「Jabra」から発売されている「Elite 4 Active」という完全ワイヤレスイヤホン(TWS:True Wireless Stereo)をしばらく使ってみましたのでレビューしておくことにします。「Jabra」はデンマークのコペンハーゲンに本社を置く「GN オーディオ」のオーディオブランドです。元々は米国の携帯電話向けハンズフリー機器メーカーだったようですが、2000年に買収されて今に至るようです。
「Elite 4 Active」は実売で 1万円台前半と、比較的手にしやすい価格帯ながら「ANC(アクティブノイズキャンセリング)」機能を搭載し、IP57 にも準拠したイヤホンです。「ANC」機能を搭載したイヤホンを使うのは SOUNDPEATS の「CAPSULE3 PRO」という製品に次いで 2製品目となりますので、そちらとの違いも踏まえて評価していきたいと思います。
■ まずは「Jabra Elite 4 Active」の仕様を確認!
「Jabra Elite 4 Active」からは姉妹品としてより上位の「Jabra Elite 7 Active」という製品も発売されていますので、まずは両者の仕様上の違いから見比べていくことにしましょう。
Jabra Elite 4 Active | Jabra Elite 7 Active | |
---|---|---|
参考価格 | ¥14,850 | ¥27,280 |
型式 | カナル(密閉)型(6 mm ドライバー搭載) | |
再生周波数帯域 | 20 Hz ~ 20 kHz(通話モードでは 80 Hz ~ 8 kHz) | |
ノイズキャンセラ | 搭載(Active Noise Cancelling 方式、外音取り込み機能あり) | |
接続方式 | Bluetooth 5.2 | |
対応コーデック | SBC、aptX | SBC、AAC |
連続再生時間 | 最大 7時間 | 最大 8時間 |
マルチポイント接続 | ✕ | ○ |
音声アシスタント | Amazon Alexa、Siri、Google Assistant | |
防水等級 | IP 57(防水、防塵、耐汗) | |
サイズ | 本体:20.85x20.49x27.3 mm 充電ケース:28.4x38.9x64 mm |
本体:19.5x16.3x18 mm 充電ケース:40.3x25.3x69.6 mm |
重量 | イヤーパッド:5 g(片耳) 充電ケース:37.5 g |
イヤーパッド:5.5 g(片耳) 充電ケース:44 g |
備考 | ー | ワイヤレス充電対応(充電器別売) |
対応コーディックの違いから、どちらかと言えば「Jabra Elite 4 Active」は Androidスマホ向き、「Jabra Elite 7 Active」は iPhone 向きと言えそうですね。いずれの機種でも動作範囲は 10m です。
基本仕様に大きな違いは無さそうですが、「Jabra Elite 7 Active」の方はワイヤレス充電に対応していたりバッテリー持続時間が少し長くなっていたりとやや差別化されているようです。イヤホン本体の塗装もゴージャスになっていたり「Jabra シェークグリップ」という表面コーティングでより落ちにくくなったりしているようですが、音質の差については実際に聴き比べてみないと分かりませんね・・・。
■ 「Jabra Elite 4 Active」の外観をチェック!
それでは「Jabra Elite 4 Active」とご対面!
付属品は USB Type-A to C ケーブルと交換用のイヤーピースが本体装着済みのものを含めて 3セット。保証規定と使用上の注意事項が書かれた多国語版の冊子が入っていますが、マニュアルは同梱されていません。イラストで簡単な使い方の書かれた紙は入っていますが、これで理解しろというのはちょっと酷でしょう。Web からダウンロードしておいた方がよいかと思います。
充電ケースは手の平に楽に収まる大きさです。充電ポートは USB Type-C。分かりにくいですが、ケース正面の Jabraロゴの下にバッテリーステータスを示す LEDインジケーターがあります。急速充電にも対応していて、10分間の充電で最長 60分使用可能とのこと。
TWS も出始めの頃は充電端子との接触具合が微妙で上手く充電出来ないものがちょくちょくありましたが、さすがに今の製品でそういうことは少なくなりましたね。本製品のマグネットもしっかりしているので充電不良が起こる可能性は低いでしょう。
「Jabra Elite 4 Active」はタッチセンサー式ではなく、Jabraロゴの部分がクリック感のある操作ボタンになっています。操作ミスが減るので個人的にはこちらの方が圧倒的に好み。
公称値で充電ケースが 37.5g、イヤホン本体が片側 5g とのことなので、概ね仕様通りと言ってよいでしょう。フィット感は上々で遮音性も高そうなので電車やバスでの使用にも向いていそうです。
■ 「Jabra Elite 4 Active」のペアリング方法
「Jabra Elite 4 Active」は充電ケースからイヤホンを出し入れすることで電源のオン・オフが可能です。再生デバイスとのペアリング方法については以下の通り。
1. 充電ケースからイヤホンを取り出す(電源オン)。
2. イヤホンの左右のボタンを 3秒以上長押しする。
3. LED が青色で点滅し始めればペアリングの準備完了。
4. 機器側の Bluetooth 設定画面から「Jabra Elite 4 Active」を選択
