カメラ機材やチェアリング用の椅子、目的地で食べる食糧やドリンク類、しっかりした鍵など、TREK のグラベルロード「Checkpoint」に乗って出掛ける際の荷物がだんだん増えて来ました。こうなってくると気になるのが荷物の重量バランスです。これまでは車両後部のリアキャリアに取り付けるパニアバッグやトランクバッグに重い荷物も全て入れるようにしていたのですが、この状態だと登坂時に後ろから引っ張られているような感覚を受けることがあるのですよね。
そこで、昨年末に「Ko-Pay」を利用して「BROOKS(ブルックス)」の「SCAPE HANDLEBAR ROLL」というお洒落なハンドルバーバッグを購入しました。このハンドルバーバッグ、日本ではなかなか実際に使っている方の情報を得られないようなので、数ヶ月使用してみた身として今回は写真たっぷり且つしっかり目にレビューしておきたいと思います。購入を検討している方の参考にして頂けると幸いです。
■ 候補に挙げていた製品
一般的にハンドルバーバッグは、パニアバッグやフレームバッグなどと比べて荷物の出し入れに手間が掛かるので、比較的出し入れする頻度の少ない荷物を入れるのが適しているようです。チェアリングに持っていく椅子や、調理道具、キャンプ道具なんかはまず目的地でしか使わないので、こういった物品を持ち運ぶのには最適でしょう。
ということで、私の場合はまず Helinox の「チェアワン」というコンパクトに収納することの出来る椅子を入れて持ち運ぶことの出来るバッグであることが第1の条件となります。「チェアワン」については以下の記事もご参照下さい。 私の「チェアワン」は、脚に「ボールフィート」を付けていることもあって 1kg ちょっとの重量があるので、これを前に移すだけでも重量バランスは結構良くなるはずです。椅子を持ち運ばない時は ABUS の鍵でも入れておきましょうかね。こちらも食事や買い物で長めに駐輪する時以外は使いませんから。
まずは購入候補として検討していた製品について簡単にご紹介しておくことにしましょう。
「Bontrager Adventure Handlebar Bag」
最初に考えていたのは TREK 傘下の Bontragerブランドの「Adventure Handlebar Bag」。バイクと同じメーカーの製品なだけあって、Checkpoint のカスタム例として店頭でも紹介されています。最大積載量 9ℓ で、寸法は 520x240 mm。防水素材で出来ているので雨でも安心。 ただ、購入を迷っているうちに一気に値上がりが進んでしましました。Bontrager の製品は通販で買うことが出来ず、TREK を取り扱っているお店の店頭でしか購入出来ないという制限はあるにしても(※ 現在は通販でも買えるようになっています)価格の割に高品質なものが多かったのですが、ここ最近の値上がりラッシュでコストパフォーマンスという面では他社の製品と同じ様な感じになってしまったのは残念です。「ORTLIEB HANDLEBAR PACK F9932」
サドルバッグやパニアバッグなどでよく見かけるドイツのオルトリーブ社のハンドルバーバッグ。容量 9ℓ で、サイズは 400x160x160 mm、耐荷重 5kg。防水・防塵等級は IP64 とのこと。容量 15ℓ の製品もあるようですが、ロードバイクでは 前輪で擦ったり STIレバーが干渉してしまうようです。ただ、9ℓ の方のバッグはバンジーコードが付属しないようなのですよね。
- 「ORUCASE Smuggler XL Handlebar Bag」
「ORUCASE(オルケース)」は、2人の元プロロードレーサーが米国で立ち上げたバッグブランド。「Smuggler XL Handlebar Bag」の容量は 4.5ℓ で、サイズは直径 150mmx幅 270mm となっており、荷室内部には断熱材が備えられているとのことで、自転車キャンプの食材などを運ぶのにも良さそうです。バッグ正面からの他、両サイドからも荷室にアクセスする事が可能です。
■ BROOKS の「SCAPE HANDLEBAR ROLL」に決定!
さて、私のグラベルロード「Checkpoint ALR 5」のサイズは「49」。ハンドルバーは「Bontrager GR Elite Road Handlebar」という、正面から見るとハンドルが「ハ」の字型に広がった ” フレアハンドル ” が装着されています。ハンドルの間隔が上部は 380mm、下部は 466mm となっているのですが、あまり幅のあるバッグだと STIレバーと干渉してしまう恐れがあるため取り付けられません。
一方、Helinox の「チェアワン」を収納するには幅 350mm は確保したいところ。恐らく私のバイクにハンドルバーバッグを取り付けるのはギリギリになるでしょう。バイクサイズが大きければ余裕もあるのですが、こればかりは私の体がちっちゃい(165cm はありますが)のだから仕方ありません。
横から荷物を出し入れするタイプだと、その度にハンドルバーバッグを外したり付けたりする必要が生じてしまいます。それだとかなり面倒くさいことになりそうだなと思って他のタイプは無いものかと探していたところ・・・ありましたよ!正に私にとって理想的なハンドルバーバッグが!
