昨年辺りから株主優待精度を導入している企業の中で「プレミアム優待倶楽部」という名を聞くことが増えて来ました。2022年6月の時点で 70社近くが採用しているようです。既に利用したことのある方もいらっしゃるでしょうが、どういったものなのかちょっと整理しておきたいと思います。
■ 「プレミアム優待倶楽部」とは?
「プレミアム優待倶楽部」は、機関投資家向けの情報提供や IR支援事業を行っている「株式会社ウィルズ(東証グロース、証券コード:4482)」が運営している株主優待商品交換サイトです。ウィルズ自身もこちらの株主優待制度を採用しているようですね。
「プレミアム優待倶楽部」を採用している企業では、株主優待品として「プレミアム優待ポイント」というポイントが付与されます。このポイントを消費することで商品カタログの中から自分の好きな商品と交換出来るようになっているわけですね。
自社でカタログ製の株主優待制度を運用する場合、商品の選定であったり在庫管理であったりとかなりの手間と費用が発生するだろうと思われます。この点を「プレミアム優待倶楽部」に丸投げできる訳ですから、導入する企業にもかなりのメリットがあるでしょう。
一般に「カタログギフト」制を採用している企業の株主優待では交換可能な商品の数はそう多くは無いので、株主側としても商品の選択肢が増えるという点で大きなメリットがあると思われます。例えば「東京計器」では約 5,000点の商品の中から、「アイリックコーポレーション」の場合では約 2,000点の商品の中から 自分の好きなものを選ぶ事が可能です。
※ アイリックコーポレーションの株主優待制度は廃止されました
掲載されている商品との交換に必要なポイント数を見る限り 1ポイント=1円 で換算されているようです。恐らく定価ベースでの交換となっているため、市場で買えばより安く買える場合もあるでしょうが、普段自分では買うことのないものを試すことができると言う点で悪くない制度だと思います。送料分が含まれているだとか他で買えば安く買えると言うのは野暮な話というものでしょう。
株主優待の案内は A4サイズのパンフレット形式で送られてきます。案内されている URL にアクセスし、「会員登録はこちら」と書かれているところをクリックして株主番号と郵便番号を入力して認証した後、住所や氏名などの登録を済ませることで株主優待品との交換ができるようになります。
会員登録作業はアンケートへの回答などちょっと面倒に思う部分があるかも知れませんが、まあそれくらいは協力してあげてください。株価や業績推移などもこちらから確認できるようです。一旦登録したログインID とパスワードは、次年度以降もそのまま使う事になります。パスワードの再設定は可能ですが、忘れないようどこかに控えておいた方がよいでしょう。
希望に合う商品があればそのまま交換すればOKです。注文は毎月曜日の午前 9時の時点でまとめて高島屋に発注する形になっているようです。タイミングによっては届くまで 3週間ほどかかるかも知れません。余ったポイントは、それぞれの対象企業の株式を持ち続けていれば翌年まで持ち越して併せて使うことも出来るようです(持ち越せるのは次年度まで)。
■ 「プレミアム優待倶楽部」と「プレミアム優待倶楽部 Potal」
「プレミアム優待倶楽部」の上位バージョン(?)として、「プレミアム優待倶楽部 Potal」なるポイント交換サイトがあります。何がどう違うのか見ていきましょう。
「プレミアム優待倶楽部」は個々の企業ごとに設けられている株主優待制度で、付与されたポイントは発行された企業の「プレミアム優待倶楽部」サイトでのみ有効です。名前が似ているからと言ってそのままでは他社の「プレミアム優待倶楽部」サイトで使ったり合算して使うことは出来ません。
ですが、付与された「プレミアム優待ポイント」をそれぞれの企業の「プレミアム優待倶楽部」で一旦「WILLs Coin」という共通ポイントに交換することで「プレミアム優待倶楽部 POTAL」という、より上位にあるポイント交換サイトで商品と交換したり貯蓄しておいたりすることが出来るようになります。
また、「プレミアム優待倶楽部 Potal」で使う事の出来る「WILLs Coin」の有効期限は、最後にプレミアム優待ポイントから「WILLs Coin」へ交換した日または「WILLs Coin」を使った日から 1年間となっています(有効期限が切れた「WILLs Coin」は失効)。
通常個々の企業の「プレミアム優待倶楽部」で発行されたポイントを商品と交換することが出来る期限は 3ヶ月程度しかありません。同一の株主番号で株主名簿に名前が載った場合のみ前年度に使い残したプレミアム優待ポイントと合算して使う事は出来ますが、株主番号が変わってしまった場合は失効したものとして扱われてしまいます。
「WILLs Coin」に交換しておくことで好きなタイミングで商品と交換したり、ポイントを貯めておいて他の企業から発行されたポイントを併せてより高価な商品と交換したり実質的な有効期限の延長が出来るというわけですね。また、交換可能な商品の数も 2022年6月の時点で約 6,000点と、個々の企業の「プレミアム優待倶楽部」で選択可能な商品の数よりかなり多くなっている点にも魅力があります。
但し、「プレミアム優待ポイント」を「WILLs Coin」に交換するためには権利日時点での株式保有継続年数に応じて以下のレートで交換手数料が掛かります。
株式保有年数 | 「WILLs Coin」への交換手数料 |
---|---|
1年未満 | 10% |
2年未満 | 5% |
2年以上 | 0% |
まあ一種の長期株主優待制度と思ってよいでしょう。2年以上継続保有していた場合は手数料が掛からなくなります。途中で株主番号が変わってしまっては駄目だという点にだけご注意下さい。
「WILLsCoin」から更に他のポイント制度(JALマイルやネットマイルなど)へ交換することも可能ですが、はっきり言ってかなり交換レートが渋いです。余程の理由でも無い限りは「WILLsCoin」で交換する事の出来る商品から選ぶのがよいでしょう。
「プレミアム優待倶楽部」と「プレミアム優待倶楽部 Potal」は共に「株式会社ウィルズ」が運営しているサイトですが、会員登録はそれぞれのサイトで必要です。但し連携させるためにメールアドレスは同じものを登録する必要があるようです。「プレミアム優待ポイント」から「WILLs Coin」への交換は即時に行われます。
2022年6月の時点で「プレミアム優待倶楽部 Potal」で交換することの出来る商品で最も高価なモノとして「WILLsCoin」が 64万コインも必要なターンテーブル付スピーカーがあるようです。どれ程の需要があるのかは知りませんが他にもシャトー・ラトゥールであったりエアコンであったり旅館の宿泊券であったりと、高価な商品も用意されているので、「WILLsCoin」に交換して貯めておき、普段自分で買ったり体験したりすることのないものを狙ってみるのもよいのではないでしょうか。