10月末のアップルの新製品発表イベントはリアルタイムで Apple TV から観ていました。9月半ばに開かれたスマホと Apple Watch の新作が発表されたイベントではそこまで興味を惹かれることがなかった私にとっても非常に魅力的な製品が多数発表され、夜中にも関わらず何度も「おおっ!」と声を上げてしまった程です。アップルのイベントは毎回プレゼンテーションの構成や PV の作りが秀逸で観ているだけでも楽しめます。最後にあった Lana Del Rey のプチライブも雰囲気に合った素晴らしいものでした。先日のイベントでは長らく沈黙を守っていた Mac mini や MacBook Air などが発表されたわけですが、とりわけ興味を引かれたのが第三世代となる新しい iPad Pro。見た瞬間に初代 iPad Pro 9.7inch から買い換えることを決意してしまいました。
ただ、如何せん高価なので買い換えるにしてもアップルの整備済品が出てきてから消費税が上がる前になんとか・・・と思っていたのですが、12月に入って始まった PayPay のキャンペーンに乗っかれば少なくとも 20%還元、運が良ければ全額分バックで「新品」が入手できるとあって 15%オフ止まりの整備済品を狙うより遥かに魅力的だったので飛びつきました。予定を大幅に前倒しです。
12月5日に地元の上新電機店頭で 11インチの 256GB モデルを予約して入荷の連絡があったのが 15日でした。色はスペースグレーです。予約した時点で既にかなりの予約が入っていたようです。全く入荷の目処が立たないと言われていたので正直来年になる事を覚悟していたのですが、予想外に早くて逆に驚きました。受取に行った時に店員さんに聞いた話では PayPay のキャンペーンが始まった週の週末くらいから数が把握しきれないくらい予約が入ったという事なので早めに動いて本当によかったです。
本体の USB Type-C 化に伴って付属してくる充電器とケーブルも変更されています。付属の充電器の出力は 5V3A または 9V2A で USB-PD に対応、付属のケーブルも USB Type-C to Type-C となっています。以前の充電器はコンセントプラグ部分が折りたためて各国のコンセント形状に交換できるモジュラー式になっていましたが今回の物は普通の日本式の 2極プラグになっています。とはいえ対応電圧は 100V-240V となっているので海外旅行にも持っていきたい場合はこのような「電源プラグ変換アダプタ」さえ用意しておけば大丈夫です。
USB-PD に対応したものの同じ高速充電規格でも関係の悪化している Qualcomm の「Quick Charge」には残念ながら対応していないようです。そちらにのみ対応した充電器を既に持っている場合は充電は可能ですが通常速度(5V2A まで)での充電となります。
USBケーブルは Type-C to Type-C のものしか付属してこないので市販の多数の充電ポートを備えた充電器を持っていた場合は Type-A to Type-C のケーブルなどを別途用意する必要があります。USB Type A to Cのケーブルについては取りあえず「 Anker PowerLine+(1.8m)」と「 AUKEY CB-CD2(1m)」で iPad Pro 2018 に充電できることは確認出来ました。
充電器についても「 AUKEY PA-T15」と「 Anker PowerPort 5 USB-C」(既に販売終了)での動作は確認できました。ただ、どちらも USB-PD には対応していないので通常スピードでの充電となります。これから充電器を買おうと思っているのならば「 Anker PowerPort+ 5 USB-C PD」のような USB-PD に対応したものを購入すれば急速充電も利用できて便利でしょう。尚、USB-PDでの充電を行う為には充電器と共にケーブルも USB-PD に対応した Type-C to Type-C のものを使用する必要があります。
既に iPhone や iPad を利用していた場合は初期設定が驚くほど簡単になっています。電源を入れた iPad Pro 2018 の近くに既に利用している iPhone か iPad を持っていくだけで下の写真のようなポップアップが出て来るので、新しい iPad に表示されている指紋のような模様をカメラの枠内に入れて指示に従っていくだけでセットアップが進みます。その際に iCloud のバックアップを使えばこれまで使っていたアプリや設定値なども引き継いでくれるので非常に楽です。(一部アプリを一旦消去して入れ直してやる必要のあるものもありますが。)
9.7 インチの初代 iPad Pro と比較してみると一回りほど本体のサイズが大きくなっていますが並べないと分からないくらいで、ベゼルの細さとカラーのおかげか逆にスリムになったようにすら感じます。サイドのベゼルも細くなりましたが、ホームボタンの廃止に伴って上下方向の表示領域がかなり広がったことがよく分かります。iPad Pro 2018 には上部に Face ID 用のセンサーなどがありますが黒いベゼルのおかげでほとんど目立ちません。iPhone のノッチのあるデザインよりかなり好印象ですが上下がちょっとわかりにくいですね。まあ重力を感知して画面が自動的に回転するので困るようなことはありませんけど。
機種 | 11 inch (2018) | 10.5 inch (2017) | 9.7 inch (2016) |
---|---|---|---|
CPU | A12X Bionic | A10X Fusion | A9X |
RAM | 4 GB (1TBモデルのみ6GB) | 4 GB | 2 GB |
解像度 | 2,388x1,668 pixel | 2,224x1,668 pixel | 2,048x1,536 pixel |
アスペクト比 | 4.29:3 | 4:3 | 4:3 |
refresh rate | 120 Hz | 60 Hz | |
画素密度 | 264 ppi | ||
バッテリー容量 | 7,812 mAh (29.37Wh) |
8,134 mAh (30.2Wh) |
7,306 mAh (27.5Wh) |
重量 | 468 g | 469 g | 437 g |
