今年のお盆の直前に一番利用頻度の高い TAMRON の 17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD(Model B070、以下 TAMRON 17-70 F2.8 と記載)のレンズフードが壊れてしまいました。がっちりはまり込んで外れなくなってしまったのですが、このままではカメラを仕舞えないのでやむなく力を込めて回してみたところバキッとバラバラに・・・。
部品のかみ合わせが外れただけかと思いましたが、どうやらフード側の爪のようなものが折れてしまったようです。外れなかった原因は劣化が原因なのか、レンズフードと鏡筒でカチッと固定される部分に使われているゴムパーツ(?)が外に出てきて噛み込んでしまっていたようでした。無くても撮影出来ないことはありませんが、太陽の影響でフレアやゴーストが発生する可能性もあるので、できればなんとかしておきたい・・・。
■ 上新電機の「まごころ長期修理保証」サービスとは?
TAMRON 17-70 F2.8 を購入したのは上新電機の楽天市場店。メーカーの保証期間は既に過ぎていますが、故障に備えて追加費用を支払って上新電機の「まごころ長期保証(5年)」にも加入していたことを思い出したので、購入書類を探してみたところ無事発見。
上新電機の「まごころ長期修理保証」は、商品の購入金額を上限として、メーカーで有償修理となった場合であっても期間内に繰り返して無料修理が可能(PC の場合は自己負担金あり)な制度です。水没や落下事故には対処出来ませんが、保証の権利を譲渡することもできるので人に贈り物にする場合などでも安心です。また、Joshin Web と実店舗での購入なら「ジョーシンクレジットカード」に加入していれば保証料掛金が 2% 減額されます(カード入会金・年会費は無料)。
このような店舗独自の延長保証サービスは、上新電機以外にもビックカメラやケーズデンキなど家電販売店の多くで独自に行われています。カメラ専門店ならマップカメラの「MAP 安心サービス」などもありますね。他にもヤマト運輸が行っている「クロネコ延長保証サービス」に加入出来る販売店もあります。修理費用が高くなりそうな製品に予め追加費用を支払って延長保証を付けておくのはアリですよね?
「上新電機 まごころ長期保証」については、以前に Marantz の AVアンプが故障した際にお世話になっており、レンズに何らかの不具合が発生していて修理が必要になったとしてもまあなんとかなるだろうと気楽に構えて安心していました。 TAMRON の修理規定ではレンズフードは保証の対象外となっていることは事前に調べて知っていましたが、ひょっとしたら上新電機の長期保証が適用できるかもと考え、一応修理に出す前に電話で上新電機のサポートセンターに確認してみました。電話では「レンズフードについては保証の対象となるかどうか出してみないと分からない」とのことでしたが、「レンズ一式で修理に出せば点検もしてもらえる」との事だったので、盆明けに最寄りの上新電機の店舗に持ち込んで修理をお願いして来ました。
■ 上新電機から見積もりの連絡が来たのだが・・・
盆明け直後ということもあって通常より修理・点検に掛かる時間が長くなることがなるかも知れないことは説明で聞いていましたが、それから 2週間全く音沙汰無し。修理・点検がどの段階まで進んでいるのか、そもそも着手しているのかどうかすら全く分かりません。
9月2日になってようやく上新電機から修理の件に関する連絡が。店舗では何かあったら携帯に連絡をくれと言っていたのですが、ショートメールか LINE で連絡すると言われ、そういうものかと思っていたところ、何故か固定電話の方に掛かってきました。
結果・・・保証対象外で修理見積もり 4.3万オーバー?!フードに関しては保証が効かないかも知れないなと思っていたので、そこに費用が発生するのは理解出来ますが、純正フードは買っても 4千円ちょっと(これも高すぎるとは思いますが)。ちょっと俄には金額を聞き間違えたかと思う値段です。
TAMRON では以下のページで修理費用の目安を公開しています。 それによると TAMRON 17-70 F2.8 の修理料金の目安は、
