こちらの記事は、2021年3月時点の情報に基づいて記述したものです。料金体系やサービス内容に変更が生じていることがありますので、最新の情報は各サービス会社にて確認して頂きますようお願い申し上げます。
最後まで渋っていた au(KDDI)がようやく「povo」という廉価な料金プランを発表し、MNO 4社の料金プランが出揃いました。ということで、それぞれのプランの特徴を整理しておきたいと思います。
各社のプラン共に、以前の料金プランでよく見受けられた、複雑なオプションが用意されていたり、契約後しばらくしてキャンペーン期間が終了したら料金が上がってしまうといった事も無く、以前に比べて随分シンプルで分かりやすいものになっていると思います。
サービス名 | ahamo | povo | LINEMO | Rakuten UN-LIMIT VI |
---|---|---|---|---|
事業者 | NTT DoCoMo | au | Softbank | Rakuten |
基本料金 (税込) |
2,970円 | 2,728円 | 2,728円 | 0円~3,278円 (4段階で自動切替) |
データ容量 | 20GB | 20GB | 20GB | 無制限 (自社回線エリア内) |
データ容量超過時 通信速度制限 |
最大 1Mbps | 最大 1Mbps | 最大 1Mbps | ローミングエリア内のみ 5GB/月の制限 (超過後最大 1Mbps) |
追加データ容量 (税抜) |
550円 / 1GB | 550円 / 1GB | 550円 / 1GB | (ローミングエリア内のみ 550円 / 1GB) |
5G 利用 | 〇 | 今夏予定 | 〇 | 〇 |
テザリング | 無料 | 無料 | 無料 | 無料 |
国内通話料金 (税込) |
5分以内無料 (経過後 22円/30秒) |
22円/30秒 (音声通話分離) |
22円/30秒 (音声通話分離) |
「Rakuten Link」 利用で無料 |
留守番電話サービス | ✕ | ✕ | ✕ | 〇 |
キャリアメール | 現状利用不可 | ✕ | ✕ | 2021年夏頃予定 |
eSIM 対応 | 検討中 | 対応予定 | 〇 | 〇 |
契約・サポート | オンラインのみ | オンラインのみ | オンラインのみ | オンライン、実店舗 |
サービス開始 | 2021.3.26~ | 2021.3.23~ | 2021.3.17~ | 2021.4.1~ |
概ね上記の表のようになりますが、もう少し各社のプランをよく見てみましょう。
- 「ahamo(アハモ)」
画像:ahamo
大手 3社の中で先陣を切って発表されたドコモの低価格プラン「ahamo」は、国内最強レベルの通信網を使うことが出来ます。ネットワーク構築の優れた能力と体力を持ったドコモの 5Gネットワークを使える点も魅力的です。新規契約事務手数料、機種変更手数料、MNP転出手数料は無料です。契約期間の縛りや解約違約金も設定されていません。
海外での利用については、月間 20GB(または月に15日以内)の範囲内であれば世界 82カ国で国際ローミングが追加料金無しで利用可能というアドバンテージを持っています。短期の出張などがある方には非常にメリットがあるでしょう。
国内の通話料金については、1通話あたり 5分以内であれば何度電話を掛けても無料となり、月額 1,100円(税込)で国内通話が掛け放題となるオプションも用意されていますます。
契約にはdアカウントが必要です。20歳未満の方が利用する場合は親権者が契約を行った上で利用者として登録を行うことで可能となります。「ドコモ払い」も利用可能で、電話料金と合算して支払うこともできます。
注意点として、「ファミリー割引」や「みんなドコモ割」などの対象にはカウントされません。ドコモ光とのセット割引も効かなくなります。
⇒ ※ ahamo の利用者自身は対象外ですが、「ファミリー割引」は申込可能に、「みん
なドコモ割」は家族グループの回線としてカウントされることになったようです。
「ドコモ光セット割」についてもペアとして設定出来るようになっています。
(21.1.16)
キャリアメールである「@docomo.ne.jp」のメールアドレスは現状利用することが出来ません。今までドコモのメールアドレスを使用していた方がこちらのプランに乗り換える場合は、事前に別のアドレスを使うように変更しておく必要があります。但し、総務省が横槍を入れてきているので、今後の議論を踏まえて検討するとのことです。
申込とサポートはオンラインのみとなります。「スマホの操作が分からない」「プランの見直しをしてもらいたい」などの理由で実店舗に足を運んでも門前払いになると思われますので注意して下さい。サポートにかかるコストを削ったからこそ実現出来た料金プランと言う事でしょう。
対応端末のリストは「こちら」
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- 「povo(ポヴォ)」
画像:au
通話料金を分離する事で他社より見かけ上の料金を安くしています。「Rakuten UN-LIMIT VI」の発表を受けてプラン発表当時より更に価格を引き下げ、月額 2,728円(税込)としてきました。ドコモ、ソフトバンクと同じ「5分間通話かけ放題」をセットすると月額 3,278円(税込)となります。「トッピング制」を採用することで自分に合った料金プランを組むことが可能という触れ込みです。確かにほとんど通話をしない人にとってはメリットはありますね。
申込とサポートはオンラインのみとなります。こちらも実店舗や電話窓口でのサポートを期待することはできませんので注意して下さい。現在判明している「追加トッピング」は以下の通り。
・「データ使い放題 24時間」: 220円 / 24時間(速度制限がかかる可能性はあり)
・「データ追加 1GB」 : 550円 / 1GB
・「5分以内通話かけ放題」 : 550円 / 月
・「通話かけ放題」 : 1,650円 / 月
(税込価格)
テレワークやオンライン授業などで一時的に大容量のデータを使いたい時に残りの容量を気にせず使うことの出来る「データ使い放題 24時間」は悪く無さそうです。海外ローミングについては提供予定中とのこと。「au かんたん決済」による電話料金合算払いも利用可能です。
