「おサイフケータイ」は Suica の他にも楽天Edy や Quick Pay、Google Pay など様々なキャッシュレス決済を Androidスマートフォンひとつで利用することの出来る便利なサービスです。PayPay の登場で QRコードを使った決済サービスが一気に普及しましたが、”ガラケー” の時代から続く「おサイフケータイ」に慣れ親しんでいる方も多いことでしょう。
ですが、おサイフケータイに使われている FeliCa のデータは FeliCaチップ自体が保持するようになっているらしく、端末を初期化しただけでは登録情報を削除することが出来ずに残ってしまいます。この状態ではスマホを譲渡する場合などに、元の利用者のデータが残ってしまって譲り受けた方がおサイフケータイを利用出来なくなってしまう場合があります。ところが FeliCaチップに残っているデータを完全に消去する方法がちょっと分かりにくいのでメモとして残しておくことにしました。
■ 「おサイフケータイ」を利用しているかどうかの確認
「おサイフケータイ」の設定は簡単なので特に意識しないままいつの間にか登録してしまっていたという場合もあるかと思います。まず自分がおサイフケータイを使っているかどうか確認してみましょう。
「おサイフケータイ」アプリを起動したら左上のメニューから「サポート・規約」を選択し、「メモリ使用状況」をタップします。「共通領域」や「鉄道・バス領域(Suica を登録している場合など)」のブロックが少しでも消費されている状態であれば、おサイフケータイのデータが端末に残っているということになります。「メモリ使用状況」の数値がゼロになっていればおサイフケータイは使っていなかったということなので初期化の必要はありません。
■ 「おサイフケータイ」の初期化方法
一般に「おサイフケータイ」を初期化する方法はいくつかあります。
- 「DOCOPY(ドコピー)」を利用する
NTTドコモには「DOCOPY」というスマホのデータを移行したりすることのできる機械があり、ドコモショップに設置されています。NTTドコモで取扱のある端末であればショップに行ってこの機械を操作し、「ICカード内のデータ消去」を行うことで FeliCaチップの初期化が出来るそうです。ただし SIMフリースマホなど NTTドコモで扱っていない機種には対応していないそうなので他の手段を採らねばなりません。また、au やソフトバンクで購入した端末の場合はそれぞれのショップに持っていって店員さんにお願いして初期化してもらうこともできるそうです。 - 端末製造メーカーに問い合わせる
端末の製造元へ問い合わせることで FeliCaチップの初期化もできるようです。ただし、1週間ほど時間がかかりますし、ほぼ有償修理扱いとなって費用もかかります。
OPPO の場合、FeliCaチップの初期化は 3,500円程度で、サポートセンターからの申込が必要になるそうです。尚、メーカーに送って対処してもらう場合は、端末の購入証明や本人確認書類などいくつかの書類を同梱して送る必要があるとのこと。
- 「おサイフケータイ」アプリから FeliCa の情報を削除して初期化する方法
手間は掛かりますが、スマホにインストールされている「おサイフケータイ」アプリから使用していた電子マネーのアカウント情報を個々に削除することで FeliCaチップの初期化が可能です。「メモリ使用状況」が 1ブロックでも使用されていればなんらかの電子マネーアカウント情報が残っているということなのでデータを消す必要があるのですが、まとめて一括で消去したりすることはできないので、1つ1つ削除していく必要があります。
楽天Edy のデータを消去する例を書いてみます。(セキュリティ云々でスクリーンショットが撮れなかったので直撮りです。)Edy に残高が残っている場合は使い切ってしまうか一旦楽天に預けて端末の残高をゼロにする必要があるようです。手数料などはかかりません。
楽天Edy アプリをたちあげて左上のメニューを開き、「機種変更の手続き」へ進みます。移行する場合は新しいスマホに楽天Edy アプリを入れて残高を預けたアカウントでログインすれば自動的に残高が復元されて使えるようになります。ただ、30日という期限があるようなので早めに手続きは済ませておいた方がよさそうですね。尚、新しいスマホに変えた場合は楽天Edy番号も変わってしまうのでEdyギフトなどは先に受け取っておいてから手続きをしないと受け取れなくなってしまいます。
おサイフケータイ間ではこのように残高の引継ぎが行えるのですが、おサイフケータイの Edy から物理カードの Edy に残高を移したり、複数の Edy を統合して一つにしたりする手段はないようです。この辺りはやはり使いにくいですね・・・。以前は Edy から楽天ポイントに交換する手段が用意されていたのですが、昨年末に無くなってしまったようです。せめてこれが残っていれば。。。残高が残っている場合はとりあえず Amazonギフト券にでも変えておくのが良さそうですかね。
今回のケースでは楽天Edy を削除したところ使用中のブロックが ”ゼロ” となり、無事に FeliCaチップを初期状態に戻すことができました。
■ 端末譲渡の前には必ず確認を
決済に使っているアプリを消しただけで良いものもありますし、多くの場合は Edy の場合のような手段でデータの消去ができるかと思いますが、モバイルSuica など回線情報と電子マネーのアカウント情報が紐付くものの場合は、登録時に使用したSIMが使えない状態(先に回線を解約してしまったなど)ではオンラインで初期化出来ないようなので注意が必要です。
Androidスマホを手放す場合は端末の初期化だけで無く、おサイフケータイのデータが残っていないか忘れずに確認しておきましょう。譲り受けた人が使えないばかりか思わぬ情報流出となってしまう危険性もあります。