先日購入した SONY の新作 APS-C ミラーレス一眼カメラこと「α6700」ですが、非常に多機能なカメラなだけのことはあって設定項目も多岐にわたります。何処をどう設定すれば自分にとって使いやすいカメラになるのか、どこから手を付けていいか分からないという方も居られるのではないかと思うので、個人的な整理と確認も兼ねて少し書き出しておきたいと思います。
ただ、私は動画撮影をほとんどしませんので、こちらの記事では写真撮影に関する設定のみとなります。より使いやすい設定を見つけるための一助となれましたなら幸いです。
■ メモリーカードのフォーマットについて
α6700 では UHS -Ⅰ/Ⅱ 規格に対応した SD / SDHC / SDXCカードを使用することが可能です。また、カードサイズの変換アダプタを使えば microSDカードの使用も可能です。メモリーカードは高速な規格に対応したものを使えばそれだけ読み書きの時間が短縮され、高画質での映像記録や連続撮影に有利になりますが当然ながら価格も比例しますので、用途に合ったものを選択すると良いでしょう。
現在販売されている SDカードは購入時点で「exFat」でフォーマットされているものがほとんどだと思います。そのままカメラに挿して使用することが出来ますが、最適化などもされるようなので、最初にカメラの方で「フルフォーマット」を掛けておくのが良いでしょう。
SDカードのフォーマットは、「Menu」ボタンから「撮影」→「メディア」と進み、「フォーマット」から行うことが可能です。フォーマットによって全てのデータが消去される点と、フォーマット中にカードを抜いたり電源を切ったりしないようご注意下さい。
フルフォーマットでは時間が掛かるような事が書かれていますが、128GB の UHS-Ⅰ対応カードでもほんの数十秒程度で完了しました。最初の 1回くらいはフルフォーマットしておいてもよいかと。フォーマット直後の撮影可能枚数(RAW + JPEG Extra Fine 記録)と撮影可能時間(XAVC S HD)は右の通りです。
■ α 6700 のセッティング
それでは α 6700 の設定を行って行きたいと思います。まずは画質と記録に関する設定から。
JPEG / HEIF 切替(MENU → 撮影 → 画質/記録)
JPEG 形式は画像ファイルの保存形式としてお馴染みでしょう。画像の記録方式として非常にメジャーな規格です。「HEIF」は「High Efficiency Image File Format」を略したもので、「高効率画像ファイルフォーマット」の意です。圧縮効率に優れているので高画質を保ったまま小さいファイル容量で記録することが可能で、iPhone の標準記録方式にも採用されているのですが、Windows の PC で扱えるソフトが少ないのが難点です。Mac ユーザーの方なら「HEIF」が使いやすいかも。ファイル形式(静止画)(MENU → 撮影 → 画質/記録)
「RAW」は現像前の生データが記録される方式です。「JPEG」「HEIF」は α6700 が現像したデータが記録されます。「RAW」のデータを扱うには「Imaging Edge Desktop」のようなソフトウェアが別途必要になります。Windows PC で写真データを扱う際にお薦めなのは融通の効く「RAW+JPEG」での記録。上の写真でも上げていますが、128GB の SDカードを使った場合、RAW + JPEG(Extra Fine、Lサイズ)で記録しても 2,000枚以上の画像データを記録しておけます。RAW 記録方式(MENU → 撮影 → 画質/記録)
可逆圧縮方式の「ロスレス圧縮」を選べば画質劣化を伴うこと無くファイルサイズを小さくすることが出来ますが、「圧縮 RAW」に比べてファイルサイズがやや大きくなり処理も重くなるようです。目安としては「圧縮 RAW」が 28MB 程度、「ロスレス圧縮 RAW」が 37MB 程度、JPEG(Extra Fine、Lサイズ)が 18MB 程度といったところでしょうか。
また、連続撮影可能枚数は「圧縮RAW+JPEG」で 44枚に対し、「ロスレス圧縮RAW+JPEG」では 18枚とかなり少なくなります。私は「圧縮RAW+JPEG」の組合せで使う事にしました。RAW画像の現像については SONY純正の「Imaging Edge」の他に Adobe 製ソフトも対応したようですね。
8月下旬の時点で SILKYPIX は未だ対応待ち。→ SILKYPIX も対応しました。JPEG 画質と画像サイズ、アスペクト比(MENU → 撮影 → 画質/記録)