尚、povo の契約者は、au の「家族割プラス」の割引・カウント対象にはなりますが、「家族割」「auスマートバリュー」「スマートハート割引」については対象外となるそうです。家族で au のサービスを利用している場合は注意して下さい。au の契約期間を引き継ぐことはできません。
2021年3月3日現在、先行エントリーの受付が「こちら」で行われています。期間中のエントリーで au PAY 残高で 3,000円相当を受け取る事が出来るそうです。プランの詳細については「こちらのページ」で後日公開予定とのこと。
サブブランドの「UQ mobile」の方も 2月1日から新料金プランの「くりこしプラン」の受付が始まりました。こちらには通話料金は含まれていません(国内通話:22円/30秒、月額オプション有り)。余ったデータ容量は翌月以降に繰り越す事ができるので、普段通話も通信もあまりすることが無く、少しでも安く済ませたいという方には合ったプランなりそうです。
画像出典:UQ mobile
「LINEMO(ラインモ)」
画像:SoftBank
格安プラン発表当初は「SoftBank on LINE(仮)」となっていたサービス名称ですが、他社の動向を見ながらプラン内容にもいくつかの変更が行われ、「LINEMO(ラインモ)」という正式名称に決まったようです。サービス開始は 3月17日から。従来 iOS と Android で異なっていた物理SIM は共通化されることになったようです。
ソフトバンクの新プランの特徴は「LINEがギガフリー」というプログラムによって、LINEトークや LINE通話など LINE に関する通信が全てデータ容量カウント対象外となって使い放題(予定)となる点にあります。LINEアプリの使用頻度が高い方にとっては非常に魅力的なプランでしょう。
国内の通話料金については 30秒あたり 22円(税込)とし、au と同じく通話料金をオプションとして分離してきました。定額利用を希望する場合は以下のオプション契約が必要となります。
通話準定額オプション(1通話 5分以内) : 月額 550円(税込)
通話定額オプション(時間制限無し) : 月額 1,650円(税込)
上記通話オプション料金について、1年間オプション料金が契約から 1年間、税込 550円割り引かれるキャンペーンが行われることになったそうです。(3月17日から利用可能)
注意点として、ソフトバンク、ワイモバイル、LINEMO と、ブランドを跨いだ " 家族割 ” の対象からは外されるそうです。今まで割引を利用していた場合は、家族の一人が新サービスに移行することで割引サービスが効かなくなってしまう可能性がある点には要注意でしょう。キャリアメール・留守番電話も利用出来ません。また、Yahoo!プレミアム特典や、PayPay の還元率アップは対象外となります。
こちらもサポートはオンラインのみ(LINE でのサポートはある模様)です。ソフトバンクやワイモバイルのショップでは相談することはできません。手続きは LINEアプリとWebサイトから行えるようになるそうです。利用可能な端末のラインナップについては 3月上旬に発表とされています。
「Rakuten UN-LIMIT VI」
昨年 4月に正式サービスを開始したばかりの Rakuten UN-LIMIT ですが、9月末に「Rakuten UN-LIMIT V」と名称が変わり、5G のサービスも追加負担無しで利用出来るようになっています。(といっても 5G の使えるエリアは今のところ極僅かですが。)
2021年に入って 3大キャリアが価格競争に加わってきた事に対抗し、楽天も 4月1日付けで更に目を引く料金体系となる「Rakuten UN-LIMIT VI」を打ち出してきました。「Rakuten UN-LIMIT VI」については以下の記事でより詳しく紹介していますので、併せてご覧頂ければ幸いです。
3大キャリアと同じくオンライン上で全ての手続きとサポートが受けることができますが、楽天モバイルの場合は実店舗での相談・契約も可能です。ただ、オンラインチャットのサポートに関しては昨年秋の時点でレスポンスがかなり悪いので、何か問題が生じた場合は解決するまでかなり時間が掛かる印象です。
「Rakuten Link」経由での通話料金が無料となるので、電話を多く掛ける人にとっては非常に魅力的なプランと言えるでしょう。データ容量については自社回線エリア内では無制限となっていますが、実際のところ 1日辺り 10GB という制限がある(日を跨げばリセット)と噂されています。固定回線の代わりにしようと思っている方は気に留めておいて下さい。スマホやタブレットで普通に使う分には気にする必要は無いかと思います。
海外での利用については、月当たりのデータ容量 2GB までは追加負担無しに利用することができる他、楽天Link 経由での通話も無料です。楽天Link はモバイル回線が使えない状況下でも Wi-Fi経由で使える点は大きなメリットと言えます。契約事務手数料、契約解除料、MNP転出手数料、SIM再発行手数料などは無料になりました。
「楽天モバイルキャリア決済」というキャリア決済サービスがありますが、今のところ利用することができるのは Google Play ストアのみです。iPhone で利用する術はありません。とは言え、楽天Pay や PayPay、Apple Pay(iPhone の場合) などは当然使えますので特に問題になることは無いかと思います。
基地局開設のペースは決して悪くはないようです。昨年の 9月辺りから自社回線エリアの拡大速度がかなり上がってきたようで、私の自宅周辺もようやくエリア化されました。回線速度については今のところ申し分ありません。ただ、一方で KDDI とのローミング契約を前倒しで終了させるエリアも出てきているようで、いずれにせよ更なる基地局整備の加速とサポート体制の充実が課題でしょう。
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競争が起こってスマホ回線の料金が大きく下がったこと自体は消費者としては非常にありがたいのですが、個人的にはちょっと政府が介入しすぎではないかと思うのですよね。反って大手による寡占化が進んでしまいはしないか、今後 MVNO を提供している企業はどうなるのかといった点が気になる所です。