残念ながら少し前から EVGA 製の GeForce GTX 1080/1070 で負荷の高いベンチテストなどを行った場合などに VRM(電源部分)付近の異常過熱による焼損事故が話題になってしまっているようです。どうやら ACX3.0 クーラーの設計上の問題で VRM部にヒートシンクが接触しない構造になっている為に冷却が追いつかずに周辺へ悪影響を及ぼし、チップコンデンサなどが絶縁破壊による短絡を起こしてしまったりといった事が起こっているようです。
EVGA ではこの問題を検証した後、Bios のアップデートによるファン速度の制御と、希望者には追加で VRM 部に貼ってクーラーへの廃熱助けるサーマルパッドの無償配布という対応をすることに決めたようです。(サーマルパッドについては後述します。)
結論から言って今回の Bios アップデートは対象のカードを持っている場合は間違いなくやっておいた方がいいです。確かに負荷がかかると若干ファンの音が聞こえるようにはなりますが、アイドル時でも負荷のかかった状態でもどちらの場合も 8~10℃ 程 GPU-Z などで取得できる温度が下がりました。普通であれば Bios のアップデートには慎重になるべきですが、今回の場合は リスク < リターン だと思います。幸いうちの個体では今のところ問題は見られませんが温度は低い方が精神衛生上もよいので・・・。
こう書いておいてなんですが、くれぐれも Bios アップデートは自己責任でお願いします。アップデート作業中に停電になったりした場合に最悪メーカー送りになってしまう危険性はどうしても残ります。(今回の件に関しては EVGA は対応すると言っていますが。)
対象のビデオカードとアップデート方法は「こちらの EVGA フォーラム」に書かれています。
※ 追記 ※
更新用Biosファイルは「こちら」からも落とせるようになっていました。
書かれている内容はほぼ同じです。また、GTX 1060 用のBiosも追加されたようです。
一応 Bios アップデートの手順を日本語で書いておきます。
- 上記リンクのページから各々のカード専用の Bios をダウンロードする。モデル以外に品番も書かれているのでよく確かめて落とすこと。(対象外なら弾かれるだけだとは思いますが)
ちなみに GTX 1070 SC ACX 3.0 の品番は 08G-P4-6173-KR/KB となります。
※ FTW モデルの場合は Dual Bios となっているのでそれぞれ Primary / Secondary 用の
Biosを落としておき、カード上の 電源コネクタ横のディップスイッチを切り替えて個
別に入れるようです。 - Zip ファイルを適当な場所へ解凍する。
「窓の杜」からもダウンロード出来る Explzh などが便利です。 - 念のため他に動いているブラウザやメールソフトなどのプログラムを終了させた後解凍してできた「update.exe」をダブルクリックする。
- 下のような確認画面が表示されるので "Y" を押し、アップデート完了後 PC を再起動する。
アップデート自体はものの数秒で終わります。再起動は必ずしてください。Biosアップデート中の停電にだけはくれぐれもご注意を。
アップデート前の 86.04.1E.00.70 から 86.04.50.00.72 へ置き換わっています。また、今回の修正には以前に別途アップデートのあった Micron のメモリを採用した機種で起こる問題の修正も含まれているそうです。
Bios アップデートにより、アイドル時の GPU 温度が 61℃→53℃ へ下がり、ファンの回転数が150回転あたりから350回転あたりへ増えています。いずれにせよこれくらいの回転数ではほぼ無音です。
シングルモニタ環境ではもっと温度も下がり、50℃以下ではファンが停止(以前のBiosでは60℃以下で停止)するようです。
後述すると言っていた、サーマルパッドの請求は 「こちら」から可能です。(要ユーザー登録)
製品登録が済んでいればログイン後、住所などが表示されているはずなので確認して対象商品のチェックを入れ、 "SUBMIT" を押すだけです。私が 10/26 に申請したところ、11/4 に Awaiting Shipment(出荷準備中)となりました。Jacob 氏(EVGAプロダクトマネージャー/ @EVGA_JacobF )のツイートによると来週には出荷が始まるようです。
サーマルパッド取り付け用のマニュアルが既に公開されています。難しくはないと思いますがクーラー部分の分解が必要になるので取り付けるつもりの方は事前に目を通しておくとよいでしょう。
ただし旦分解しないと行けませんし、先に届いたとしても私はサーマルパッドの貼り付けは別途申請している PowerLink が届いてからにしようかと思っています。
最後に参考としてFF14ベンチ中の様子を貼っておきます。ただし両方とも Bios アップデートの適用後で、左が EVGA Precision XOC 未使用時、右が
使用時となっています。ファン制御を POXC に任せるとよりよく冷えるのは以前と変わりません。
(うちではTVチューナーカードと相性が悪いので必要なときだけ起動するようにしていますが。)
こちらもファン回転数は上がっているものの前は75℃くらいまでは行っていたと記憶してますのでよく冷えていると思います。アイドル時には PXOC 使用中で今の季節だと1500~1600rpm/35℃くらいまで下がります。(Biosアップデート前のSSは撮り忘れてしまいました。)
クーラー自体はやはりかなり優秀なのだと思います。最初から VRM部の温度監視や冷却がもっと考慮されていれば問題は起きなかったんでしょうがねえ。とはいえしっかりした検証と素早い対応はメーカーとして信頼出来ると思います。