軽修理 | ラバー交換、外観汚れなど | ¥3,700 |
普通修理 | 解像不良、通信エラー、AF・VC動作不良など | ¥10.000 ~ ¥33,000 |
重修理 | レンズのカビ・ゴミ・クモリ、浸水、オーバーホールなど | ¥35,000 ~ ¥47,000 |
※ 2023年9月現在
とのこと。どうやら今回の私のケースでは点検の結果「重修理」に相当すると判断されてしまったようです。まさか出来るかどうか分からないレンズフードの修理を頼んだが為にこんなことになろうとは・・・。
それにしても実売 8.5万円程度のレンズの修理にこんなに掛かるのか・・・。この時は出掛ける直前に電話が掛かってきたことや、修理料金の見積もり金額に驚いたのですぐには判断出来ず、何点か質問を投げて数日後に掛け直してもらうことにしました。こちらから連絡する必要が生じた際の電話番号を聞いたところ、なんと ” 0570 ” のナビダイヤルに掛けてくれと・・・。まじっすか。
■ レンズ後玉に埃が入って分解修理が必要とな
4日後、改めて上新から電話が掛かってきました。まあこれは土日挟んだから仕方ありません。結果、どのような理由でレンズの分解修理が必要なのかがようやく分かりました。どうやら鏡筒内部に撮影に支障が出かねないレベルの埃の混入が認められたそうです。この結果、レンズユニットの分解清掃及びユニット交換などが必要になると・・・。ゴミ・埃でユニット交換?!
屋外でのレンズ交換時に埃が入ったりしないよう充分注意していたつもりですし、保管も防湿庫で行っていたんですけどね・・・。もちろん落下や水没などはさせていません。そう言われれば、7月頃に明るい場所で撮影した画像に変な影が映り込んでいたことがありました。その時はセンサーにゴミでも付いたかと、帰宅してからブロアーで掃除して済ませていたのですが、あれだったのか・・・。
その後そこまで画像に違和感を感じることは無かったためそのまま使い続けていたのですが、調べてみると後玉への埃やゴミの混入はかなり影響が大きく出やすいとのこと。今後何かしら悪い影響が出てくるかも知れませんし、聞いてしまった以上そのままにしとくわけにもいきませんわな。
とりあえず分解修理が必要になることは理解しましたが、わざわざ掛金を払って加入した上新電機の長期修理保証が効かず、有償修理になってしまう理由が納得出来ません。それに、どのみち有償修理になるのであれば、直接 TAMRON に依頼した方が登録ユーザー向けの「TAMRON BASE」による修理料金割引が効くので、ここで修理をキャンセルして返してもらった場合に費用の発生はあるのか聞いたところ、点検費用に関しては上新電機の「まごころ長期保証」でカバーされるため無料で済むとのこと。
ちなみに TAMRON に直接「有償点検サービス」を依頼した場合の技術料は 4,400円ですが、点検の結果何らかの不具合が発覚して修理に移行した場合は、点検費用は修理料金に含まれることになるそうです。
今回レンズの分解清掃を断ってフード交換のみ依頼した場合の見積もりは 17,050円になるそうですが、これにもびっくり。交換用のフードなんて純正品でも 4,200円位で買えるんですが・・・。” 見積書 ” をもらったわけではないので詳細は分かりませんが、このパターンを選ぶ事はあり得ないな・・・。
フード修理の件は取り下げ、レンズの分解修理だけ依頼した場合はどうなるのか聞いてみたところ、こちらは改めて TAMRON の方から見積もりを出してもわらないと分からないとのことで再び回答待ちに。
更に 2日後、以下の様な回答が上新より返ってきました。
フード修理の件は取り下げ、レンズの分解修理だけしてもらうことは可能か?
→ 可能。その場合の見積もりは 36,960円になる。納期は修理申し込みから 2~3週間。
その場合、やはり「まごころ長期保証」の対象とはならない。修理代金の支払い方法は?
→ 店舗にて返却の際に精算することになる。現金以外に店舗で取り扱い可能な各種クレ
ジットカード、電子マネーや QRコード決済などが利用可能。「まごころ長期保証」の対象となる線引きは一体どこにあるのか?