寸法 (mm) | 247.6x178.5x5.9 | 250x174.1x6.1 | 240x169.5x6.1 |
生体認証 | Face ID | Touch ID | |
コネクタ | USB Type-C | Lightning | |
Apple Pencil | 第2世代 | 第1世代 |
ディスプレイ保護フイルムなのですが、今回の iPad Pro 2018年モデルはどうもガラスフイルムとの相性が厳しいようです。Face ID のセンサーが機能しにくくなるという件に関しては既に対策されたものが多く発売されていますが、レビューなどを見る限りガラスフイルムを貼ると画面タッチの認識率が低下してしまうという問題が多く出ているようです。良さそうな製品が出てくるまで当分の間は諦めて裸で使おうかとも考えたのですが、その状態ではディスプレイへの指紋がかなり残りやすく、クロスで拭いてもちょっと取れにくいのがどうしても気になりました。そこで何かいいものはないかと探していたのですが、他のものに比べてやや値は張りますが評判が上々な以下の製品を購入してみることにしました。
Face ID の使い勝手は非常に良好です。上下左右問題無く反応しますし手でセンサーを覆ってしまっていたりした場合はすぐにポップアップで知らせてくれます。画面上をタッチすることで休眠状態から起きますが、本体を移動させようと掴んで持ち上げた時には反応せず iPad を起こすつもりでタッチした時だけ反応してくれるので、この辺りはとても上手く作られているなと思いました。
意外だったのは暗い場所でもきちんと反応してくれる点。ほぼ照明を落として布団に入って寝転んで操作していてもきちんと反応してくれることには驚きました。どうやら赤外線センサーを使っているそうですね。ただし机上に置いた状態だけはやや画面を覗き込むようにしないと上手く認識してくれないようです。まだ Face ID に未対応で生体認証機能を有効にすると起動ができなくなるアプリ(樂天証券の iSPEED など)が一部ある点には注意が必要です。
ホームボタンが無くなったことについてはさほど影響は無いですね。別のアプリに切り替えたけらば画面下部から上方向にスワイプすればアプリ選択画面に戻れますし、その状態から更にもう一度上へスワイプすればホーム画面まで戻れます。コントロールセンターは画面右上から下方向にスワイプすれば簡単に呼び出せますし、画面中央から下方向へのスワイプでは通知センターの内容を見ることが可能です。
また、「Assistive Touch」というホームボタンを仮想的に画面上で使えるようにする機能が用意されています。「設定」画面から「一般」→「アクセシピリティ」→「Assistive Touch」で機能を ON/OFF でき、画面上に半透明のホームボタン(透明度の設定も可能)を表示させることができます。このボタンはドラッグして好きな一に移動できるので邪魔にならない位置に動かしておくとよいでしょう。メニューのカスタマイズも可能なのでスクリーンショット機能などを割り当てておくと使いやすいと思います。
初代 iPad Pro の時点で 4スピーカー構成となっていてかなり音がいいなと思っていたのですが、iPad Pro 2018 では更によく鳴るようになっていますね。同じ音源を外部アンプやスピーカーで鳴らした場合には叶うべくもありませんが、映画なども十分楽しめる音質になっています。ちゃんと音の広がりもあり、この本体のサイズを考えてみてもいやはやほんとにたいしたものだと思います。
ただ、iPhone 同様にとうとう iPad からも 3.5mm のイヤホンジャックが排除されてしまいました。iPhone のほうはまあ移動中などは Bluetooth でいいかと思っていたのですが iPad 方は残して欲しかったなと思います。映画や動画視聴くらいまでなら Bluetooth のヘッドホンやイヤホンでも大丈夫だと思いますが、さすがにタイミングのシビアな音ゲーは厳しいですね。ポタアンなどの USB DAC や 3.5mm のイヤホンジャック変換アダプター(これも実は SB DAC が内蔵されています)を用意しておいた方がいいと思います。この辺りは後日別記事にて書いてみようと思っています。
9.7 inch の iPad Pro と比べると 11inch の iPad Pro 2018 では背面のカメラレンズの口径が随分大きくなっているのが分かります。光学手ぶれ補正機能こそ省かれてしまいましたが、イメージセンサーの進歩と F値の改善でカメラとしての素性はかなり良いものになっているようです。レンズカバーにはサファイアガラスが使用されていて十分丈夫に作られているとは思いますが、カメラレンズ部分の出っ張り自体がかなり大きくなっていて逆に机などの方を傷つけてしまう可能性もあり得るのではないかと思います。ケースに入れるなどしてレンズ部分が直接接しないようにした方がよいでしょう。
9月に先に既存機種の iOS をアップデートして新しい操作体系に慣れさせておくというのはなかなか上手いやり方ですね。おかげで違和感も少なく無事移行させることができました。ただ、電源の切り方だけは従来の機種では電源ボタン長押しで画面に表示される「スライドで電源オフ」というボタン操作で行っていたものが、「電源ボダン」+「音量ボタン(上下どちらでも可)」長押しからのスライダ操作に変更されていて分かりにくいです。代わりに Siri が立ち上がってしまうこともありますし・・・。
まだまだ使い始めたばかりですが画面スクロールも滑らかで動作も体感で分かるレベルで速くなっているのでとても満足しています。iPhone SE を思い出させるエッジの効いたすっきりしたサイドのデザインも気に入りました。画面のアスペクト比(縦と横の比率)が変わっているのでアプリの最適化が進むにはまだ少し時間がかかるだろうと思います。(Amazon Prime Vide は先日対応しました。)
今回発売された iPad Pro の 2018年モデルの価格が高いのは事実ですが、それに見合うだけの満足感はきっと与えてくれるに違いありません。さて、また長くなってしまったのでひとまずはこのあたりで・・・。
2020年秋に発売された ” M1 ” チップを搭載した iPad Pro も魅力的ですね・・・。