「BROOKS(ブルックス)」は、150年以上の歴史を持つ英国のブランドです。元々は馬の鞍などを作っていたそうですが、オーナーが愛馬の死をきっかけに自転車に乗り始めたところ、サドルの不快感に我慢ならず自ら製造を始めたのだそうです。BROOKS の革張りサドルは丁寧な取り扱いを行えば一生物としても使う事が出来るそうで、その品質の良さと美しさから愛用している方も多いようです。
現在はサドルの他にもサドルバッグ、パニアバッグなどのバッグ類や、ウェア、革製品のケア用品などを取り扱っているようです。イギリス繋がりでミニベロの BROMPTON とは特に相性がいいようですね。
「SCAPE HANDLEBAR ROLL」の何処がいいかと言いますと、このハンドルバーバッグは「ホルスター」と「ドライバッグ」の 2点から構成されていて、バイクにホルスターを取り付けたままの状態でクリップさえ外せばバッグを取り外して容易に中身にアクセス出来るという点なのです。そして何よりデザインに惚れました。実用性が大事なのは勿論ですが、見た目の良さも重要ですよね?
ただ、このバッグについての情報は購入前にほとんど得ることが出来ませんでした。日本では「ダイアテック」が輸入代理店となっているのですが、製品ページから得られた情報は以下のものくらい。
サイズ | ホルスター:350~400x160x160 mm DYR BAG:740x280 mm |
容量 | 10~12 ℓ |
重量 | 670 g |
耐荷重 | 5 kg |
備考 | 420 デニールナイロン製、IPX4、EVAフォームスペーサー付属 |
PV があったのでバッグ自体のイメージは得ることが出来ました。
いくつか販売しているショップのサイトを見ても実際の取付にどの程度のタイヤ上面とのクリアランスが必要なのかなど、細かな情報は全く分かりませんでした。そこで、代理店のダイアテックさんにメールで問い合わせてみたところ、
- 「EVAフォームスペーサー」は厚さ 2cm のものが 4枚、1cm のものが 2枚付属
- 「EVAフォームスペーサー」抜きでハンドルバーにホルスターをべったり付ける事はケーブルの
取り回しなどを考えると難しい - ホルスター下部とタイヤのクリアランスは 4~5cm 程度は確保して欲しい
- よってハンドルバーの高さから EVAフォームの厚み + ホルスターの高さ 16cm + タイヤクリアラ
ンスの 4~5cm 程度が必要
との回答を頂くことが出来ました。少し時間が掛かりましたが、わざわざ実車に取り付けて確認して頂いた様です。代理店としてしっかりした対応をして頂きありがとうございました。ハンドルバーの EVAフォームは 1枚にして調節してみることにします。
→ 現在は 2cm と 1cm を1枚ずつ入れています(2cmx1枚だとハンドルが握りにくい!)。
購入は通販でも出来たのですが、今回は「Ko-Pay」を利用したかったので、神戸市内で「BROOKS」のハンドルバーバッグの取り扱いのありそうなところを探すことにしました。三宮にある「BROMPTON JUNCTION KOBE」というお店が「トップディーラー」の 1つとして DEALER LIST で紹介されていたのですが、残念ながら「Ko-Pay」には参加していなかった模様。
他にも「Distinct」と「Standard」という区分にも数店リストアップされていたのですが、いずれも「Ko-Pay」不参加。意気消沈しつつも、ランニングついでに最寄りの「サイクルベースあさひ」に行って相談してみたところ、えらく熱心に調べてくれて、取り寄せで良ければ対応出来るとのこと。その場で「Ko-Pay」で支払いを済ませて待つこと 1週間。ついに手に入れる事が出来ました!
■ ハンドルバーバッグなのに平たい大きな箱に入ってる!