→ ” 自然故障 ” が該当。落下事故や水没事故は対象外(これは私も知っていた)。今回の
ようにレンズ内部への異物混入によって分解修理が必要になる様なケースが保証の対象
となるかどうかはメーカー保証の期間内に同様の修理が発生した場合にメーカー側でど
のように判断されるかに拠る。
いやあ、これは無いんじゃないの?「まごころ長期保証」の 修理規定 を確認してみましたが、消耗品の交換や「部品交換を伴わない点検・調整等の作業および機器本体の修理以外の作業」は対象外と書かれているものの、今回はレンズユニット交換まで必要とのことなのでこれには当たらないでしょう。他に保証の適用が弾かれる理由がよく分かりません。
一旦修理をキャンセルしてレンズを返却してもらい、TAMRON に直接修理を依頼することも考えましたが、この時点で上新に修理に出してから既に 3週間経っていました。ここから返却してもらって再度修理依頼を出すとなると更に同じくらいの時間が掛かりそうだったため、キャンセルは諦めてこのまま修理をお願いすることに。数千円は節約出来たかも知れませんが、いい加減早く返して欲しかったですし秋には使いたいですからね・・・。
■ レンズに上新電機の「まごころ長期保証」を付けるのは無意味かも
結局最初に修理を申し込んでから手元に戻ってくるまで 1ヶ月も掛かってしまいました。修理代金は見積もり通りの税込¥36,960。やはり残念ながら上新電機の「まごころ長期保証」は一切適用されませんでした。上新電機によると、長期修理保証の対象となるかどうかはメーカーの保証期間中に同じ修理が発生したとしてそれが無料保証の対象になるかどうかに準ずるそうです。こんなことどこにも書いてませんでしたよ?
ズームレンズの場合、特にインナーズームで無い場合は鏡筒がズーム動作によって伸び縮みする関係上、どうしても埃の侵入は完全には避けられないと聞いています。今回は撮影画像への影響が大きいとされる後玉への埃侵入とのことだったので分解修理をお願いしましたが、これが上新電機の長期保証の対象とならないとなると、果たしてこの「まごころ長期保証」に加入する意味はあるのか甚だ疑問です。
加えて、修理費用の内訳(技術料がいくらで、交換した部品が何なのか)が書かれた修理明細書のようなものを頂くことは出来ず、以下の文言が手書きで書かれていただけでした。
レンズ内ゴミ・埃を確認したので分解のうえ、不具合部品を交換し、各部点検・調整およびレンズ内清掃いたしました
結構な額の修理代金が掛かっているのにこれだけってどうなんですかね・・・。点検・調整・清掃はいいとしても、一体何を交換したのかさっぱり分かりません。
今回は TAMRON との間に上新電機を挟んでいるので、やり取りにいちいち時間が掛かったのは仕方ありませんが、TAMRON に直接修理に出した場合は、製品登録していれば修理料金の割引が受けられますし、少なくともやり取りの時間は短縮され、修理の進捗状況も Web で確認出来るようです。
余計な時間は掛かるし、修理が「まごころ長期保証」の対象となるかどうかも曖昧だしで、今回の一件でカメラのレンズに上新電機の長期保証を付ける意味は無いかも知れないなと考えさせられました。もちろん無料修理で済む場合もあるのでしょうがね・・・。
レンズフードの方はこちらで調達することにします。純正品を買ったとしても 4千円ちょっとなのに、フード修理(交換?)の有無で修理代金が 6千円以上変わってくるのも理解出来ませんからね・・・。まあ非常に痛い出費にはなってしまいましたが、何はともあれ、秋の行楽シーズンにはなんとか間に合って良かったです・・・。
今回は落下や水没が原因の修理ではありませんが、カメラやレンズの修理代は高額になりがちなので、万一に備えて携行品損害保険のようなものへの加入も検討しておいた方がいいのかも知れませんね・・・。先日買い換えた SONY の α6700 についてはソニーストアのワイド保証を付けているので、取りあえず 3年間は安心ですが。