポワンポワンするので描きにくいという方も居るかも知れませんが)。
蓋をした状態での強度はかなりのものです。iPad Pro(2018)が発売された当初は鞄に入れて持ち歩いていて iPad が曲がってしまったなどという話をちょくちょく聞いたものですが、COMBO TOUCH を取り付けた状態ではそのような心配は不要でしょう。
■ COMBO TOUCH の設定
App Store に「Logicool Control 」という専用アプリが用意されているのですが、こちらのアプリで行えるのはファームウェアの更新のみのようです。
COMBO TOUCH の設定は iPad の「設定」から行うことになります。「設定」から「一般」に入り、「キーボード」の「ハードウェアキーボード」または「トラックパッド」から COMBO TOUCH の挙動を変更できるようになっています(「ハードウェアキーボード」と「トラックパッド」の項目は COMBO TOUCH を接続していないと表示されません)。
個人的には「ハードウェアキーボード」のところの「ライブ変換」は OFF にしておいた方が使いやすいのではないかと思います。「ライブ変換」は、文字入力中にどんどん推測変換してくれる機能なのですが、ブログを書くときなんかでは途中で htmlコードを書こうとしているのに余計な変換をされてしまうことがあるようなのですよね。ただまあ小説を書いたりレポートを書いたりする際には便利な場面もあるのかなとは思います。
トラックパッドの方は、「タップでクリック」を ON にしておくと普通に iPad を操作する際にシングルタップでアプリを起動したりする操作ができるようになるので使いやすそうです。
■ トラックパッドの操作について
普段の iPad の操作感とちょっと変わってくるので、使いはじめはかなり戸惑いました。ですが、使い慣れてくるとこれはいいですね。指1本でトラックパッドをなぞっているだけでは画面上のポインターが移動するだけでマウスカーソル的な操作しか出来ませんが、指2本や 3本でのスワイプで様々な操作が出来ることが分かってからは俄然使いやすくなりました。
普段 Mac を使っている人にとっては普通のことなのかも知れませんが、Windows使いにはこれはちょっと調べないと分かりませんわ。若干の違いはあるようですが、下の Apple のユーザーガイドページを見ておけばだいたい分かるかと思います。
タイピングをしているとたまに手の平がトラックパッドに触れるのか、意図しないところにカーソルが動いてしまうことがあるようです。ここは Apple Pencil を使う時のように「パームリジェクション」が欲しいなと思いました。なんとか機能追加とかしてくれないですかね・・・。
■ COMBO TOUCH を選ぶメリット
キーボード操作中は右の様にバックライトが点灯する(輝度調節可能)ので、暗い場所でもタイピングする事が可能です。多少パチパチと音はしますが、打鍵音も静かなのでカフェなどで使っても迷惑にはならないでしょう。トラックパッドは感度も良く広々としていて使いやすいと思います。Apple から発売されている純正の iPad Pro用 Magic Keyboard よりも面積が広いので、こちらの方が操作はしやすいのではないでしょうか。
Apple純正品にない利点として、iPad の四隅もしっかり保護されるケースとしての機能と、COMBO TOUCH の無段階で角度を調節することにできるキックスタンド、そして何より純正品より 1万円ほど安く手に入るという点がありますね。重量も COMBO TOUCH の方が若干軽いようです。
■ COMBO TOUCH のデメリット
これは完全に慣れの問題ですが、Windows と Mac(iOS)ではキー配列がやや異なります。特に私の場合、「delete」キーが無いことにまず戸惑いました。これは「control + d」キーを押せば代わりになるのですが、このことは調べてみるまで分かりませんでした。まあずっと Mac を使っていた人には当たり前のことなのかも知れませんが・・・。普段 Windows しか使っていない方は、下記の Apple の記事に目を通しておくと良いと思います。
また、Apple 純正の iPad用 Magic Keyboard も同じですが、一部のキーの幅が半分になっていて若干打ちにくさを感じることがあります。特に「Enter」キーと「ー」キーはもう少し大きいと使いやすかったかなと思います。「ー」キーはよくタイプミスをするのですよね・・・。
最大のデメリットはやはり重量の増加でしょう。2018年モデルの 11インチ iPad Pro の場合、本体の重量は 468g です。これに COMBO TOUCH のケース部分を取り付けると 740g に、キーボード部分も取り付けると 1,060g 程になってしまい、市販のノートPC と大差ない重量になってしまいます。
■ 重量増さえ受け入れられれば素晴らしい使い心地
つまるところ、上記の重量増加を受け入れることが出来るかどうかだと思います。Bluetooth接続のキーボードを別に持ち歩く必要はありませんし、キーボードの電源は iPad Pro から供給されるのでバッテリーを気にすることもありません。保護ケースとしての機能も十二分に果たしてくれます。
実際に今回の記事作成に於いて、画像の取扱いと表作成や html の挿入以外(テンプレを作っているので PC で作業した方が楽だっただけです)は COMBO TOUCH を使って行ってみましたが、トラックパッドの挙動にもすぐに慣れましたし、ブログ記事の作成などにも充分使っていけることが分かりました。これなら旅行や出張先などに持っていくと便利そうですね(重いけど・・・)。
Apple純正の iPad Pro用 Magic Keyboard と違ってスタンドを使う際に若干後ろにスタンドが開く分のスペースが必要になりますが、Magic Keyboard で出来て COMBO TOUCH に出来ない事は無いと思われます。差額で浮いた予算を他に回す事もできるので、iPad Pro用のキーボードを探している方は COMBO TOUCH の購入を検討するに値すると思いますよ。