JPEG の画質は「エクストラファイン」「ファイン」「スタンダード」「ライト」の順に圧縮率が高くなり、データサイズは小さくなる反面画質の劣化も進みます。画像サイズについては、Lサイズが約 2600万画素、Mサイズで約 1300万画素、Sサイズが約 640万画素となります。後にトリミングなどし易いよう、画質は「エクストラファイン」、画像サイズは「Lサイズ」で記録しておくことをお薦めします。アスペクト比は 3:2 のままで良いでしょう。35mm判フィルムと同じ横縦比で記録されます。ちなみに RAW画像は常に 3:2 で記録されます。長秒時ノイズ低減 / 高感度ノイズ低減(MENU → 撮影 → 画質/記録)
「長秒時ノイズ低減」は、長時間露光時に目立つ粒状ノイズを軽減するための処理です。画質は向上しますが、ノイズ軽減処理が行われている間は撮影出来なくなりますので、花火などの撮影時には OFF にするのが一般的なようです。通常時は ON のままで構いません。
「高感度ノイズ低減」は、ISO感度を上げて撮影した際に行うノイズ軽減処理の程度を設定するものです。通常は「標準」のままでよいかと。色空間(MENU → 撮影 → 画質/記録)
色空間は「sRGB」「AdobeRGB」から選択可能ですが、「AdobeRGB」を扱うにはディスプレイやプリンター、ソフトウェアなど対応する環境を整える必要があります。印刷所にデータを渡す場合などを除いては一般的には「sRGB」のままで良いでしょう。レンズ補正(MENU → 撮影 → 画質/記録)
レンズ補正は「周辺光量補正(画面四隅が暗くなるのを補正)」「倍率収差補正(画面周辺部の色ずれを補正)」「歪曲収差補正(画面の歪みを補正)」の設定を変更することが出来ます。こちらは基本的に「オート」のままで良いでしょう。
ファイルとフォルダーの設定(MENU → 撮影 → ファイル → ファイル/フォルダー設定)
α6700 の初期状態では、撮影されたデータは ” DSC0xxxx ” という連番のファイル名が付けられて保存されます。この ” DSC ” の部分はソニーのデジカメやスマホなどで一般的に用いられているようで、他の機種を持っていたりするとファイル名が被ってややこしくなる恐れがあります(ちなみにニコンは ” DSC_xxxx ”、キヤノンは ” IMG_xxxx ”)。
幸い α6700 では ” DSC ” の部分を任意の文字列に変更する事が出来るので、区別し易いよう ” A67 ” に変更しておくことにしました。これで PC に撮影データを取り込んだ際に他のデータを上書きしてしまったりする心配も無くなります。
また、「フォルダー形式」も「標準形式」から「日付形式」に変更しました。撮影した日付毎にメモリーカード内でフォルダーが分けられて保存されるので、PC にデータを取り込んだりする際に多少は管理が楽になるかと思います。グリッドラインの表示(MENU → 撮影 → 撮影画面表示)
構図合わせのための補助線である ” グリッドライン ” をファインダーと液晶画面に表示させることが可能です。「3分割」「方眼」「対角 + 方眼」から選ぶ事が出来るのでお好きなものをどうぞ。ライブビュー表示設定(MENU → 撮影 → 撮影画面表示)
ライブビュー表示を設定しておくと、モニターの画面上に露出補正やホワイトバランス、クリエイティブルックなどの効果を反映させて撮影結果に近い状態を確認することが可能です。
AF-S / AF-C 時の優先設定(MENU → フォーカス → AF/MF)
AF-S(シングル AF)と AF-C(コンティニュアス AF)時の優先設定は、共にピントが合っていないとシャッターを切ることの出来ない「フォーカス優先」にしています。スポーツなどの連写撮影時にとにかくタイミングを重視したい場合などでは「レリーズ優先」を利用すると良いでしょう。
ただ、α6700 では AIプロセッシングユニットが強力なので、「バランス重視」の設定の方が良いかも知れません。この辺りは今後様子を見ながら判断していきたいと思います。AF 被写体追従感度(MENU → フォーカス → AF/MF)
静止画の撮影時に被写体がフォーカスエリアから外れた際のオートフォーカスの追従感度を選択することが可能です。5(敏感)~ 1(粘る)の間で設定が可能で、例えば雑踏の中で 1人の人物を追い続けたい様な場合には「1(粘る)」が適しているのだそう。AF 補助光(MENU → フォーカス → AF/MF)
暗所でフォーカスを合わせやすくするための補助光ですが、フラッシュ禁止の場所でうっかり発光させてしまって白い目が・・・みたいなこともあるそうです。また、水族館や動物園で強い光を浴びせるのは良くないですし、夜景撮影時には無意味な発光となるなど、暗いところで人物や物を撮影する時以外は OFF にしておいた方がよさそうです。フルタイム DMF(MENU → フォーカス → AF/MF)
フルタイム DMF(Direct Manual Focus)を有効にしておくと、カメラやレンズがオートフォーカスで駆動していてもレンズのフォーカスリングを回すだけでいつでもマニュアルフォーカスモードに切り替える事が可能です。