まずは iPhone とペアリングしてみます。「デバイスタイプ」は一応「ヘッドホン」を選択しておきました(効果があるのかどうかいまいちよく分かりませんが)。
以下は Androidスマホとペアリングさせてみた様子です(Android 9 と古い機種ですが・・・)。開発者向けオプションから確認してみたところ、確かに「Qualcomm aptX オーディオ」で接続されていました。やはり「Jabra Elite 4 Active」の性能をフルに発揮させたければ Androidスマホと組み合わせる方がいいのでしょうね。
それにしても Android の最新バージョンは既に「13」に到達。もうしばらくすると「14」に対応したスマホが出てきそうですね。そろそろ検証用の Androidスマホももうちょっと新しいものに換えたいところではあります。iOS はサポート期間が長いのですけどね・・・。
「Jabra Elite 4 Active」の音楽再生機能の基本的な操作方法は次の通りです。
操作方法 | 左イヤホン | 右イヤホン |
1回押し | ANC / ヒアスルーモード切替 | 再生 / 一時停止 |
1回長押し | 音量ダウン | 音量アップ |
2回押し | 音声アシスタント起動 | 次の曲へ |
3回押し | ー | 曲目の再開 / 前の曲へ |
以下は通話機能のコントロール方法。
操作方法 | 左イヤホン | 右イヤホン |
1回押し | 通話への応答(通話中に押すとマイクミュート / 解除) | |
1回長押し | 音量ダウン | 音量アップ |
2回押し | 通話終了 / 拒否 |
他にも Androidスマホとの組合せで Spotify のワンタッチ再生を可能にしたり片耳モードでの操作方法だったりと色々ありますが、ここでは割愛させて頂きますので詳しくは操作マニュアルをご覧下さい。通話中に別の着信通話を拒否する操作などもできるようですが、あまりイヤホンに複雑な操作をさせるのはどうなんでしょう。操作方法を覚えるのが大変なだけがしますが・・・。
■ 「Jabra Sound+」アプリ
「Jabra Elite 4 Active」を使う上で必須という程ではありませんが、「Jabra Sound+」というアプリを使えばノイズキャンセリングモードの切り替えだけでなく外音取り込み機能の調整や、イコライザーの調整、プリセットモードの変更、ファームウェアの更新などが行えるようになります。
アプリとのペアリングを済ませるとすぐにファームウェアアップデートの通知がありました。5分くらいかかるようですが、イヤホンの LED がマゼンタで点滅している間は「Jabra Elite 4 Active」を使用することが出来ません。2023年6月時点の最新版ファームウェアは「2.2.6」のようです。
上記は iPhone のアプリ画面ですが、「Amazon Alexa」による音声アシスタントや「Spotify Tap」など「Jabra Elite 4 Active」と Androidスマホの組合せでしか利用することの出来ない機能もあるようです。
■ 「Jabra Elite 4 Active」のリセット方法
「Jabra Elite 4 Active」をファクトリーリセットする手順は以下の通り。
- 両方のイヤホンを充電ケースに戻す
- イヤホンの LED がマゼンタに点滅するまで両側のイヤホンのボタンを約 10秒間押し続ける
- LED の点滅が消えたらリセット完了
- 接続していた携帯機器側の Bluetoothメニューからもペアリングを削除/解除しておくこと
■ 音質は上々!通勤・通学にはかなり良いのでは?
iPhone との組合せでは「SBC」コーデックで接続されるため音質面で不利になるかと思いましたが、なかなかどうして、自然な感じで低音もよく出ています。ノイズキャンセラは劇的に効くというわけではありませんが、もともとの遮音性が高いようなので音楽により集中出来るでしょう。外音取り込みが可能な「ヒアスルー」モードでは無音時や低音量時の「サー」というヒスノイズがやや気になります。
遅延はややあるようです。さすがに ” 音ゲー ” のようなタイミングにシビアなゲームに使うのは厳しいでしょう。とは言え、映画を観たりする分には問題は無いかと思います。耳から外すと音楽再生が停止するような気の利いた機能はありませんが、価格を考えるとかなり優秀なイヤホンではないかと思います。
「ワークアウトにも最適」との触れ込みですが、Beats by Dr.Dre の「Powerbeats Pro」を普段のランニングに使っている身からすると万全とは言い難いですかね・・・。確かに「Jabra Elite 4 Active」はフィット感が良く、少々激しい運動をしたところで外れにくいとは思いますが、やはり「耳掛式」には敵いません。ウォーキングレベルならともかく、屋外でのランニングにも使うのであれば少なくともより滑りにくい表面コーティングが施された「Jabra Elite 7 Active」の方が向いているでしょう。
現在手持ちの「Powerbeats Pro」や「LinkBuds」はやや音漏れが気になるのであまり電車やバスの車内では使わないようにしているのですが、その点「Jabra Elite 4 Active」は遮音性が高いようなので安心して使っていくことが出来そうです。私の正直な感想としては、ワークアウトにも使う事はできるが「普段の生活にこそ最適」といった印象を受けました。「IP57」の防塵・防水性が確保されているので、使用後に気を使わず水洗いして清潔に保っておける点は Good!ですね。