入荷したとの連絡を受け、「サイクルベースあさひ」までクロスバイクに乗って取りに行くと、なんと平たい立派な箱に入った状態で「SCAPE HANDLEBAR ROLL」を渡されました。通常ハンドルバーバッグはバッグとしての形そのままの状態で販売されていると思うのですが、これにはちょっとビックリ。
予想外の箱の大きさに戸惑いつつも、なんとか FX 3 Disc のリアキャリアに持って行っていたロープを使ってくくりつけ、えっちらおっちら坂を上がって持ち帰ってきました。
このような状態のパッケージになっていました。箱から出してバッグとして陳列してないと、これがハンドルバーバッグだとはちょっと分からないかも(笑)。箱の裏にはバッグの外観が図示されていました。説明書は入っていますが英語のみの記述です。
箱を開けてまず目に入ってくるのが「ホルスター」です。「350~400x160x160 mm」という寸法は丸くした時の状態を示していたのですね。縫製なども非常にしっかりとしています。裏の中央は滑り止め。
「ホルスター」の下に「ドライバッグ」が折り畳まれた状態で入っており、さらにその下に付属品と説明書が入っていました。EVAフォームはともかく、クリップとストラップはこれを見ただけではどのようにして使えばいいのかさっぱり分かりませんね・・・。
かなり厚手の生地で作られたドライバッグは実は 2重構造になっていて、中の袋は中仕切りとして使うことが可能です。濡れた荷物と乾いた荷物を分けて収納することが出来るというわけですね。中仕切りが不要ならバッグ全体で 1室として使う事も出来ます。これはよく考えられているなあ・・・。
「ドライバッグ」は左右からロールアップして長さを調整する方式です。ロードバイクでは STIレバーの動作に干渉しないようハンドルバーの長さによる制限を受けますが、MTB やクロスバイクなら横に長くなってもいいので、かなりの物を収納する事が出来るでしょう。
ただ、残念なことにエア抜き用のバルブのような機構はありませんでした。ロールアップする際に空気を抜きながら巻いていかないとバッグがパンパンになってしまいます。サイズの大きいバイクなら気にしなくてもいいかも知れませんが、うちの「49」サイズのバイクでは気をつけてエアを抜いておかないとタイヤに擦ってしまう恐れがあります。不満点はこれくらいですかね。
■ TREK の Checkpoint に取り付けてみた
ハンドルバーへの「ホルスター」の取付はちょっと手間取りました。ヘッド周りのケーブルが完全に内装されているバイクなら楽なのでしょうが、私の「Checkpoint ALR 5」ではステムの周辺で少し外部に露出しているのですよね・・・。慣れれば少しは楽になるかも知れませんが。
上述のとおり、ハンドルバーに接する部分の EVAフォームは厚手の方 1枚にしました。2枚入れておくとハンドル上部を握るのが楽になるのですが、バイクが小さいですからね。致し方ありません。
→ 上でも触れていますが、現在は厚手のもの 1枚 + 薄手のもの 1枚にしています。
ヘッドチューブの方の EVAフォームは厚手のもの 1枚 + 薄手のもの 1枚(こちらは逆に厚手のもの 1枚だけにしています)として若干前に押し出すような感じにしています。ハンドルを切るとどうしてもヘッドチューブと EVAフォームが擦れるので、塗装保護のために何か保護テープを貼っておいた方がいいかも。これは今後検討することにします。
別角度から。バッグを付けた状態でハンドルバー上部もなんとか握ることが出来ます。EVAフォームやケーブルが接触するとベルが鳴らなくなってしまうので、そこの調整はちょっと手間でした。
心配していたタイヤとのクリアランスはこんな感じです。荷物によってはもう少し狭まりますが、ハンドルバーの EVAフォームを調整したことでなんとかタイヤに擦ることの無い状態を保てているようです。既に数ヶ月使っていますが、今のところタイヤでバッグ下部を擦ったことはありません。
バンプを乗り越えたりするとどうしても多少は荷物が上下に動くので、これくらいのクリアランスは確保しておきたいところです。後はベルトの緩みが出ないか時々チェックしておくくらいですね。
どうですか?このバックル周り良くないですか?(笑)。バックルはアルミ製で強度・質感共に充分!
ライトは一般的な吊り下げ式にするのでは無く、このように正位置で取り付けるようにしていたのですが、こちらもいい感じに収まっています。ライトを 2つも付けて走っていると重さでどうしても下を向いてしまうのですが、上手い具合にハンドルバーバッグがそれを緩和してくれるようになりました(笑)。
ハンドルバーバッグの欠点はやはり空気抵抗がかなり大きくなることですね。強風の向かい風の中を走ると如実に影響を感じます。また、少しハンドル操作が重くなったように感じるので、慣れるまでは慎重に走った方がよいでしょう。一方、重量バランスの改善による登坂時の好影響も結構感じます。同じ荷物を積んでいても以前よりは少し登坂が楽になったようです。あ、ちなみに「チェアワン」はちゃんと収納出来ていますよ!ただ、TREK 車なら「52」サイズ以上だともうちょっと色々楽だろうなと思います。
「SCAPE HANDLEBAR ROLL」には、同じ「SCAPE SERIES」に属する「SCAPE HANDLEBAR POUCH」や「SCAPE SADDLE POCKET BAG」を取り付けて更に拡張することも可能とのこと。これらも今後もし必要になることがあるようであれば追加してみたいですね。