- MF 時自動ピント拡大(MENU → フォーカス → AF/MF)
マニュアルフォーカス時に自動で対象部分を自動拡大表示してピント合わせをし易くしてくれる機能です。設定された「ピント拡大時間」を経過すると自動的に元の表示に戻るので、非常に便利な機能です。まあ構図を決めたりしていてうっかりフォーカスリングを動かしてしまい、意図せずピントが拡大されてしまうこともありますが・・・。
Wi-Fi 接続設定(MENU → ネットワーク → Wi-Fi)
カメラの初期セットアップ時にスマホの「Creators' App」を使用していれば Wi-Fi の設定情報が登録済みかと思います。未登録の場合はここで登録しておくとよいでしょう。但し、” アクセスポイント簡単登録 ” はルーターに ” WPS ボタン ” がある場合のみ利用可能です。無い場合は手動登録する必要がありますのでご注意下さい。
現状、α 6700 の Wi-Fi 機能を利用して出来る事は、PC からカメラを操作する「PC リモート機能」や、スマホの「Creators' App」からカメラを操作したリモート撮影を行ったりスマホに画像を転送したりすることくらいです。α 6700 には ” FTP 転送機能 ” が実装されていないので、残念ながら Wi-Fi 経由で撮影データを PC に取り込むことは出来ません。こちらは今後是非ファームウェアアップデートなどで利用出来るようにして頂きたいところです(不可能では無いはず)。Bluetooth 接続設定(MENU → ネットワーク → Bluetooth)
Bluetooth 接続でスマホのほか、シューティンググリップ(GP-VPT2BT)をペアリングしてリモートコマンダーとして使用することも可能です。バルブ撮影時なんかにも便利ですよ。
タッチ操作(MENU → セットアップ)
α 6600 / 6400 とは違い、α 6700 のタッチパネルは随分使いやすくなりました。ファインダ撮影時にもタッチパッドとして使用することが出来るようになっているので、必要に応じて設定するとよいでしょう。ファインダー / モニターの設定(MENU → セットアップ → ファインダー/モニター)
モニターの明るさは「マニュアル(-2 ~ +2 の範囲)」と「屋外晴天」を設定することが可能です。「屋外晴天」は相当明るくなるので、使用するのであれば「マイメニュー」に登録して設定を変更しやすいようにしておいた方がよいでしょう。ファインダー表示画質とフレームレート(MENU → セットアップ → ファインダー/モニター)
ファインダーフレームレートを ” 高速 ” に設定すれば動きの速い被写体を撮影する時に便利ですが、ファインダーの表示画質とフレームレートはトレードオフの関係にあります。取りあえず私は画質優先で設定。但し、高画質に設定するとバッテリーの消費は多くなるそうです。
■ 「マイメニュー」のカスタマイズについて
α 6700 の設定メニューは深い場所にあるものもあるので、よく使う機能は「 マイメニュー」に登録しておくと便利です。「マイメニュー」は 2つページが用意されているのは使いやすいですね。設定したい「マイメニュー」を選んで任意の項目を追加したり並べ替えたりすることが出来ます。
私の場合、” 超解像ズーム ” を使用する際に変更が必要になるファイル形式の設定(超解像ズーム使用時は RAW撮影出来ない)やズーム範囲の設定、三脚を使った夜景撮影時などに邪魔になりがちな「長秒時ノイズ低減」や「手ブレ補正」の項目などを入れています。ここはまだまだ試行錯誤が続くでしょう。
また、「マインメニュー設定」の「マイメニューから表示」を「入」にしておくと、カメラの MENUボタンを押した際にマイメニューに設定した項目から表示するようになります。
■ 操作ボタン / ダイヤルのカスタマイズについて
α 6700 ではカスタムキー(C1、C2ボタン)や 3箇所のダイヤルによく使う機能を割り当てることが出来るようになっています。ここは是非使いやすいように設定しておきたいところ。
MENUボタンを押下し、「セットアップ」→「操作カスタマイズ」から「カスタムキー / ダイヤル設定」へ進んで下さい。私の場合は、マニュアル操作時には「前ダイヤル:露出補正」「後ダイヤル:絞り」「背面ダイヤル:シャッタースピード」を、他のモードでは「前ダイヤル:露出補正」「後ダイヤル:絞り」を割り当て、C2 ボタンに「フォーカスモード」を設定しました。C1 ボタンは使いにくいので「ホワイトバランス」のままです。
ここもまだまだ試行錯誤が続くかと思います。とりあえず写真撮影に関する設定はこんなところでしょうかね。動画の方は今後もし撮影するようになるなら考えてみたいと思います(笑)。